第470話 王都へ その3

徐々にではあったが、孤児院出身の子供達にも魔法を教え、更に素質のある者には錬金術も教え始める事にした。


毎日が大変忙しくなったが、この王都で職にあぶれ気味である孤児院の卒園生を積極的に採用することで、なんとか人材は間に合っている。

半年も過ぎる頃には俺が居なくともアンテナショップの方も余裕で回せる様になっており、漸く実家であるドルビーの屋敷に戻る頻度を降らしたのであった。


休みがちであったダンジョンの方も積極的に探索して漸く、第22階層に到着し、待ちに待って居たミノタウロスとご対面したのであった。


これで乱獲すれば、ミノ亭もこの世界で復活させられるのである。


上がるテンションを抑えつつセッセと首を刎ねて倒して血抜きをして『マジックバッグ』に回収して廻るのであった。


さてこの世界のミノタウロスだが前世のミノタウロス同様になかなかに強く、やはり魔弾では倒すのが難しい。


しかし、そのお陰もあって経験値はウハウハで、念願のレベルアップを果たしたのであった。



今のステータスは下記の通りとなる


*************************************************


名前:マルク・フォン・ドルビー

レベル:5

HP:79/79

MP:4976/4976


ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定EX 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復 偽装 錬金 料理


*************************************************


ここの所子供達に料理を沢山教えていた事もあって、錬金と料理のギフトが生えて居た。


このギフトだが、別に生えて無くても料理は出来る。ただ持って居る方が美味い料理を作り易くなると言う感じで、要は努力して練習したらある日突然後天的に生えたりするのである。


なので子供達にも散々練習させて生えさせたのだった。


まあ最初の頃の失敗作をみんなで食べるのは大変だったとだけは言って置こう。


経験的に、料理の場合は10日間程練習して居ればそれをフェザー様が認めてくれてギフトになるような感じにみうけられる。


但し他の錬金や魔法関係はそれなりに長い訓練が必要となるのでそんなに甘くは無い。



家のアンテナショップの成功で醤油や味噌と言った新しい調味料の存在を嗅ぎ付けた商業ギルドの方から売ってくれと言われて、生産量を増やすのに人員が足り無くなってしまい、どうしようかと、頭を悩ませる今日この頃。


醸造所の方は十分に広めにエリアを盗ってあるので、取り敢えず、醸造所の棟と酒蔵の増築をして貰う手続きを取ったのだった。


その間に人員の増強を謀っておこうと言う算段である。


まずはドルビーの孤児院に行って卒園生をリクルートする事にしたのであった。


王都では知らぬ者が居ない程に有名になった『オオサワ商会』だがここドルビーでは実家に知られたくないので活動はして居らず無名な為に、求人活動は難航してしまう。


こうしてホイホイと移動をして居るが、家のスタッフである子供等以外にはゲートの事は秘密で在る。


なので、職場が王都と言う段階で尻込みする者や、夢に目を輝かせる者の2者がおり、王都と言う大都会を怖いと思う者が残念ながら多いのが現状であった。


その気になれば連日ドルビーに帰って来る事も可能なのだが、本当に家の一員になってくれるまでは社外秘の秘密は打ち明けられないのである。


とは言え、撒き餌と言っては言葉が悪いが、家の既存の子供等を連れて行って夕食会を開いて、我が家の通常の夕食を食べさせてみた辺りから徐々に応募者が増えて行ってのだった。



こうして人員不足もなんとかなりそうなのでホッと胸を撫で下ろすのであった。



お待ちかねだったミノタウロスの解体も終わって冒険者ギルドから大量の肉を受け取って新しく加わった子供等も含め王都の屋敷の方に帰って来てみんなに引き合わせる。


合流初日と言う事もあって、今夜の夕飯は裏庭で豪勢にこの世界初の『焼肉』パーティーとしたのであった。



ミノタウロスの肉質は前世のそれと同等に素晴らしい霜降り肉でタレに絡めて焼くとそれはもう堪らない肉とタレの焼ける匂いが充満して子供等のテンションが上がる上がる。


しかし新参組は箸を上手く使えないので、古参組に手伝って貰ったり、何とか辿々しい手つきで練習しつつ上手そうにミノタウロスの焼肉を食べているのであった。



これを見て俺はミノ亭を開く前に、肉を焼く為のトングを開発しつつ、箸文化を広める事にしたのだった。


翌日から鍛冶屋を廻って持参した店内で肉をひっくり返すのに丁度良いサイズのトングの作成を依頼して、更に大工さんに頼んで箸を大量に作って貰うのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る