第448話 魔法先進国

月日が流れ、マリコちゃんも開花の儀を迎え、王立学園に入学した。


オオサワ流の魔法教育でも群を抜くマリコちゃんは一躍有名になってしまって大人気である。


俺も親として鼻が高いのだが、デレデレとしていては格好が付かないので余り視野に入れない様にして、生徒の視線に隠れてニヤニヤしているのであった。




王立学園卒業生がオオサワ流の魔法教育を巷に普及していくお陰で我らのアムール王国は他国に比べて戦闘力の高い国家として認識される様になった。


尤も良い事ばかりでは無く、下々まで魔法が普及するに連れて、盗賊やチンピラなどにも魔法を使う物が現れる様になってしまい、治安を脅かす事もあったのだった。



そう言う意味ではアムール王国は魔法大国として周辺国家から見られて王立学園に留学して来る他国の王族等も珍しく無くなるのだった。


特に今年は魔法の大家である我が家のマリコちゃんが在籍して居る所為か、通常の年よりも留学生の数が多い様に感じる。

まさかとは思うが、家の大事なマリコちゃんに粉掛けようと狙って居るのでは無いかと親として気が気でない。


まあそんな和感じに外国からの留学生と共に商会や商人もやって来るので相変わらず、俺の作ったオオサワ流の魔法のテキストはベストセレー化しており、いまでも売れ続けて居る。

その為、工房の方も通常清算の魔動具の方もあって人手が足り無くなって、少しずつ増員することで、従来の2倍まで人員を増やしたのであった。


そうすることでテキストだけで無く、あらゆる魔動具の供給量も増やして行って徐々に他国へも輸出されるようになったのであった。

テキストもそうであるが、何と言っても一番人気はマジックバッグである。

エナちゃんが結婚して代替わりした今でも発売当初と同じく、ジョージさんの所の商会との合作となっているが、限定数がアッと言う間に完売する売れ行きである。



最近では孫のアルク君(コーイチローの子)やコージローの所のアナーセルちゃん(女の子)も5歳になって徐々に魔法に興味をい持ち始めて、俺やマーガレットなどが徐々に教え始めるのであった。


2人共に普通で流石にマリコちゃん程の特出した才能は持って居無いが筋も良く歳なりに理解して魔法を使えるようになって行くのであった。


そんな中で初孫のアルク君の方は努力家で、魔力枯渇を熱心にやって徐々に使える魔力量を日々増やして居る様である。


一方アナーセルちゃんの方はおっとりとしていて、気分屋さんと言うのだろうか、少し貪欲さに欠けると言うか、余り熱心に魔力枯渇をやっているようには見えないのだった。


とは言っても我が家の一員と言うところだろうか、それなりに魔法を使うのは楽しいらしく、キャッキャと喜びながら新しい魔法を使って喜んで居るのだった。



さて、王立学園の卒業生が主体ちなって、王宮魔法師団をより強力な物に再編し、その団長へとのオファーが国王陛下からあったが、ダンジョンアタック等の理由を付けて丁重にお断りをして、オブザーバーと言う地位を得たのであった。


下手に団長だと張り付き状態とならざるを得ないが、オブザーバーなら、ちょっとした相談事や、何かの際のご意見番と言う軽いポジションなので引き受けたのである。


まあ団長もそうであるが、新生王宮魔法師団のメンバーの殆どが俺の見覚えのある教え子達で構成されて居り、気心も知れた感じである。


その代わりと言っては何だが、先の時空間魔法で作った障壁である『時空壁』の時の様に最新の魔法を相互に伝授すると言う協力関係も約束事として決まっている。


尤も相互にと言っても普段は魔法訓練はするものの、ダンジョンアタック等をして居ないかれらの場合新しい閃きは少ないかも知れない。


なので俺としては、部隊を2つに分けて、実戦訓練をするダンジョンアタック隊と非常時用の待機部隊、に分けてローテーションすることを推奨している。


そうする事で、順番待ち中の過疎ったダンジョンにも攻略が入る事で間引きが進むので、一石二鳥である。


こうして、アムール王国は益々魔法先進国として国外に知れ渡って行くのであった。




最近、マリコちゃんへのアプローチを試みる外国留学生が多い様でマリコちゃんがプンプンと怒って居る。


一度断ったら諦めれば良い物のそう言う奴に限って変に自分に自信があるのか、しつこいのだ。


今のところ、直接的な無礼や強硬手段に出られた訳でも無いので何とも介入し難いが、マリコちゃんから相談されたので、


「お父さんにカツぐらいの人以外お断りって言えばどうだ?」と何の気無しに答えたら、翌日からそれを公言したらしく、何故か俺への模擬戦の申込みが多くなってしまったのだった。



留学して来て間も無いのに、教えを請うて居る講師に勝てると思うその神経が判らんと言う話である。


なのでそう言う輩には総じて痛い目に合って貰う様にして懲りて貰っているのだった。


まあそれで、闘志を燃やしてより一層励んでくれるような根性のある奴なら良いのだが、大半の場合は翌日からズル休みをして何の為に国費を使って留学しているのか判らない状態である・・・。

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