第505話 連鎖 その4
さて一旦収束したものの魔法部隊はかなり消耗した状態である。本当は一晩程休息を与えてやりたいところではあるが、急を要する状態の為それも叶わない。
部隊長のコーエン君に3時間程の休息を指示して俺は一足先に王宮魔法師団が先行して迎え撃って居るオグラーホーン伯爵領のダンジョンへと急行したのであった。
オグラーホーン・ダンジョンのスタンピードは今のところ割と均衡を保っており、王宮魔法師団と領軍のタッグでなんとか成り立って居る様に思える。
俺は王宮魔法師団長に挨拶を交わしてからここは王宮魔法師団に任せて、他の未着手のスタンピードに向かう事にしたのであった。
義父に連絡をして至急の救援の必要な場所を確認すると、ロックウッド男爵領のロックウッドダンジョンのスタンピードに向かって欲しいとの事であった。
最寄りの伯爵領からウィングスーツによる滑空でロックウッド男爵領まで城門の衛兵に聞いた通り街道の上を伝って全速力で飛んで行く。
途中コーエン君に連絡して、後でゲートで迎えに行く事を伝えて置いて通常馬車で2日間程の距離を街道上空をショートカットしながら最短距離で滑空するのであった。
3時間位の飛行の結果漸く昼の12時過ぎ頃に俺はロックウッドダンジョンのスタンピードを眼下に収めた。
既に乱戦状態で予想以上に酷い状態に思わず顔を顰めてしまうも慌てて、地上に降りて、直ぐにコーエン君に連絡してゲートで魔法部隊を予備に行って、まずは他のダンジョン同様にバリケードを魔法部隊に建築させ始めた。
一先ず俺はフォース・フィールドの足場の上から味方に当たらぬ様に魔弾やストーン・ブリッドで魔物を丁寧に刺激して行き、乱戦の収束を謀った。
その頃にはバリケードが出来上がって新たな魔物の乱入が減った事で、間引きがし易くなって、乱戦状態のフィールドが少し落ち着いて来た。
そこで俺は風魔法の拡声を使って領軍や冒険者に向かって指示を飛ばした。
「俺達尾は王宮からの要請に応じてやって来たオオサワ伯爵家の魔法部隊である。これより一掃をはじめるが、暫く魔物は此方に任せてでまずは負傷者の治療を優先してくれ。」と言う俺の声に安堵の声と歓声が混じった声が湧き起こる。
俺は何時もの様に絞り込まれて通路のど真ん中を目掛けて
そして直ぐにロックウッド男爵がお礼と挨拶にやって来たがここでの被害は相当で、今回の大規模スタンピードで俺の知る限り始めての死者が出ていた。
兎に角、回復ポーションをロックウッド男爵に渡して負傷者の回復に努めて貰った。
ここのダンジョンのスタンピードであるが、最初はゴブリンや強くともオーク程度であったので何とかなって居たらしい。
ところが途中から、オーガやリザードマンが混じり始め領軍では歯が立たずに無駄に死傷者が増えて行ったと言う事だった。
男爵領なのでちゃんとした城壁も無く仕方無いので領主の館に領民を引き入れて保護して居たらしい。
男爵と話をしながら毎分1発の極光を打っ放し行儀良く並んでやって来る魔物の群を殲滅して行く。
そうすると、またしても腹がグーと鳴り始め、申し訳ないが領主の館に避難した領民達に言って炊き出しを作って貰うべく、『時空間庫』に入ったままの鹵獲品の食料を出してお願いするのであった。
暫くすると俺の空腹を刺激する様な良い匂いが辺りに漂う。これで魔物の血肉のグチャグチャな光景が無ければ最高なのだが、そうも言ってられずに固定砲台代わりの俺は飯を持って来て貰って
土魔法で作ったテーブルと椅子に座って食べながら極光をぶちかますのであった。
余談ではあるが、この時の美味しそうに食べながら魔物を殲滅するマルスの光景が領民達には強烈過ぎたらしく、『殲滅侯爵』と言う二つ名が追加されたのであった。
魔法部隊にはローテーションで休息を取って貰ってその間を俺1人で持ち堪える。ここ最近のお馴染みのパターンになっている。
ちなみに、魔法部隊も極光を放つ事は出来るのだが、消費魔力の問題で、1人1発撃つと魔力回復に掛かる時間が極端に長くなるので現実的では無いのだ。
優秀で勤勉な彼等ではあるが、総魔力量はそれ程多く無いのと、回復スピードが普通なので仕方が無いのである。
時刻は流れて行き夕刻である。日が沈んで星空には明るいお月様が浮かんで魔物の行進を照らし出しているが、やや暗く見難い。
ライト・ボールを照明弾の様に飛ばして視界を保つ。
いよいよ夜のパートに入ったのだった。
夕食を食いながら徐々に飽きてきた極光による攻撃を続けて行く。
夜のパートでは主に睡魔や退屈との戦いである。この1分間隔と言うのが結構ミソで、アドレナリンも出て来ずに出て来るのは欠伸だけである。
そして、四課の2時にになると漸く全快した魔法師団と領軍のコンビに任せて俺は3時間程の休息に入るのであった。
爆睡し始めて2時間が経過した頃だろうか、戦場が俄に沢がシックなる。
何事かと目が覚めて上半身を起こして聞き耳を立てると、どうやらボス格が出て来たらしい。
何か在れば起こす様に命じては居るので手に余れば起こしに来るだろうと思っていたが、一度目を覚ましてしまった事でやはり気になって二度寝もできないので、そのまま起き上がって立ち上がり状況を核にしたのであった。
既にコーエン君の指示によって、ボス格の居る辺りにライト・ボールが浮かんでおり、攻撃の指示が飛んで居る。
俺は手を出さずに温かく見守る様にして、目覚めの温かいお茶を椅子に座って飲み干したのだった。
今回のボス格はミノタウロスの亜種だった様で
鑑定EXで鑑定して見ると下記の様であった。
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【レッド・ミノタウロス・キング】:ロックウッドダンジョンの50階層のボス今回のスタンピードの切っ掛けである。
これを狩る事でスタンピードは収束する。
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「ようし、これで終わるな。」と俺は独りごちるが、流石はキング種の亜種と言う事だろうか、コーエン君達ではヘッドショットをキメる事が出来ずにズンズンと前に進まれて居る。
そこで俺は「おーい、一発打っ放そうか?」とコーエン君に声を掛けてから、極光を放ってロックウッドダンジョンのスタンピードを収束させたのであった。
直ぐに、宰相閣下に連絡を入れて、ロックウッドダンジョンのスタンピードの収束を報告して状況の確認と次のダンジョンを確認するのであった。
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