第491話 反乱 その2

王宮からは俺に全てを託されたものの、こんな大事を全て独自の判断で行うのは元来小心者である俺にはチト精神的に荷が重い。


勝つだけなら力技で何とでも鳴る地震があるが幾らぜんかいの大戦の時の様に一掃する勢いで敵を薙ぎ倒してレベルアップしようとも、魔物を狩るのと違って対峙jん線でレベルアップしても気分が悪いのである。


これは誰しも理解して貰えるだろう。

だから出来れば『大量虐殺』せずに事を丸く収めたいと思っているのが現在の俺である。


そう考えながら砦の指揮書に到着して、300m程先に陣取って居る属国連合軍の軍勢を見下ろすのであった。


「マンチェスター帝国に半旗を翻し各国の兵士諸君。我の名はアインツブルク王国のマルス・フォン・オオサワと言う。マンチェスター帝国を先の大戦でほぼ全滅に追いやった武将の1人である。諸君らにも愛する家族や子供らが居るだろう。出来れば無闇に虐殺するような真似はしたくない。まずこれを見て欲しい。」と風魔法の拡声をつかって、軍勢に向かって呼び掛ける。


その直後軍勢の前にファイヤー・ストームによる火炎旋風を発動させて見せつける。


「これを見て尚我々に向かって武力を行使したいと思うか?1万人居ようと、2万人居ようと死者数が増えるだけで結果は同じである。対話による交渉を試みたら如何だろうか?」と先のファイヤー・ストーム虚仮威しで響めく軍勢に向かって柔らかく問い掛けるのであった。

これで賢い指揮官がトップまらば抑えが効くのだろうが、1度振り上げた拳はなかなか下ろせない物である。


しかも、連合軍だけにトップは国の数だけ居りそう易々と意思統一は図れないのであった。


「急に言っても意思統一に時間が必要だろう。1週間時間をやるので、その間休戦としようじゃないか。」と再び提案し先方からも了承の意思が示されたのであった。


◇◇◇


1週間の猶予が過ぎて連合軍が出した答えはやはり決戦であった。俺としては代表者同士の1対1の決闘での決着等も打診してみたのだが拒絶されてしまったもであった。


また虚しい虐殺をせねばならぬ様だ・・・。と内心ガックリと項垂れて居る俺。


斯くして決戦の火蓋は切られたのであった。


まずは弓矢と魔法による遠距離攻撃を仕掛けて来る連合国軍。

迎える俺は特に何も指示せず、そのままフォース・フィールドの足場の上を歩いて行って、魔装のみの某ギュ尾で、魔法による攻撃も弓による攻撃も防いで見せた。


「わぁーーー来るな!!」と俺が近付くとパニックになる最前列の兵士が斬り掛かって供養とする前に、おれは断腸の思いでファイヤー・ストームを発動し、最前列から20m位の範囲を炎に包んで見せるのであった。


肉の焦げる匂いと断末魔の「ギャーー、熱い」と言う呻き声、既に戦争では無く、これは一方的な殺戮である。


でもこれだけやっても敵の総数の1割にも満たない損害である。


これ位で白旗を揚げてくれるなら万々歳であるが、一刻を背負ってやって来た彼等の意気込みはまだ死んでは居ない。もっと徹底的な力の差を見せつる必要があると感じた。


おれは奴らからの攻撃を無視したまま仕方無く俺はミストバーンを発動することにして、魔力のミストを彼らの足下に充満させて行くのであった。


そして、まそうを一際分厚くして風魔法のシールドを強化した後、無情にもミストバーンを点火したのであった。


次の瞬間、チュッドーーン!と言う炸裂音と爆風の衝撃波の一瞬後周静けさが周囲を包み込む。

立って居る者は俺以外は誰も居ない、呻き声さえ聞こえない虚しい戦場。


ある者は血反吐を吐いて、ある者は耳や鼻から値を流し悲惨な地獄絵がそこにあった。俺のレベルがアップしたのを体感したが全く嬉しくもない。

おれは攻撃を止めて砦に戻って、畏怖目で仲間?である筈のマンチェスター帝国の国境守備隊の兵に出迎えられたのであった。


こうして、ミストバーンの1時間後には敵側から、白旗が掲げられて取り敢えずこれ以上の武力衝突は回避されたのであった。


この後、生存者を救助する為にトリアージと救護活動が行われたが、最終的に数千人模の戦死者が数えられたのであった。


だから、俺は辞めようと最初に言ってのに!と言いたい。


そして俺は生き残った敵の各国の大将を帝都に迎えて強制連行総督と対話して属国の待遇改善を口添えするのであった。


俺として彼等の気持ちも判るので、せめて戦死者が無駄死にでなかったと言う理由付けをしたかっただけかも知れない。



この2つの大戦以降、いつの間にか、俺の事を『爆神』や『紅蓮の炎帝』と言う嬉しくもない二つ名が大国経由で我が国にも伝わって来たのであった。

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