第490話 反乱 その1

ケンイチも大きくなった事だし、少しずつ前のペースに戻してダンジョンアタックを再開したいと考えている俺だったが、そんな俺に王宮から、王命と言う邪魔が入るのであった。


その命とは、マンチェスター帝国の総督よりの嘆願で、マンチェスター帝国にも固定式ゲートを設置して欲しいとの要望であった。


確かにあれが有るのと無いのとでは利便性や経済効果に雲泥の差があるのは理解出来る。


それに良い料金も頂けるので拒む理由は俺にはない。


既に破壊工作の為にマンチェスター帝国国内の主要都市を廻って居る俺にとっては、「まいどありぃ~」と言いたくなる程である。


こうして、折角気分がダンジョンに切り替わった所で予定とヤル気をへし居られマンチェスター帝国の巡業へと出かける事になったのであった。


総督の侯爵には事前にゲートセンターの土地の確保を頼んでおいたので帝都側は実にスムーズに設置することが出来たのだった。


問題は各地の領主がわである。魔動電話の輸出を禁止した事も在って、マンチェスター帝国内での重要事項のやり取りは昔さながらの文章による伝令となって居る為実にレスポンスが悪いのだ。

俺としては王宮側が許可を出すのなら、マンチェスター帝国に電話を輸出するのは吝かでは無いのだが、一旦出回ってしまうと、現実問題規制のしようが無いので慎重に検討して欲しい所である。


結局、下手に伝令を飛ばすよりも俺自身が書状を持って行った方が早いと言う単純な理由によって、工事担当者兼伝令となって各地に赴く事になったのだった。


総督より、マンチェスター帝国の上級使者の特権を持つメダルとマンチェスター帝国の皇族からの委任の証である短剣を渡され、


「ではオオサワ卿、宜しく頼むでござる。」と総督から見送られて皇城を出発してマンチェスター帝国内を来る日も来る日も彷徨う俺。


各都市では可哀想に俺の破壊工作の爪痕の修復を頑張って居るがまだ全然対応出来て居ない。


余りに可哀想なのでコッソリと、ゲートを配置する序でにボロボロになっている城壁の強度を夜中に上げてやる位のサービスはしてやったりもしたのだった。



何処も1度は行った所ばかりだったので各都市に関しては非常にスムーズにゲートの設置が出来て書く領主からは非常に喜ばれたのであった。


このマンチェスター帝国の城壁の工事現場を見てまわって判ったのだが、俺の様に魔法で築いているのでは無く、ご丁寧に石切り場から岩のブロックを切り出して運んで居るようであった。


要はそれ程魔法に長けた者が居ないと言う事だろう。


これでは何時まで経っても修復が完了しないのは当然である。


そう言えば、各地で下位種した宝物庫の中身って、まだ預かったままだったなぁ~と改めて思い出すのであった。


こうして数ヶ月が過ぎた頃、漸く全ての主要都市にゲートをバラ撒き終わったのであった。


まさか破壊工作をして廻った各地にゲートを設置して廻るとは思いもしなかった俺は3周目がない事を祈るのであった。



こうしてマンチェスター帝国内のゲート網が出来上がった後、王宮の方から魔動電話の大量注文が在って、いよいよマンチェスター帝国の各領主にも魔動電話を配布することにしたと義父である宰相閣下から聞いたのであった。




マンチェスター帝国内での魔動電話の評判は好評で、恨まれている筈の我が国に感謝する者さえ居る程であった。


役目を終えた俺はメダル解き証である短剣を変のして今度こそダンジョンアタックに戻ろうとするのであった。


■■■


それから更に数ヶ月が過ぎて俺がダンジョンアタックに勤しんで居る頃、マンチェスター帝国の総督より王宮に緊急の相談の電話が入るのであった。


内容は、今までマンチェスター帝国が制服して属国として居た各国の反乱である。


マンチェスター帝国の力が弱った今が反逆の狙い処と考えたのであろう。


今まで国外にばかり攻めに行っていたマンチェスター帝国は実は国防戦に疎く先の我が国との戦後の後始末で生き残った面々もオロオロするだけで余り役には立たなかった。



其処で結局俺が王宮から呼び出され、各国境戦監督をする羽目になってしまったのだった。


そうは行っても要は一発デカイのをお見舞いして撤退させれば良いと言う話らしいが・・・果たしてそれで退いてくれるだろうか?と若干不安に思う俺であった。



属国の各国が共謀して国境に集まって居る訳である。出来れば国の支配権を解いてやっても良いのでは無いかと考えてしまう俺は甘いのだろうか?


俺は一足先に最寄りの国境の砦にゲートを設置しに行って嘗て各地のリュ応手の食料庫より集めたままの抱負な備蓄食料を使って長期戦に備えるのであった。




敵国からの本命ツーとになる砦に着任すると、既に青い顔をした砦の指揮官が俺を出迎えてくれたのだった。


こいつ、今からこんな調子で本当に大丈夫かよ?と思ったのは言うまでも無い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る