第486話 アルテーラ王女の災難

平和で幸せな日々を過ごして居る俺達であるが、王国全体で見るとオオサワ領以外では大なり小なりトラブルを抱えて居る物である。


義父の愚痴情報によればその中でも一貴族として関わり有りそうな事柄と言うと、隣国との外交問題で、今世でも王宮は迷惑な隣国に頭を悩ませて居るとかいないとか。


内容は隣国の女好きの虚け者で有名なポンコツ王子が我が国の至宝アルテーラ王女殿下を嫁に寄越せと駄々を捏ねて居るらしい。


百万歩譲って正妻としてと言うならまだしも、既に13人の妻を持つポンコツ殿下の14番目の妻に寄越せと言う話である。

そもそも、貴族や王族の結婚では、自我を捨て家の為国の為に政略結婚をするのが当然と言う風潮ではあるがこれは些か酷過ぎる。

元クラスメートのピンチだけに気を揉む俺であった。


我が国は滅多な事では事を構えず温和な 政策を執っており、大きな大戦も数える程しか無いのである。


対するマンチェスター帝国は事ある毎に相手国に喧嘩・・・いや戦争を吹っ掛けては配下に収めて仕舞う謂わば百戦錬磨の戦争大国であった。


だからこそ、我がアインツブルク王国は先方の要求を無碍に出来ず返事を引き延ばしにして来たのである。



義父(宰相閣下)の愚痴を聞きつつ、そんな胸くその悪い話にイラッとして、「開戦止む無しですね。何、遣り方次第では圧勝出来ますよ!問題は何処までやるかですね。完全に支配下に置くも良し。それとも王族の一新程度で許すも良し。」と前世の経験を思い出しつつニヤリと義父に笑って見せる俺。


そして身を乗り出す義父に具体的な勝ち方を説明してやるのであった。


おれの説明に驚愕しながらも

「本当にそんな事が人知れず可能なのか?」や「うむ。それなら我が方の損耗も最小限で行けるぞ!」と意気込んだりと大忙しであった。


結局、俺のプランを国王陛下に打診して、実際に我が国の王宮に御身モードで人知れず忍び込んで見せてやった。


そして慎重な国王陛下も勝利を確信し、マンチェスター帝国から来て居る『戦争』の二文字をチラ付かせる使節団に堂々とNoの返事を返したのであった。



そして、俺はこの使節団の帰り道を上空から付ける事で、最短コースで敵の帝都に紛れ込む事にしたのであった。


よって、話し合いが決裂し、使節団が王宮から出て行くのを隠密モード見守りつつ、後を付け始めたのであった。


「マンチェスター帝国を愚弄すとは目に物を見せてやる。」と宣戦布告と思わしき捨て台詞を吐いて王宮を去ると、最寄りの国境のポイントまでチャッカリ固定式ゲートで移動する使節団の一団。


「しかし、弱小国の割にこのゲートと女は素晴らしい。早く攻め入って我が国にも導入するのです。」と息巻いていた。まあ、主が主なら配下も配下。屑の集まりである。


しかし此奴らの馬車による移動は非常に遅く、大人しく後を付けるつもりつもりだったのだが耐えられなくなり、先回りして単独で帝都を目指す事にしたのであった。


こうなったら何時ものパターンである。

敵の砦や都市のの城壁をボロボロにしてやったり好き放題にさせて貰った。


更に都市の領主の館に忍び込んで蔵を空にしたりしてハロウィンさながらに可愛い悪戯も施して行ったのだった。



こうしておれは一直線に帝都を目指して居たが俺の悪戯の跡に使節団が辿り着く頃には各地で大騒ぎになっていたのである。


恰も使節団の到着に合わせたかの様な道順で・・・。


「気味悪いでござりますな。この都市でも城壁はボロボロになって居るし。しかも我々の進路を先回りするかの様に・・・この分だと帝都は大丈夫でござろうか?」と顔色を悪くする来する使節団の一行。


そう彼らが心配するその頃、俺は一足先に帝都入りして居り、まずは宝物庫と金庫や食料の備蓄庫の中身を空にすべく1人でせっせと回収に精を出す最中であった。


必死で回収すること4日間、漸く宝物庫と金庫を空に出来た俺は次に武器庫に取り掛かった。


引き子を空にした頃、金庫の中身や宝物庫の中身が無い事に気付かれてしまった為上を下への大騒ぎとなってしまったがそんなのは想定内でである。そして、皇帝や皇族の住処の配置を地図記録して、抑えるべきゲートのポイントをマーキングしたのだった。


そして俺は帝都の城壁と皇城の城壁をボロボロにのスカスカにしてやり、これにはさしもの帝都民の間に動揺が走ったのであった。


この時点で件の使節団の一行が帝都に辿り着き変わり果てた帝都の姿に「やはり、帝都にも・・・・。」と絶句して恐怖するのであった。

皇城の中まで隠密モードで付いて行くと、使節団が皇帝にアインツブルク王国の返答と宣戦布告して帰って来た事を伝えると、逆上する皇帝陛下


しかし、このままでは軍費さえ出ない現状に貴族から緊急資金を徴収しようとするも、流石に宰相や官僚に止められ、余計に激怒する皇帝。


その有様は凄まじく脳の血管が切れるんじゃ無いかとハタから見て居て心配になる程であった。


結局属国から、食料や戦費を集めr事にして早急に伝令を送り出し慌ただしくなる皇城を見届け、俺は王宮に赴き、「準備完了」を告げたのであった。


しかし今回は今後の抑止力の為にも敢えて帝国の軍勢を打ち破る事が重要なので、国境の砦で一応、一争い起こす予定である・・・。

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