第465話 ドルビー東ダンジョン その1

さてイヨイヨこの世界で初ダンジョンアタックである。

前夜わくわくしてしまい、なかなか眠られなかったのは内緒である。


既に必要な情報はマギーさんから貰っておいたので心配は無い。


ダンジョンの名はドルビー東ダンジョンと言って浅い階層ではスライムうあゴブリン、コボルトにダンジョンウルフなどが出る位で脅威度はかなり低い為、実質の稼ぎは期待出来ない。


しかし、今の俺の様な初心者には丁度良い罠の無い安全な階層となっている。


ダンジョンの入り口から中に入って薄暗い光苔の光に照らされた第1階層を進んで行くと、早速スライムがポタリポタリと弾んでやって来る。


この世界のスライムは、饅頭型のゼリーみたいなタイプのスライムで、中の核を取り除くか破壊すると形状が保てなくなって魔石を残して溶ける様に消える。


この魔石は最低ランクの魔石なので10個集めれば銅貨1枚百ギルくらいになる程度である。


兎に角数を熟して速く深い階層に挑んで収入と経験値の両面でウハウハしたいところである。


初っ端からMP1を消費して魔弾を撃ち込み屠って行く。

更に奥へ進むとゴブリンが出てきて魔弾のヘッドショットをキメて胸から魔石を取り出して、クリーンを掛けて手とナイフに付いたゴブリンの血を綺麗にして回収したのであった。


前世の魔法の中でこのクリーンには今世でも非常にお世話になって居てこれのお陰で俺の部屋も身体も拭くも靴も何時も新品の様に綺麗で清潔である。


この世界でも風呂はあるのだが流石の貴族邸であっても毎日入る事は出来ず、しかも『今は亡き』側室の息子と言う事もあって、我が儘も言えずに4日に1回位でしか風呂に入れないのである。


現代の日本人の感覚で言うと酷いと思えてしまうが、風呂があるだけ庶民よりもマシなのである。


そんな訳もあってこのクリーンにには非常に世話になっていると言う訳である。


自分にクリーンを掛ける序でに、アマリスにもクリーンを掛けてやるので、アマリスだけは他のメイドよりもいつもパリッと清潔な身なりをしていたのだが、他のメイド達から羨ましいと言われて居るとか何とか・・・。


なので、毎朝俺の所に来て集まったメイドやスタッフに全員クリーンを掛けてやる事になってしまったのだった。


それまでは、屋敷のスタッフから殆ど『居無い者』としてスルーされて来た俺だがこれ以降、積極的に向こうから挨拶や会釈をして来る様になったのはクリーンの効果なのだろう。


勿論寒い冬に『水浴び』をしなくても済む様になったのだから当然かも知れない。



第1階層でゴブリン15匹、スライム7匹をやっつけた頃、昼飯をダンジョンの中で歩きながら食べて更に奥へと進む。


そしてダンジョンに潜り始めて4時間も掛からずに第1階層を制覇して、下層への階段を降りて第2階層へと進出したのであった。



第2階層からは、ゴブリンよりもすばしっこいコボルトにダンジョン・ウルフも出て来る様になる。


第1階層を抜けた初心者冒険者にとってこの第2階層の特にダンジョン・ウルフが第一関門となる。


新人キラーとして有名なのである。



俺が第2階層を進んで行くと、先の方で魔物と冒険者が戦って居る気配がして来た。騒がしい怒鳴り声や悲鳴と複数のダンジョン・ウルフらしい唸り声がしている。


どうやら冒険者側が不利な状況らしい。

見過ごしては置けないので小走りにその気配のする方へと向かった俺は、男の子2人と女の子1人のパーティーが2匹のダンジョン・ウルフと会い炊いて要るのを視野に入れたのだった。


女の子は負傷をしたようで、足から血を流して座り込んで居り、それを男の子2人が必死で守ろうとして居る感じであった。


横取りと後でもメルのも嫌なので事前に彼らに声を掛かる。


「おーい、大丈夫か?助けは要るか?」と10m程手前で声を掛けると、

1人の男の子が「え?ああ助けてくれ!」といったら、残ったもう1人が「いや、要らん!」と言う。


「どっちだよ?」と俺が呆れながら再確認すると、座り込んでいる女の子が「お願いします。助けてください。」と悲痛な声で懇願して来たのであった。


俺は「あいよ。」と言って、威嚇しながら男の子2人に今まさに襲い掛かろうとする2匹のダンジョン・ウルフの頭に向けて魔弾のヘッドショットを撃ち込んで、キャンと鳴き声を残して黙らせたのであった。



2匹のダンジョン・ウルフを瞬殺した事で驚く3人組。


「怪我したのか?」と座り込んで居る女の子に声を掛けると、「あ、はい。あ、ありがとうございました。」と言って慌ててお礼を言う女の子とそれに追従して、最初に助けを求めた方の男の子も俺にお礼を言って来た。


「ありがとう。お陰様で助かったよ。」と言う。すると、もう1人の助けを拒んだ方の男の子の方が「何余計な事をしてんだよ。別に助けなんかなくてもイケたんだよ!」と強がりとも取れる発言をして来た。


どうやら3人目の男の子は面倒な奴らしい。


おれは、足から血を流して居る女の子に密かに回復ヒールを掛けてやって、「この魔物は俺が貰っても良いのか?」と3人に声を掛けると、2先の2人は「倒したのは俺なので当然どうぞ。」と言うが、3人目の男の子が猛反対する。


「そうか、じゃあ面倒だから良いよ。その代わり次回からは助けない。」と言って呼び止め謝る先の2人の声を余所に奥へと進むのであった。


その後の2時間で、コボルト6匹、ダンジョン・ウルフ15匹を魔弾で倒し、素材となる魔石と毛皮を回収して行く。本来なら、全て『時空間庫』に入れて冒険者ギルドに提出してしまいたいのだが、この世界ではそう簡単に『時空間庫』を知られる訳にも行かず、しょうがないので、その場で自分で解体をして毛皮を剥いで居るのである。


もっともコボルトは魔石以外に需要はないので後はうち捨てて来て居る。ダンジョン捨て置いた魔物の死骸は一定時間の後にダンジョンに吸収されるので問題が無い。同様に冒険者の居たいも急襲されるので行方不明扱いとなった場合、魔物にヤラレたのか、はたまた同様者に殺されたのか判らない場合が多いのだ。


こうしてダンジョン初日は第2階層までで多くの魔物を討伐して成果を上げる事が出来たのであった。

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