第463話 スタートダッシュ その3

そうそう、前世の俺の溜め込んだ『時空間庫』の物だが『時空間庫』を使える様になったら引き継いだと言うか同じ時空間に接続出来たので元通り揃って居る。


何よりも嬉しいのは黄金丸と久し振りに再会出来た事である。


とは言え8歳の俺にはまだまだ体格的に合わない為振り回す事は難しい。


その為今は子供用に作って貰って置いた片手剣の短めの、物を自分用に使って訓練したりコッソリ魔物狩りに行ったりして居る。

この世界ではゲートや転移系を使える者は現存せず、俺の様にゲートでチョロチョロして居る者はお上に知られると大変そうで在る。


王都から帰って来たマークであるが、俺を見ると、凄く嫌らしい風に顔を歪ませて早速俺にコッソリちょっかいを掛けて来た。

そこでおれは魔装と身体強化を瞬間的に掛けて遇ってやって柔道の一本背負いをキメて放り投げてやったら、呻き声を上げて驚いて居た。

実にざまぁ~である。何時までもやられっぱなしの弱いままの5歳児の時の俺と思うなよ!と言ってやりたい俺であった。


廊下の床に倒れたマークの太股をかなりの力で蹴ってやって、フンと鼻息を荒くしてやると、ギャーと小さく叫び声を上げて青ざめて居るのであった。

さて、こんなマークでさえ、王都の『王立魔法騎士学校』に3年も通った者である。


率直な感想は、この3年間独学で鍛えた俺の方が数倍強い。言っちゃ悪いが「3年でコレ?」である。


そして怯える16歳のマークにに「もう余計な手出しはするなよ!」と凄み(8歳の少年に凄みがあるかは微妙だが)を込めて威圧を掛けると、ウンウンと首を縦に振っていたのであった。



この日を境に、マークからの接触もちょっかいも無くなり、凄く平和な日々を過ごせる様になったのだった。



しかし、マークと入れ違いに13歳になったジェニーが王都に行ってしまったので、ここドルビー家の屋敷は静かになってしまったのであった。



厄介事がなくなった俺はこれまでと変わらずに自由と立場を満喫しつつ、裏山に毎日魔物狩りに出かけてレベル上げに勤しむ日々を過ごすのであった。


目下の最大の悩み事はうらやまの魔物が弱過ぎて殆どレベルアップが停滞している事である。

オーガの群れ位いてくれれば良いのに、良くてオーク止まりでそれもなかなか出会う事は無いのだった。


ダンジョンだあればなぁ~と独り言を呟いていると、偶然通りがかったアマリスが、

「マルク様、ダンジョンですか?ドルビー領にはダンジョンもございますよ。」と嬉しいニュースを教えてくれたのであった。


聞くと、「詳しくは無いですが」と前置きをしてから、ダンジョンに入るには、冒険者ギルドに登録をして、ギルドカードを手に入れる必要があるらしい。と教え手くれたのであった。



つまり、冒険者登録の出来る、10歳までお預けと言う事である。『ギフトの儀』を終えたら真っ先に冒険者ギルドに行こうと心に硬く誓う俺であった。



■■■


悶々とした2年の歳月が流れ、漸く10歳になった俺は、『ギフトの儀』を受けにアマリスと2人教会へと向かう。


え?親は如何したって? 来る訳が無いじゃないか・・・。


順番となって水晶球にてを触れて、お約束通りに俺は何時か見た女神フェザーの居る神界に意識を飛ばされてご対面をしていたのであった。



「トージよ・・・今はマルクか、久し振りじゃのぅ~。もっと頻繁に妾に挨拶に来るかと思っておったが全然来ないし、待ちわびておったぞ。何か特に欲しいギフトはあるかの?」と聞いて来るフェザー様。


「お久し振りです、フェザー様。とくに欲しいギフト・・・そうですね、在れば魔力回復量が増える様なギブとが欲しいですね。過去に土壇場で魔力枯渇でヤラれて死んでますので。」と言うと、ニコリと笑って


「良かろう。『魔力超回復』を与えよう」と言って指をパチンと鳴らした。


そして確認してみた今のステータスは下記の通りである。

*************************************************


名前:マルク・フォン・ドルビー

レベル:3

HP:59/59

MP:4536/4536


ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復


*************************************************


「しかし、マルクよ、お主、ステータスの偽装とかのギフトは良かったのかの?今のお主はこの世界では相当な怪物じゃぞ?」と今更聞いて来るフェザー様。


「あーーー!あそれを忘れてた。」と俺が叫ぶと、ちょっとあきれ顔で「そそっかしいのぉ~。激甘じゃが、だいサービスじゃ。」と言って、もう一度指をパチンとならしたのであった。


再度ステータスを確認して見ると、

*************************************************


名前:マルク・フォン・ドルビー

レベル:3

HP:59/59

MP:4536/4536


ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復 偽装


*************************************************

と言う風に『偽装』ギフトが増えて居た。


「これで良かろう。さあ、頑張って文明を発展させるのじゃぞ!」と言って神界から元の教会の祭壇のの前まで意識が戻るのであった。

戻ってみると、特に『水晶が輝いた!』とかの騒ぎはなくて、平穏のままであった。


俺は、「ありがとうございました。」とお礼を言って、お布施を渡して教会から出たのであった。



さあ、次はお待ちかねの冒険者ギルドである。


俺はステータスを適当に偽装しつつ、アマリスと2人で冒険者ギルドに向かうのであった。

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