第496話 補修工事 その1
子供等も順調に成長して行きオオサワ魔法部隊は精強な部隊へと変貌した。
幸いな事にここまでの間他国との戦争も特に対人戦を伴う様な有事は発生して居らず、強いて言えば土木工事の依頼で出動したり、場合によっては魔物の間引き等の軽微な任務がおもである。
オオサワ魔法部隊の人数も今ではエリート組で70名を越え、準エリート組だけでも100名を越える勢いで増えて居る。
我が家に就職した者の離職率は非常に低いので、工房の錬金スタッフやオオサワ商会全体の人数も含めると相当数の一団となっている。これに加えて喫し弾と衛兵等の兵士は別勘定でいるので、侯爵と言う爵位にしては大きな精力と言えるだろう。
尤も辺境伯の勢力の中には兵士や騎士、それに魔法部隊を含めると俺の所の倍近く居る家もあるので、特に我が家だけが悪目立ちして居ると言う事は無いと思う。
余り1つの貴族家が勢力を持ちすぎると『謀反の兆し在り』と誤解され痛くも無い腹を探られたりする可能性もあるので注意が必要である。
こうして我が家は侯爵家の中ではそれなりの勢力となっていたのであった。
ケンイチに教えるべき広域攻撃魔法も伝授したし、一応これで正真正銘の免許皆伝と言ったところだろうか。
マリアも年齢の割に覚えが早く最近ではメキメキと才能を伸ばしている。
ケンジも産まれ俺は幸せいっぱいである。『好事魔多し』と言うので油断してポックリ逝かない様に気を付けなくてはならないとより一層慎重に行動する様に留意する俺であった。
半年が過ぎてケンイチも10歳となってギフトの儀も受けて晴れてステータスやギフトを知ってよりヤル気を漲らせて居る。
これより暫くは予てからの約束通りケンイチを連れて王都のダンジョンに潜る事となる。
俺としては1階層まで出戻る事になるのだが、息子と一緒にダンジョンに入る何て何年振りかは既に判らないので非常に嬉しい限りである。
尤も『深淵の森』をソロで楽々探索出来る実力を持つケンイチの事なので俺も殆ど付き添い状態で必要に応じて要所要所の重要事項を教える形である。
一応、一緒に潜るのは第10階層のボス部屋の前までで、それ以降はケンイチもソロで潜りたいらしい・・・。
確かにその方が各人の為になるので了承するしかなかったのだった。
そして、1ヵ月と言う新人にしてはハイペースで約束のボス部屋のまえまで辿り着き、ケンイチは地震に満ちた顔で母図部屋へと消えて行ったのだった。
ほんの数分もせずにケンイチはソロで無事にボスを攻略してポータルの前に現れたのであった。
俺とケンイチはこのポータルの前で再び別れそれぞれの進むべき階層へと足を進めたのだった。
俺も第62階層の続きをサクサクと進んで見えないケンイチと競う様に第63階層へと進むのであった。
とは言え、ケンイチと違って連日潜れない俺のここからの進み具合は1階層に約3ヵ月ぐらいは掛かってしまうので、浅い階層を連日潜って居るのケンイチの様にサクサクは進めない。
それでも負けじと頑張って前に進むのであった。
そう、俺には領主の仕事や子供等の指導にマリアとケンジの父親業もあるので何かと大変なのである。
こうして俺は、義父経由の王宮からの無茶な打診を受けるまで日々を忙しく過ごしていたのだった。
ある日義父がケンジを始め孫に会いにやって来た際、『手土産代わりに』国境線の砦の老朽化に伴って補修を依頼して来た。
確かにゲートを設置しに行った際にえらく老朽化した砦だなと思った記憶のある砦である。
えらくトンデモ無い手土産である。
その国境戦は特に不穏な動きの無い友好国との国境戦である。
「お義父さん、そんな友好国側の砦をさも『今から戦争しますよ!』と言わんばかりに補修しても良いんでしょうかね?変に誤解を招いて刺激しちゃうんじゃないでしょうか?」と思わず聞いてしまった程である。
「心配には及ばん、既に先方の方には老朽化に対しての単なる補修工事と通達して居る故に。」と暢気にケンジに鼻の下を伸ばしながら答えてきたのであった。
そんな訳でオオサワ魔法部隊の投入しての補修工事を引き受ける事になったのだった。
現地に飛んだ俺達はまずは老朽化の具合を粒差にチェックして、城壁班と内部の建物班に分かれて工事を始めるのであった。
俺は城壁班に入ったのだが、初めての大きな補修工事に気合の入る子供等に言われて、t直接手を出さずに現場監督ポジションで仕上がり具合を観察する事になったのだった。
特に一番重要な城壁の老朽化かは著しく、子供等は何度も試行錯誤をしながら城壁の硬度をあげて高圧縮して行くのであった。
俺は結局暇なので上空から、工事を見学していたが、チラリと友好国側に目をやると、友好国側から偵察の任を命ぜられたであろう部隊5名が静かに此方を監視しているのを確認したのであった。
やはり、事前に一報があったとしてもデリケートな国境地帯の事、先方も不安なのだろう。
俺は彼らの事を見なかった事にして、子供等の工事を見守るのであった・・・。
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