第487話 開戦 その1

準備を完了して待ちの態勢に入った事を王宮に報告し、王宮は各貴族に通達を済ませノンビリと戦の準備に取り掛かる。

それもその筈、我が方側には固定式ゲートがあるが先方には無く全員自力での行軍を余儀なくされて居るので、これから国境付近にと立つするまでに数ヶ月の待ち時間が存在するのである。


貴族達も相手があの百戦錬磨のマンチェスター帝国と聞いて浮き足立つ者も現れるが既に先方には『秘密部隊』が既に多大な損害を負わせて居る事を告げて安心させる様に状況説明をづる王宮側。


そして大戦というには程遠いノンビリとした5ヵ月が過ぎて、漸く敵の本部隊が国境付近までやって来た。


俺は準備完了からこの5ヵ月間上空からこの本部隊を監視して居たがドンドンと集結し合流する部隊で人数が膨れ上がって既に1万人は軽く超える部隊になっている筈である。

これを全部殺してしまうのはチト後味が悪いのだが、力量の違いを思い知って頂き、未来永劫に反抗する気が起きない様にする為の尊い犠牲となっていただくしか仕方が無い。


帝国軍は大人数の寄せ集めの割にキチンと指示が行き届いており、正にこれぞ軍隊の行進と行った感じに見受けられる。


そして漸く国境の砦前に陣を構え、大戦の火蓋が切られたのであった。




開戦前には王宮に連絡を入れ、砦に国軍の本隊の移動を依頼して、事に移る。



口問答による開戦の仕来りを済ませた後、乱戦になる前に矢で遠距離攻撃をお互いに仕掛けるも決定打には程遠く次は魔法部隊による攻撃へと舵を切ったのだった。

先方からヘロヘロのファイヤーボールや威力のありそうなファイヤー・アローが飛んで来る。


此方側もソコソコの攻撃を仕掛けるが、敵側の被害は軽微である。


其処で俺の出番となる。俺は上空から隠密モードで透明化しててきの最前列の間近に着地して、魔力を練って予てより予定していた、ファイヤー・ストームの改良版火炎旋風を発動すると、自分の放った魔法の熱さにやられそうになって、慌てて距離を取って、別の場所でも同様にファイヤー・ストームを発動して行く。


3かよで同時に火炎旋風が起こり、阿鼻叫喚の帝国軍。

もう辺り一面、肉の焦げる匂いと生き残った者の呻き声とで悲惨な地獄絵図である。


中にはファイヤー・ストーム自体にやられたのではなく、逃げる同胞に踏み壊された者も多数居る様子である。



俺ははこの3回の攻撃で、全体の3割の兵士の数を間引いたと思う。


生き残った者も重度の火傷を負って戦える状態とは程遠い。


開戦から30分で、マンチェスター帝国軍は生き残った無傷の後続部隊のみで撤退を余儀なくされたのであった。



そう、ここで俺達は追撃に出る。残り7割を削る為にである。今回の戦にはマンチェスター帝国の件の王子が出陣して居りこれは絶好のチャンスなので撃ち漏らしの無い様にして起きたいのである。


焦げた死体の横を通って、我が国の国軍の追撃部隊が後を追う。


俺のやった結果を見る友軍の目に恐怖が宿って居る。




俺は一足先に逃げる部隊の先頭件の王子に追い付いて、其処でも小さめのファイヤー・ストームをお見舞いして、総大将でもあった王子をこんがりと焼き上げてやった。


総大将を失って浮き足立つ逃走部隊に後追いの輪が方の追撃部隊が追い付き、剣戟による騎馬戦を行って半数にまでその数を削った頃、撤収の合図を出してようようと砦へと戻るのであった。


何故端数だけ見逃したかと言うと、恐怖の伝承係である。如何に凄まじい攻撃力や悲惨その物の恐怖であってもそれが伝承されない事には威力は半減である。


こうすて数にして300数十名程度を生還者として生かして返したのであった。

尤も、撤退時には持ち込んだ食料等を持ち運ぶ余裕も無く着の身着のままで撤退したので、生き残ったものの、彼らの仮道は地獄の行軍であったに違い無い。


画報はと言うと、敵の残した豊富な物資を鹵獲して王都に持ち帰ったのであった。



とは言え、これで戦は終わりでは無い。

後は皇城に進撃して帝国の根幹にトドメを刺す必要がある。



取り敢えず、焼け焦げたマンチェスター帝国兵の死体の埋葬を済ませ、『後始末』を終えた後、王都へ凱旋する俺達であった。


王都に戻ると王宮を挙げての第一次祝勝会が開かれて、勝利の美酒に酔うのであった。




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