第471話 ミノ亭 オープンと入試

更に俺は独自の魔動七輪を作って上に載せる網の発注を鍛冶屋にした。

この魔動七輪は炭火を使うのだが、下から魔動具で風を送り込める様になっており、火力を調整出来る様になっているのである。


完全な魔動具的なコンロも考えたのだが、やはり、炭火にタレや肉汁が落ちて焦げる匂いが重要だと思ってオーソドックスに炭火を採用した物であった。


これは思った通り大正解で、にくの焦げる際にその煙によって集客効果も抜群なのであった。


こうして着々とミノ亭開店への下準備を進めて行って、ここで初めて子供ではなく大人のスタッフの募集を掛けるのであった。


ミノ亭の場合貴族や豪商の客がメインとなるので、子供にはチト荷が重いと言う訳だ。


実際ミートスライサー等の危ない魔動具も使うので、シッカリとした大人の方が適任と判断した為である。


ミノ亭の店舗の工事を開始して貰って1ヵ月、十分にミノ亭の新規従業員大人20人の訓練も済んだ。


イヨイヨミノ亭のオープンの日である。


ビラを配った事もあって前評判は上々。


この世界でミノタウロスの肉をふんだんに食った事のある奴なんてほぼ居ないので、ミノタウロスの焼肉専門店ってだけで評判は鰻登りなのである。



こうして最初の客が入ったと思ったらアッと言う間に満席になってしまったのだった。


ミノ亭に入れない庶民達は可哀想であるが換気扇から流れ出る肉の焼肉の良い匂いだけで我慢して貰うしかない。



ミノタウロスの肉と焼肉のタレ、そして白米の絶妙のコンビネーションに入った客は、一皿金貨1枚もする肉をバンバンとお替わりして行く。


正に狙った通りであった。


そして器用に木の箸で肉をひっくり返す店員の妙技に感心して自分達も箸を使って食べたいとおもわせるのに成功した様で帰り際に箸と箸の使い方の紙を大事そうに持って帰ったのであった。



このミノ亭のオープンで王都の飲食業には大きな衝撃を与えた様で早く新しい調味料である『醤油』や『味噌』、『みりん』等を卸してくれとの圧が高まるのであった。


漸く醸造所や酒蔵の増築も目処が着いたのであともう少しで本格的増産に取りかかれるだろう。


こうしている間に3年が過ぎて、俺も13歳となって王立魔法騎士学校に入るべき歳になったのであった。


俺としては余り乗り気では無いのだが、貴族として生まれた者に拒否権も無く渋々王立魔法騎士学校に入学試験を受ける事にしたのであった。


実家の方から馬車で送り出されそうになったので、慌てて独自で王都を目指すと久々に会った父親に言って一悶着があったのは致し方無い。


しかし、必ず入学試験を受ける事を約束させられて、合格と入学を約束して事無きを得たのだった。


一応、2週間の合間を開けてドルビー家の王都邸へ到着フリをしておいた。そうしたら、少し前から王都にいどうしていたアマリスが嬉し気に俺を出迎えてくれたのだった。


尤もおれは自分の拠点である屋敷があるのでそっちに移り住む予定だったのだけど、どうやら父親の方への報告の密命が出てるとの事で外泊を許してくれなかったのだった。


とは家、その密命を俺に教えてくれる辺り、かなりアマリスを懐柔できていると言う事だろう。


なのでおれは、アマリスに今後、オオサワ商会の方で雇う事を打診して更なる懐柔を試みるのであった。


そんな訳で二重スパイ状態となったアマリスのお陰もあってこれまで通り自分の王都邸で生活出来る事となって一応入学試験前日は験を担いで子供等の登板の作ったオークカツ丼を食べておいたのだった。




そして迎えた入試当日。


俺は、馬車に乗って王立魔法騎士学校へとやって来た。立派な煉瓦の塀に囲まれた広大な学校である。


校門の受付で入試の札を見せて受付を済ませると、筆記試験の会場へと案内されたのであった。


筆記試は貴族ならしいていて当たり前の一般常識や歴史に周辺国家の事、それに小学校レベルの算数である。60分で余ってしまったので思わず眠ってしまいそうになったのだった。


そしてチャイムと同時に答案用紙を回収されて次の魔力測定会場へと案内を受けた。


魔力・・・・これはチト嫌な予感がする・・・。


因みに今の俺のステータスは下記の通りである。


*************************************************


名前:マルク・フォン・ドルビー

レベル:7

HP:110/110

MP:6156/6156


ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定EX 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復 偽装 錬金 料理


*************************************************


この3年でミノタウロスのお陰もあって2レベル上がってもう毎日使い切れない程の魔力を保持しているのである。


恐らく、同世代では群を抜く魔力値になって居るだろう。どのような測り方をするのかは白なりが悪目立ちしそうな予感がビンビンするのである。


ギフトは偽装で魔法と剣術以外は不可視にして居るけど、魔力量は偽装できないのである。


体育館に集められて1人ずつ水晶玉に触って光らしているのを見た。これはどうもヤバイパターンの奴だろう。


20人が光らせ終わって俺の番となって水晶に触れる様に言われた・・・拒否も出来ずに嫌々ふれたら、これまでの子供等の時と違ってパーーっと音がする様な勢いで目潰し弾の様な目映い光が体育館の中を照らし、彼方此方で、「目がーーー目がーー!」と言う歯痛な叫び声が聞こえる。


おれは直ぐに水晶玉から手を離して、慌ててこの体育館全体にエリアヒールを掛けてやったのだった。



キョトンとしている試験官に

「もう良いですかね?」と訊いて1分程の空白の後に次の魔法試験会場へと促されるのであった。



そして標的の置いてある魔法訓練場へとやって来た俺は、自分の番となったので、

「5つの的を破壊するつもりで得意の魔法を撃ってください」と言う試験官の言う通りに5つの標的全てを同時にストーン・ブリッドでぶち壊したのであった。


後で知ったのだがどうやら、『壊れない筈の的』だったらしく、俺の後は的の入れ替えにオタオタしたらしい。



そして最後に剣術の試験回以上に赴き、順番が来るのを待った。

他の受験者の試験を見て居ると、実力のある者もパラパラと見かけるが大半が、箸にも棒にもか掛からない者達が多かった。


勿論中には非力な女の子も混じって居る訳でそれは当然なのかも知れない。



しかし、明らかに剣の訓練さえまとも始点狩った様な貴族の子弟の多い事多い事。


思わず、試験官に同情してしまいそうになる程である。


俺の順番が来て刃を潰した剣を片手に構えた俺を見て

「どうやらお前とは少し愉しめそうだな。」と言ってニヤリと笑う試験官。

そして試験の開始と同時に今まで雨後か掛かった試験官が、自ら俺に斬り込んで来て、それを剣でいなして、返す剣で試験官の首筋を狙うと、自分の剣を割り込ませて防いできた。


流石である。


俺が思わずパパンとの訓練の日々を思い出して楽しくなってしまい、他の試験官が止めに入るまでの3分間、模擬戦を楽しんでしまったのだった。


こうして漸く入試を終えて屋敷に戻るのであった・・・。


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