第466話 ドルビー東ダンジョン その2
帰り際に冒険者ギルドに寄ってパンパンに膨らんだダミーのリュックサックから提出した初日の成果は、
まあ今のところしょうがないのでダミーのリュックに移し替えてから運んで居るが、早めの段階でこの世界でもマジックバッグをl作れる様にヒュージ・フロッグの胃袋にに代わる素材を探さなければならない。
鑑定ギフトじゃどうにもわかりそうにないので、最終的には女神フェザー様に直訴(泣き付いて)して尋ねるしか無いだろう・・・。
マジックバッグがあるのと無いのとで大きく文明発展の速度が変わるからな。きっと情報提供に協力してくれる筈だと思う俺だった。
さて一夜明けてダンジョンアタック2日目である。第2階層の途中で時間切れとなって帰途に付いたので今日はその続きからである。
第2階層の迷路は一応地図を冒険者ギルドで購入済みではあるが、魔力の流れをこの世界のダンジョンでも完治して下層への階段の位置や方向を検知してみたところ、この世界でもそれは通用しそうな事が判明している。
そんな訳で一応地図を見ずに只管魔力感知のみで下層への階段へと向かって居るのである。
実際のところ、地図を見ながら進むよりも魔力感知で進む方が魔物の出現に直ぐに気付くので非常に段取りがスムーズで良い。
そんな訳で今日も初っ端から出て来る複数のダンジョン・ウルフをサクサクと魔弾で瞬殺して解体して毛皮を剥ぎ取って回収して行く。
そう、この剥ぎ取りの時間さえ無ければもっと昨日は先に進めたのである。何気にこの剥ぎ取りタイムが一番時間的に無駄な一時なのは間違いなかった。
これも、マジックバッグさえ作れる様になれば、全て解決である。
『時空間庫』の中には前世や前々世で作ったマジックバッグがまだ大量に残ってはいるので、今世でも作れる様になったら使う事が出来るのだが、そうなる前だと、「何処から持って来たのか?」を説明出来ないので使う訳にはいかないのである。
現状だと扱いとしては『時空間庫』とほぼ同じとして考えた方が無難であろう。
普通に製産出来る様になって大々的に販売出来る様にならないと、まず間違いなく『王家』には目を付けられるだろうし、伯爵家よりも上の爵位の貴族も鬱陶しいだろう事は想像に容易い。
だからこそ、女神フェザー様に言って代替えの素材の有無を早急に尋ねてみないといけないのである。
だったら、ダンジョンなんか潜ってないで先に教会に行って尋ねて来い!って話なんだが、まあ、あれだ。先にレベルも上げたかったってのもあってこの順番になってしまったってのもある。
まあそんな訳で、取り敢えずもう1レベル位上げてから教会を訪ねようかと思っているのであった。
とは言っても第2階層如きではそれ程高レベル生物は出来てこないので早く先の階層へと足を進めたいと思っているのである。
にも拘わらず、剥ぎ取りに時間が掛かってしまって、ジリジリと焦れてしまっているのであった。
午後3時を過ぎる頃に漸く下層への階段に辿り着き第3階層に降り立ったのであった。
第3階層からはダンジョン・ウルフに跨がったゴブリンとのペアーとなる、ゴブリンライダーが登場する。
ゴブリン自体は大した事はないのだが、素早いダンジョン・ウルフとの組み合わせと棍棒出なく真面な剣を持ったゴブリンライダーは初心者冒険者が侮ったら大怪我処では済まない相手なので如何に俺であっても油断をしない様に気を引き締めて掛かる。
ゴブリンライダーを倒す際はまずは足となっているダンジョン・ウルフを倒して機動力を奪ってからサクっとゴブリンを倒すのがセオリーの様である。
尤も俺の場合、殆ど同時に魔弾で両方共に瞬殺しているので余り関係ないのだがな。
ゴブリンライダーの魔石は通常のゴブリンよりやや大きく、ダンジョン・ウルフの魔石も取れるので一石二鳥となる。と言っても言う程高値にはならないが、魔石よりも、ゴブリンの持っている片手剣の方が良い値で買い取って貰える。
そのままだとサイズが短いので通常は鋳つぶして剣を打つ際の素材とされる場合が多いがそこそこに良い素材が取れるらしい。
とは言ってももって帰れる本数には限りがあるので、マジックバッグを製産開始するまでは暫くはソコソコの本数しか提出出来ないのである。
