第514話 妙な穴 その2

3世代で潜るダンジョンでの一時は浅いそうであっても非常に楽しく、孫と遊園地に来た様な気分である。


余りケンイがマークと楽しむ一時の邪魔にならぬようにきを使いつつこの殺伐とした遊園地を楽しむのであった。



幾ら優秀な我が孫とは言え、魔力量がそう多く無い為に連続して何匹も連写出来る事は出来ないので、その内、魔力が枯渇してしまい俺かケンイチの背中に乗って可愛い寝息を立てて来る。

そんな緩いダンジョンアタックなので、そうそう先へと進める筈も無くこう言う幸せを噛み締めながらマッタリとしながら廻るのであった。


とそんな俺であったのだが、Sランク冒険者としての俺の成果を欲するナーガの冒険者ギルドの要望によって、この幸せな時間を孤高のソロアタックに当てなくては行けなくなるのだった。


いやダンジョンアタック自体が嫌な訳では無い。ただ誰かに強制されてする様な物ではない。ナーガの冒険者ギルドでは冒険者の安全対策として出来るだけ多くの階層情報を収集してそれで冒険者の生存率を上げたいらしい。



うむ、その方針には俺も同意するが、それをするのが俺なのか?と言う話である。



確かに、今現存するSランクの冒険者2人が俺とケンイチなのでケンイチがマークの相手をして居居るので俺しか残って無いのは事実なのだがちょっと納得いかない俺であった。


なので、一般の冒険者が挑みそうな第20階層まで辺りをちゃちゃっと詳細にレポートしてやる為にホノボノとした2人と泣く泣く別れて1人でダンジョンアタックに戻ったのであった。


魔法部隊を投入すれば良いのでは?と言う声もあるが、幾ら魔法戦に強い魔法部隊でもダンジョンの何たるかを知らないにので魔法部隊のy投入は危険である。


しかも命令と言う形でそんな場所に潜らせる訳にはいかない。


なので、ここは大人しく俺がソロでもぐつのであった。



第20階層のボス部屋までちゃちゃっと2ヵ月位で制覇して、更に一般人冒険者が来ないであろう第20階層以降も25階層まで面倒がらずに調べてレポートにした。


この超大作のレポートを冒険者ギルドが結構良い値で買い取ってくれたのでホクホクしながら屋敷に戻ったのであった。



ケンイチの所にもそろそろ第二子が産まれる頃なので、当然マークの相手は爺じの役目となる。


やっと孫との至福の時が戻って来たので目尻を下げながら2人でダンジョンに潜るのであった。



■■■


ケンイチの所に大望の第二子が誕生した!


今度は女の子で名前はマールにしたらしい。


可愛らしい孫の誕生でケリーが俺以上に興奮している。


マールも母のルージェも健康に生まれてくれて本当に良かった。


ここでお兄ちゃんになったマークがダンジョン熱からやや冷めてしまい、マールの傍から離れようとしないのであった。


ダンジョンの発見と、このマールの誕生と言うお目出度と続きでオオサワ領は益々活気付くのであった。






毎日屋敷から学校に通って居るケンジだが、ここに来て俄にモテ期に入っているらしく、学校で色々な貴族のご令嬢から声を掛けられているらしい。


「ケンジ、気を付けろよ!貴族社会って奴はそれ程純粋な気持ちが通る世界ではないからな。家に言われて別の目的で我が家に近付いて来る連中は過去から多かった。迂闊な事や変な言質は取られない様に為ねばならん。」と俺が言うと、「判った!」と呟きつつ反抗期に入ったケンジは面倒そうに頷いて居たのだった。


俺は義父からの縁談で拒否権も無く普通にケリーと結婚したが不満もない。だから裏に意図のある所謂『色仕掛け』や貴族間のそう言う工作に疎い。

なので、俺は念の玉ケリーに言ってケンジに良く教えてやって欲しいとお願いしたのであった。



そして念の為、諜報機関のトップであるハトーリさんを呼んでそれとなく裏を探る様に命じたのであった。




ハトーリさんの仕事は早く、2週間程で、ケンジにちょっかいだそうとして来て居る3人のご令嬢とその実家の家が判明したのであった。


1人は嫡男の居ないガトー侯爵家。これはもし本気で婿養子にと望むのであれば、俺の所に直接話が来てもおかしく無い。



更にドジっ子の天然を装うキャリブレート子爵家のご令嬢。これはどうにもこうにもウサ臭い。


ハトーリさん曰く、天然の振りした養殖じゃないかとの事であった。


もう1人はハッセン伯爵家のご令嬢で、此方は裏を特に感じ無いとの事である。


そもそも検知は嫡男ではないので、成人後は家を出て、独り立ちするしかないのである。それを考えると、今の内に先の進路の希望を聞いて置く方が良いのかもしれないと思う俺であった。



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