第453話 生けるレジェンド
毎日顰めっ面で昆虫退治して居る家に変な皺が顔に貼り付いてしまわないか心配して居る今日この頃。
今日も昆虫の闊歩する階層を殲滅して廻って居る。
この昆虫共だが、冒険者ギルド的にはかなり素材として(金銭的に)美味しい物だったりする。食べられる物は少ないけど、錬金術やその他で使用する素材として重宝されているし、何よりも腐る心配が無い物が多いのだ。
よって、田舎の僻地にあっても鮮度を気にしない素材であればノンビリ輸出出来るのである。
そんな感じに嫌いな昆虫を日々討伐して居る俺であった。
少しでも早くこの虫地獄から離脱する為に必死でペースを上げた結果、1ヵ月が過ぎる頃には第10階層を超えて20階層台ももう直ぐ目の前まで来て居る頃であった。
余り虫の事を詳しく述べたくないので言及しないが、通常のダンジョンよりもかなり無理なペースで頑張って進む俺は2ヵ月目には既に25階層を過ぎて居たのであった。
そんなハイペースを続けて第38階層を3か月ちょっとでクリアしてキモく大型化して行く昆虫系の魔物を屠って廻るのであった。
まあ連日これだけ昆虫に塗れていると、徐々に慣れてくる物で魔装とシールドだけを頼りに肉薄するキャタピラ系や巨大なアンツ系の魔物にも動じなくなって来たのであった。
逆にここまで来ると、何か大事な心の位置部を破壊された気がしてくる俺であった。
結果から言うと第80階層まであったこのアプリコット・ダンジョンを8ヵ月で制覇して、ダンジョンコアにご対面したのであった。
史上初の4つのダンジョンを制覇した者として、おれは更に有名となって 「国王陛下の名前を知らない子でも俺の・・・トージ・フォン・オオサワと言う名前は知って居る」と言われる程となっていた。
俺はその功績から2つ目の勲章を授与されて『生ける伝説』となったのであった。
我らがアムール王国にとって一番平和で良い次代を築けていたと言えるだろう。
こんな次代の我が国に喧嘩を売る様な馬鹿な国は居らず、一番安定した時が流れて行ったのである。
■■■
15年の時が流れ・・・俺もピークを過ぎて若い世代の教育も一通り貢献した俺は、徐々にあの頃の様なやる気が保てなくなっていた。
この15年間に俺は更に3つのダンジョンを制覇して合計7つのダンジョン制覇と記録を立てて居りその間にマリコちゃんも結婚してしまい、更には孫の2人であるアルク君やアナーセルちゃんまで結婚して曾孫まで居るのである。
正に光陰矢のごとしである。
生きるレジェンドと言われた俺の威光も陰りを見せてしまい、最近では周辺各国に焦臭い匂いがし始めて居ると言う話を国王陛下から聞いた。
もし戦争になれば今の俺に出来る事は固定砲台となって敵を殲滅する事ぐらいである。
長い平穏の時がアムール王国の戦闘力を弱くして居り、辺境伯軍や国軍も戦いから離れて幾久しい。
俺は、久々にダンジョンに潜って昔の感覚を呼び覚ます事にしたのであった。
久々に入ったダンジョンは新鮮な気分であったが一時期の様な動きはイキナリ出来る訳も無く徐々に浅層で慣らしつつ深い層へと突入して行くのであった。
気ばかり焦る状況で漸くドラゴンの群れが出る階層に辿り着いた俺は久々のドラゴン退治に手間取ってしまい吹っ飛ばされて、ダメージを受けてしまった。
ここが踏ん張り処である。俺は様回復を掛けてダメージを無くして、久々の空間斬を使って最初のドラドのを屠るのであった。
やはり、全盛期とちがって、発動にワンテンポタイムラグがある。
戦争での対人戦闘をイメージしつつ少しずつそのタイムラグを減らして全盛期の頃の自分に戻す様に訓練するのであった。
今まで我が国を恐れててを出さずに国力を高める事に注力して来た周辺国家や既に我が国の属国となって幾久しい国達が水面下で手を組んで我が国に仕掛けてこようとして居るらしい。
そして、俺がダンジョンに再び潜り始めて3ヵ月もした頃に戦端は切り開かれてしまったのだった・・・。
周辺国家連合の軍勢が一斉に俺の領地である、南部の国境と西部を収める辺境伯の西部の国境に集結し、攻撃を仕掛けて来た。
俺は直ぐ様西部国境に全軍を投入し、防衛戦を開始した。
今回の戦で一つ問題なのは的にも魔法を使える魔法使いが多く居る事である。両学生や商人が俺のテキストを持ち帰った結果であろう・・・。
尤も門外不出の魔法は国内の王宮魔法師団にしか教えて居ないのでレザーソードやミストバーン等で攻撃される事は無い。
ここ、南部国境の戦線は我がオオサワ軍のみでなんとかしなければならないと心に決めて最初の一手を指揮するのであった。
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