第489話 平穏な一時
自宅に戻ると、身重のケリーとケンイチが嬉しげな顔笑顔で出迎えてくれる。
我が家は『平穏なり』である。
固有色の際に今回のお勤めが完全に終わった事を告げると、暫く放置になっていたケンイチが大喜びしてた。
こうして平穏な日常に戻った俺はこれまでの埋め合わせをする様にケンイチと森に魔物を狩りに行ったり、ケリーとお話しをしたりして過ごすのであった。
尤も堪ったデスクワークもさせられてしまったが、充実した日々を過ごすのであった。
そして、それから2ヵ月も経った頃にはケリーが産気付いて玉のように可愛い女児を産んだのであった。
もうこの世界で2人目の出産と言う事もあって落ち着いて待てる程度には慣れた俺は、産まれる時を今や遅しとケンイチと一緒に待ちわびて居たのであった。
産まれた女の子には此方風の名前が良いかと思ってマリアと名付けたのであった。
決して前世の俺の周囲にマから始まる女性が多かった影響では無いとだけは明言して置こう・・・。
妹の誕生にケンイチは大はしゃぎして、頻繁にホッペをプニプニと触って起こしてしまって、ケリーに叱られて居たのであった。
そんなケンイチが可哀想でもっと元森連れて行って狩りをさせてやるのであった。
狩りの腕も上がって今ではホーンラビットの他にゴブリンなども狩るし食えるシリーズだと、ワイルドボアなども狩って居るもであった。
もう一端のハンターであるが、ざんねんんがら、まだゲートや『時空間庫』等を使え無い事と魔力量が少ないのがネックである。
こうして日進月歩でに進化する我が子にゲートと『時空間庫』を教え込む事にしたのであった。
こうして平穏な日々を過ごして居た俺の元に義父である宰相閣下がマリアの顔を見に訪れ序でに不穏なニュースも持って来たのであった。
総督として赴任していた公爵が体調不良を理由に解任を要求しているらしい。特にどっかの間抜けの様に毒を盛られた訳で無く持病の悪化らしい・・・。
それを聞いて俺は真っ先に「お義父様、俺は絶対に行きませんからね!」と食い気味に宣言したのであった。
仁川らする義父を余所に、今回の一件で如何に沢山働いたかをアピールする俺に、
「判っておるから安心せい。」と宥められたのであった。
こうして不吉なフラグはへし折ったのであった。
数日が経つと後任の総督が決まって赴任して行き、俺は心から安心してフーッと溜息を付いたのであった。
折角子供が生まれ、人生絶好調。これからだと言うのにに、変な所に赴任せずに済んでホッと一息である。俺の人生はこれからなのである!
しかし、ホッとしたのもつかの間で、後任の総督も心身共に疲れるとの理由で、半年程で交代を要請してしまい、事態は振り出しに戻るのだった。
結局のところ、敵に単身で乗り込むなど、精神的な負担が大きいのが問題であるのだ。
そして、王族の親類では無い豪胆な者を抜擢しようと言う動きになって、伯爵位や侯爵位にお役が回ってきたのであった。
先に宣言した様に本件では多大な功績を残した俺なので俺抜きで人事を検討してくれているようだが、何時こっちを見てくるか判らないので生きた心地がしない日々を送っているのであった。
結局、俺は抜擢されず、名誉欲に駆られた馬鹿な侯爵が『喜んで』その人を受けたと義父から聞かされたのであった。
こうして難を逃れた我が家は楽しく穏やかな日々を過ごしていたのであった。
平穏な月日がが過ぎて、7歳となったケンイチも成長し、ゲートと『時空間庫』を覚え一人前の魔法使いとなった。
今では自分1人で森に狩りに出かける程となって居る。
マリアはと言うと3歳で可愛い盛りで、ケンイチの後を追い回して付いて廻って居る。
尤も森以外でではあるが。
マリアも非情にまほうのセンスが良く、ケンイチの真似をして居る内に魔法を覚えたりしている。
尤もまだ3歳なので魔力量が少なく、直ぐに枯渇医してしまうのだがそれでも貪欲に使おうとする為、時々廊下で枯渇して倒れて居る事があるのは目下の問題である。
マリアもフォース・フィールドの足場が使える様になっているので、時々、サチちゃんの小さい頃の様に「とーさん」と言いながら俺の背中によじ登ってきたりするのが可愛くてしょうがない。
ケリーもマリアの魔法の素質には驚いており、「流石は2人共貴方の子ですね。」と嬉し気である。
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