第509話 広大な領土

王国とは南西の方で繋がって居るマグレブ帝国への最寄りの都市はコザーク伯爵領となる。


俺は一旦コザーク伯爵領にゲートで飛んで其処からウィングスーツによる滑空でマグレブ帝国の帝都を目指す。


既に、国王陛下から本件に関する全権大使の資格を得ているのでアインツブルク王国本国に相談しなくとも余程の事が無い限りは俺の胸先三寸でどうとでも出来る事になっている。


俺はアインツブルク王国の端から帝都の方向の街道の上空を気分の上だけはのんびり観光気分で滑空するのであった。


ある程度気軽な気分で請けたこのゲート網設置のプロジェクトだが、思った以上にマグレブ帝国が広い事に気付き後悔し始めるのはこれから数日後の事である。


飛んでも飛んでも辿り着かない帝都。無論地方都市は幾つか発見してその度に現在位置と帝都の方向確認はするのだが、成果はパッとしない。


そもそも真面な地図なんて無いし、広大なマグレブ帝国の領土を考えたらそんなアバウトな返事しか返って来ない物なのかも知れない。


まあだからこそ、ゲート網を欲しがったとも言えるのだろう・・・。



マグレブ帝国の空を飛び始めて5週間が過ぎた頃、漸く帝都に辿り着いた時には空中で思い切りガッツポーズをしてバランスを崩した程であった。


そして、マグレブ帝国の城門にたって、アインツブルク王国の身分証を示し、国王陛下からの書簡をみせて、帝都の中に案内されるのであった。


そして皇城で皇帝陛下にお目通りをして、今回の工事に参加する建設部隊の人数分の身分証のメダルを頂いてから、断りを煎れて後に今回の工事に携わる建設部隊をゲートで皇城の裏庭に呼び出すのであった。


こうしてこの日を境に全員でマグレブ帝国中に散って設置工事を始めるのであった。


おれはと言うと、帝都のゲートセンターの設置工事を引き受けて連日帝都に通って工事を進めるのであった。


帝都側の工事が終わると、俺もマグレブ帝国の立ち寄った地方都市にゲートを設置しに行ったり、国境方面等の砦に設置しに行ったりしたのだが、その移動時間の掛かる事掛かる事。


軽く3ヵ月程の時間を要してしまい国土の広さにゲンナリするのであった。


国土の広さに閉口したのはおれだけでなくて、工事の為にマグレブ帝国の空へと飛んで行った建設部隊の子らも同様で、まさかこれ程広いとは思わなかったと愚痴っていた。



そんな事情もあって設置費用の殆どが設置場所への移動時間と言う前代未聞の事態となった。



そして全ての工事が完了するまでに軽く8ヵ月が掛かったのであった。


部分開通はしていたものの、全面開通したゲート網に喜ぶマグレブ帝国の皇帝陛下の前に呼ばれて居並ぶ我が建築部隊の面々。


お礼と言う事で全員にマグレブ帝国の勲章と金一封が授けられたのであった。


こうして漸くマグレブ帝国での全てを終えて気分スッキリ全員我が家帰って行くのであった。



久し振りに我が家でユックリ出来る様になって、俺はケンジとマークとの時間で和むのであった。



尤もケンジは昔の様に幼くもないので自分の好きな事をしていたいみたいではあったが・・・。



こうしてみんな少しずつ大きく育って行くのだろうなと思うと嬉しくもあり少し寂しく思う俺であった。



工事も終わってホッと一息付いてる所にマグレブ帝国からなんと第二期の工事の依頼を請けてしまった。

いっその事断りたいところで在るが、国対国の外交上の問題もあるので拒否権も無く、結局第二期の工事を請けてしまうのであった。



どう言う事かと思ったら下と網の評判が良すぎて、もっと多くの都市をゲート網で結びたいと言った内容であった。


具体的に言うと伯爵家以上を結んで居たのを子爵家以上にふやすと言った感じである。



その数たるや、新たに100箇所以上を結ぶ様になるのだ。ゲートセンターは帝都に一極集中は厳しいので、もよりの伯爵以上の領都にゲートセンターを置く様な分散型のゲート網となる予定である。


結局またもや同じ様に身分証のメダルを授かって、指示さえれた通りに泣く泣く各地に分散して飛んで貰うのであった。


またしても愚痴となってしまうが、この工事は本当に殆どの時間が移動時間である。魔力総量の違いもあって各人の1日に飛べる距離は大きく違うので、無理をしない様に注意を告げる俺だった。


1年の月日が流れて、漸く第二期の工事が終わった際には大変感謝されたものの、これ以上は請けられないと釘を刺したのであった。


もっともその分の追加料金は頂いたので勿論赤字にはなってないものの、拘束期間の面で本当に大変であった。


領土が広大過ぎるのも統治を考えると考え物である。一概にデカけりゃ良いと言う物では無いなと痛感した俺であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る