こうして第3階層でも順調に進んで行って午後3時位になるとダミーのリュックに入れ替えてゲートを使って冒険者ギルドの近くの路地に出てマギーさんの所に提出しに行くのであった。
マギーさんは既に第3階層に進出して居る事に気付き驚くと共に、ソロで活動している俺の事を心配してくれるのであった。
結局今日の稼ぎは
剥ぎ取りや詰め替えての持ち運び画面如何ではあるものの、日給として考えれば悪く無い金額である。
因みにこの世界の冒険者が泊まる様な宿屋は一泊で大銅貨5枚~銀貨1枚程度となる。それに食事を付けると、プラス大銅貨2枚程度となるのが普通である。
なので、もし俺が今直ぐ家を追い出されたとしても収支としては黒字となり、路頭に迷う事は無いのだ。
これは何れ追い出される予定の俺としては精神衛生上、非常に重要な事である。
兎に角、家のある今の内に出来る限りバッファーとなる独り立ち資金を稼いで貯めて置く事が重要なのである。
文明を発展させるにもある程度の生活にゆとりがないと難しいからね。
こうして1日の対価を得た俺は帰る序でに教会に寄ってみるのであった。
『ギフトの儀』以来初めてやって来た教会は静かで好都合な事に人の気配も無く静かに戸を押し開けて中に入って行く。
そして祭壇の前までやって来て片膝を付いて、心の中で女神フェザー様に
「女神フェザー様私です。文明を発展させるためにちょっとお聴きしたい事が在ります。」と祈り始めたのだった。
「何じゃ、マルクか。訊きたい事とは何じゃ?」と神界に魂が呼ばれ目の前に女神フェザー様が現れて聞いて来た。
「はい。マジックバッグを作りたいので、ヒュージ・フロッグの胃袋の代替えになる素材が知りたいのと、後は食文化も充実させたいので米がこの世界に在るかどうかも教えて下さい。」と聞いてみた。
「なるほど、そう言う事じゃったか。お主は以前はアーカイブに接続して必要な知識を得て居ったのじゃな。なるほどのぉ~。」と言うフェザー様。
どうやらこの世界に該当する俺の望む様なギフトは無いらしい。「しょうがないのぉ~。」と一頻り悩んだ後に指をパチンと鳴らして俺の鑑定を進化させてくれたのだった。
そしてステータスを確認して見ると、
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名前:マルク・フォン・ドルビー
レベル:3
HP:59/59
MP:4336/4536
ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定EX 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復 偽装
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と言う風に『鑑定』ギフトが『鑑定EX』に進化していたのだった。そして女神フェザーに言われるままに前世で作ったマジックバッグを取り出して『鑑定EX』で確認してみると
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【マジックバッグ】:異世界でトージが作成した容量無制限、時間経過停止のマジックバッグ。
素材に異世界のヒュージ・フロッグの胃袋を利用している。
尚、この世界では、ラージ・フロッグの胃袋を代用することで同様の効果を得られる。
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と欲しかった情報をすんなり得る事が出来たのだった。
更に『ラージ・フロッグ』の居場所を鑑定してみると、
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【ラージ・フロッグ】:無限の胃袋を持つカエルの魔物
沼地にせいそくしており、ドルビー近辺であれば、ドルビー東ダンジョンの第17階層に出現する。
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とあった。
俺は女神フェザーにお礼を言って颯爽と自分の身体に戻るのであった。
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