第503話 連鎖 その2

王都のダンジョンは王都の城壁から程良く離れた場所にあって、使い勝手の良い所であるが、こう言うハプニングがあると、非情に厄介な位置関係でもある。


まずは場外に出てダンジョンの傍まで接近して、入り口の大きな漏斗状の障害物の建設をして、途中から絞り込んで魔物が横に拡散しない様にしてしまう。


素早く魔法部隊と俺とで障害物を建設し、一列に並んだ魔物に攻撃する様な作戦となる。


デカイ魔法を手っ取り早く魔物の群に撃ち込む手もあるが、それだと四方八方に拡散して逃れる魔物多くなる為、一度密集させて、一列に並んだ所をコツコツチクチク殺すヤルのが一番確実だと思った訳だ。


ここまで説明し俺の立案した作戦を進言した結果、国王陛下も作戦参謀も見事にその作戦を採用してくれたのであった。


まあこの作戦は過去の人生で実証済みだし、魔力切れさえ気を付けて他と連携して戦えば余計な所で命を落とす事もないだろう・・・。


と、今回は単独先行は厳禁と心に誓う俺だった。


そして、早速俺はこの作戦をマリアの方にも伝えて、送り込んだ魔法部隊の半数で同じ様なバリケードを築く様にと連絡するのであった。


■■■



場所は俺と魔法部隊とで築いた王都ダンジョンの傍のバリケード前にゾクゾクと群がってくる魔物の群。

絞り込んだ通路脇には魔法部隊と王宮魔法師団が陣取り、俺は通路を塞ぐ様に立って、一列に並んだ魔物の群に向かって極光レーザーの一撃を食らわし、それを合図に、魔法部隊と王宮魔法師団が横から攻撃し、漏れた魔物を騎士団がつうるの出口で迎え撃つ3段構えである。


俺は時折通路中央に極光レーザーを打っ放して間引きしつつ少なくない数の魔物を手負いにして行く。

周囲は魔物の亡骸と魔物の断末魔の悲鳴で阿鼻叫喚の地獄絵図となっている。

しかし幸いな事に今のところ此方サイドに死傷者は出て無い様子だ。


長い戦いが始まって約5時間が経った頃、奥の方に頭2つ程大きなトロールと巨大で真っ黒ななオーガが見えて来て、周囲の魔物を踏み荒らしながら追い立ててきた。


もう既に通路は魔物の死骸でグチャグチャになって居て見ていて吐き気がする様な悲惨な状況であるが、其処に追い込まれて来る前列の魔物を魔法部隊達が討ち取り、俺は、何度目か判らない極光レーザーを後ろから追い立ててきて居る


トロールと黒いオーガに向けて撃ち放ったのだった。


ギャガーと言うトロールの雄叫びとグオーと言うオーガの叫び声が鳴り響き、2匹はバタンと前のめりに倒れたのであった。



どうやら、この2匹が今回のスタンピードの火付け役だったらしい。


2匹を最後に残る雑魚魔物を始末して、王都のスタンピードは後始末は抜きにして、戦闘時間8時間と言う史上初の最短時間でケリが付いたのであった。


そして、俺はスタンピード収束の報告を王宮魔法師団に任せ、マリアの婚家であるサーベールース侯爵家へと魔法部隊の半数を連れて援軍に急いで向かうのであった。



■■■


辿り着いたサーベールース侯爵家の屋敷にはマリアは居らず、魔法部隊の者に連絡して、俺達をゲートで迎えに来て貰い急いでサーベールース侯爵家領軍や先行して送り込んで居た魔法部隊と五黄竜を果たした。


ケスラー君とマリアも戦場に立って居り、崩れそうな戦線を支えて居た。


「加勢に来たぞ。良く頑張ったな。後は任せて少し休め。」と言って2人に交代で休息を取る様にと促す俺。


どうやらここサーベールース侯爵家のダンジョンの方が出て来た魔物の数が多い様で、既に通路は魔物の亡骸のミンチでグチャグチャになっていたが、まだボス格も出て来てない状況であった。


俺は王都で取った作戦と同じ極光レーザーで通路のど真ん中を打っ放し少なくない数の魔物を撃ち抜いた。

先発部隊の魔法部隊の半数は魔力残量が心細い物から先にローテーションで休息に入って貰って長丁場になりそうなここの戦場に備えて貰う。


サーベールース侯爵家の領軍や冒険者には少なくない負傷者が出て居るが、幸いな事に死者は今の所皆無だそうだ。


俺は持って来て居る回復ポーショーンを放出して、彼等の回復に努め、その合間に今日何度目か数えても居ない極光で数を大幅にへらして行く。



いつの間にか時刻は夕刻を過ぎて辺りを黒く染める。


魔法部隊の放つ、ファイヤー・アローやライト・ボールによる灯りが今尚尽き無い魔物の群を暗闇に浮かび上がらせる。


俺は魔力節約の為に照明用松明や篝火を用意させ長い夜の戦いに備えたのだった。


さて俺の魔力だが実際のところ、『魔力超回復』ギフトの恩恵で極光1発撃った後、クールタイム1分も在れば元通りに回復出来る程に回復が早いのだ。



但しその弊害で、魔力を消費すると、その分腹が減るのである。用意されてる炊き出しの戦闘食を頬張りながら、1人極光レーザーを撃ちまくる俺だった。


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