第452話 いつも当たりとは限らない

迷いながらジョザップ子爵領へ飛ぶ事約1日で何とか到着し、無事にジョザップ子爵と儀礼上の挨拶を済ませ、ダンジョンの情報を得に冒険者ギルドに向かうのであった。


ジョザップ子爵領の領都と言うか街は固定式ゲートが無い為に非常に過疎っている風に見受けられるが、荒んだ風ではなく、治安は良さそうである。


俺は冒険者ギルドの扉を開けて入り、受付嬢にSSSランクのギルドカードを見せつつジョザップ・ダンジョンの情報を求めたのであった。


初めて、見るであろう、SSランクのギルドカードにヒゥっと息を飲みつつ、丁寧にダンジョンの情報を教えてくれたのであった。



そして必要な情報を得た俺はジョザップ・ダンジョンへと向かうのであった。


ジョザップ・ダンジョンはこれまでのダンジョンと同じく、最初の数階層は洞窟型の迷路となっていて、大した魔物は出て来ない。



そして、このダンジョンでは第5階層までは攻略組による情報があるものの、それ以降にかんしては未到達エリアとなっている。


俺は、最初の5日間で、この第5階層までをサクっと制覇してそれ以降の階層を攻略し続けたのであった。


特に第6階層はオーク雅名となる階層で冒険者にとって良い稼ぎになるので早めにレポートを纏めてやる事にしたのであった。



こうして、ジョザップ・ダンジョンに潜り始めて1ヵ月もする頃には第10階層のボス部屋を通り過ぎて第20階層台を探索していたのであった。


魔物が弱いのもあるが、俺自身のレベルが上がって総魔力値が増えた事もあって、危なげ無い戦いが息をするように自然に出来るのである。



ジョザップ・ダンジョンだが、これまでのダンジョンに比べ階層毎に出て来る魔物が相当に弱い様に感じている。


判り易く必要とされる冒険者のランクでで言うと、Bランク程度あれば、10階層までは行けるのでは無いかと思うのだが、Aランクあれば20階層のボスでもパーティーなら倒せるだろう。



こんな感じに温いジョザップ・ダンジョンを攻める事、半年。


呆気なく第55階層で、このダンジョンのダンジョンコアとご対面する事になったのであった。


どうやら、このジョザップ・ダンジョンは発展途上の若いダンジョンだったのではなかろうか?


こうしてて余りパッとせずに終わった訳だが、俺の提出したダンジョンレポートを元に書く冒険者も安全に最深部を目指す様になるのであった。



尤も期待していたジョザップ子爵には少々物足りない結果となって可哀想な事となったが、それ程危険じゃ無いダンジョンは低レベルの冒険者にとっては有効なのでぜひとも街を発展させて欲しいと思う。


元々どうやら、ジョザップ・ダンジョンで大いに潤う様であれば固定式ゲートの設置を頼む予定だった様なのだが、呆気なく終わったのでそれも叶わなかったのである。

まあ、固定式ゲートくらいなら最寄りの伯爵領の領都と設置して繋げてやっても構わないのだが、これを無料でやってしまうと、我も我もとワラワラ湧いて出て来るので出来ないと言う事情があるのだ。


それを判って居るからか、ジョザップ子爵もお別れの挨拶をした際に何も言及せずにお礼だけ言って終わったのだ。

非常に出来た人物なので俺としても協力するのは吝かでは無いのだがな・・・。



こうして、ジョザップ・ダンジョンを去った俺は王都に戻って王宮魔法師団に寄って担当の空いてる不人気なダンジョンをくじの様に引いて次なるダンジョンを決め、赴く事にするのであった。


次なるダンジョンはノーラン男爵領のノーランダンジョンである。



さてこのノーラン男爵領だが、不人気な理由は立地だけで無く、ノーラン男爵の人柄にもある。


最寄りの固定式ゲートである。ノーラン男爵領はサウザン辺境伯の領地から凄く遠く、この俺をもってしても何日も移動に時間が掛かってしまうのである。


まず俺はノーラン男爵の寄親でもあるサウザン辺境伯に面会し、紹介状を貰ってそれから聞いた道順を頼りに空からノーラン男爵領を目指すのであった。


これが、大失敗であった。


ノーラン男爵領に赴く奴は年に数度の行商人程度なので、夏のこの時期には草が生い茂って道を隠し上空からでは判別つかないのである。

上空から見れば単に草っ原・・・これで何日かをフイにして今度は、道案内を雇って久々に馬車で地面を行く事にしたのであった。



何だかんだで、2週間ミッチリ掛かって漸く長い地上の旅が終わったのであった。


やっと到着したノーラン男爵領の領都?村?は非常に簡素な寒村という感じで一応、冒険者ギルドの支部はあるものの、飲み屋としてしか機能して無さそうな状況であった。


そして、漸くノーラン男爵二面買いを申込み、サウザン辺境伯からの紹介状を渡す物の、その対応は極めて悪く仮にも自分より上位の貴族へのそれでは無かった。


その横柄な態度と物言いは普段温厚な俺でさえイラッとする物であった。


そして俺は即座にこの話を無かった事にして、ノーラン・ダンジョンのアタックを取り止めて無駄にしたここまでの道程に掛かった日数を悔やんで帰途に就いたのであった。


帰りに王宮魔法師団の本部に寄って事のあらましを団長に告げて残りの不人気ダンジョンのくじを引いてから自宅に帰るのであった。



次の不人気ダンジョン・・・アプリコット子爵領のアプリコット・ダンジョンは所在地が遠いもののアプリコット子爵領自体は当たりの良い好人物で俺の訪問を喜んでもてなしてくれたのであった。


これでこそ、空路を3日間も掛けて飛んで来た甲斐があると言う物だ。


そして翌々日から、アプリコット・ダンジョンに潜り始めるのであった。


このアプリコット・ダンジョン・・・なかなかにレベルが高い様で10階層のボス部屋までにかなりの高レベルな魔物が雑魚に混じって出て来るのでトリッキーである。


ここはジョザップ・ダンジョンの様に簡単には行かない様である。



普段の様に時間を掛けて買いそうを進めて行く俺の前に叩くも大嫌いな昆虫シリーズが姿を現すが、今回は好き嫌いを言ってられ無いので黙々と魔物を屠る俺であった。

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