第501話 それぞれの春
穏やかな3年の月日が流れてしまった。結局マリア達が13歳になって、気持ちもかわらずに正式な婚約をすることになってしまったのだ。
娘を嫁に出すのは初めてではないのだが、何度味わってもこれは精神的に来る物があるのだ。
その点男の子が嫁を貰う時には立派になった息子を誇らしく思うだけなのだけど、この違いはなんなのだろうな。
尤もまだ婚約だけなので、最終的な結婚の儀はまだ先である。
さて件の『ケスラー君』だが、最近は学校帰りにに俺の屋敷に寄って、俺に魔法の修練の指導を求めて来て居てななか見所がある奴である。
どうやら目的は魔法の腕でマリアに並ぶ事の様だが今から追い付くのは少し難しいだろう。
行っては悪いがマリアは天才肌である。そんなマリアに出遅れたケスラー君が今から追い付こうと言うのでる。
その心意気や良しと言いたいが少し、舐め過ぎである。
それでも諦めずに必死に魔に血かよって来る所は密かにかっていたりする。
「師匠、今日もお願い致します。」と微笑みながら俺に教えを請うてくるケスラー君。
どうやら本品のもくひょうではゲートが使える様になりたいのと、更にサーベールース侯爵領にはダンジョンがあって、そのスタンピードの祭の防御力を上げたいと言う事があるらしい。
領地内にダンジョンが在るとは何とも羨ましい限りで在る。
そう言った理由もあって、自分の魔法の腕を上げたいと言う事らしいのだ。
そう言う単純な青臭い思いも嫌いじゃないので、子供等の指導やケンジの指導の序でにケスラー君の面倒も見ているのである。
それに、これで本当にマリアと結婚したら、親戚になる訳なので他人事では無いからね。
こうして約2年の歳月が流れケスラー君の望みであったゲートもどうにか習得出来て、スタンピードに対する抑止力もある程度身に付いたのであった。
そして、これが合図であったかの様に、サーベールース侯爵家から正式な結婚の儀の日程の詰めが始まったのだった。
俺としてはちょっと抵抗したい気も在ったのだが、2人共に好き合っていて、16歳にもなったので肯定するしか無かった・・・。
こうしてあれよあれよと言う間に結婚の儀の当日となってしまい、俺の号泣の中式は粛々と進められて晴れてマリアはサーベールース侯爵家の若奥さんとなったのであった。
そう言えばマリアの事ばかりで忘れて居たがケンイチの開いてをソロソロ探さないといけない。
縁談話は多く入って来るのだが当の本人が首を横に振ってどの話もお断りしている状況である。
もしかしたら、心に思う相手でも居るのでは無いだろうか。
「お父様、木の結婚相手は自分で選んで良いかな?時期が来たらまた話すから。」と先日真顔で言われたので、取り敢えず了承しておいたが、どうなのだろう。
まあ本人が思おう相手とクッツク方が幸せだろうし良いのがが、そう言う所は疎い感じがするので変な女に騙されて無いか若干心配ではある。
確かにそう言えばチョイチョイケンイチが何処かに出かけて居る気配がある。その時はシルをケンジに任せて置いて行ったりして居るのを知っている。
もしかしてデートに出かけて居るのだろうか? まあ知らない振りをしてヤルのも親と言う物だろう。とウズウズしながら待っているのであった。
暫くしたら、ケンイチが家に女の子を招きたいと言って来た。
聞けば辺境伯のご令嬢らしい。どうやら、学校で同じクラスだった子で卒業後の社交界で最下位し、旧交を温め合って話をして居て息が合ったと言う経緯らしい。
「初めまして、私、アーマガサス辺境伯の次女で、ルージェ・フォン・アーマガサスでございます。」と綺麗なカーテシーをするブロンドの髪の毛の綺麗な女性。
都市はケンイチと同じ18歳で、貴族としては行き遅れと言われる年文例に差し掛かって居るが俺からしてみれば短大生ぐらいの感じで十分に若く感じる。
鑑定EXで確認すると、
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【ルージェ・フォン・アーマガサス】:アーマガサス辺境伯の次女。在学中からケンイチに心を寄せていた為縁談を断り続けて居た。
先日社交界で偶然ケンイチを見つけて思い切って話し掛けた。
非情に一途な女性である。
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どんな女の子を連れて来るかとヤキモキしたがこれはこれでグーである。
「これはご丁寧に。当家の当主でマルス・フォン・オオサワです。いつも、ケンイチがお世話になっている様で。今日はユックリして行ってください。」と俺も自己紹介をして挨拶をする。
折角ケンイチが女性を連れて来たので思い切ってここはメイドに美味しい新作のスィーツとお茶を用意させて運ばせた。
せっかくなので夕食までご馳走し、我が家の食事を堪能して貰った。
ルージェ嬢はちゃんとお箸を使い熟しており綺麗な箸使いであった。
流石はケンイチが連れて来た女性である。
こうして、初回の遭遇は無事に終わって、ケンイチからルージェ嬢と結婚をしたいと告げられるまでに2ヵ月も掛からなかったのであった。
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