第446話 言わんこっちゃない

それからも俺は3日に1度の割合でモーリーダンジョンに通って階層を勧めて行く。

最初は全く脅威も感じ無い魔物ばかりであったが、流石に第25階層を過ぎて来る頃には中級冒険者じゃないと立ち行き出来ない魔物がチラチラと出始めてきた。


尤も俺に取っては何でも無い魔物に過ぎないのだけれど、27階層でミノタウロスが群れで出て来る様になると俺のテンションも思わず上がって綺麗に首を刎ねて廻って丹念に血抜きをしてから回収するのであった。



ミノタウロスの亡骸はモーリーの街に貢献するだろうなと思いつつマジックバッグに移し替えてモーリーの冒険者ギルドに持って行くのであった。




俺がモーリーのダンジョンアタックをし始めてからと言うもの、目に見えてモーリーの街は冒険者ギルドを始点として活気が出始めて今やダンワースに次ぐ断じん資源の取引が盛んな街となりつつあった。



それと言うのも、故意的にモーリー伯爵が、SSランクの冒険者である俺がモーリーダンジョンを攻略中であると宣伝して廻った事もあって、目敏い商人共が我先にとモーリーに拠点を持ったりした事が要因であったりするのだ。


いやぁ~あの大人しそうなモーリー伯爵、あれでなかなかにやり手である。



こうしてダンジョンのある街としては我が領である、ダンワースとここモーリーの2強のみがクローズアップされた感じになったのであった。



それからなだらかに数ヶ月が過ぎてダンジョンの深度も第35階層を過ぎた所であった。


ある日突然アムール王国に衝撃が走った。


俺が以前潜るダンジョンを選考指定た際にまっ先に声を掛けたエレノートン伯爵領のエレノートンダンジョンを覚えて居るだろうか? 打診をしたところ、モーリー拍車kうと違って速攻で断固拒否されたあのエレノートンダンジョンの事である。


あの放置気味だったダンジョンが、スタンピードを起こしたらしい。


既にエレノートンの街に甚大な被害が出て居り一刻の猶予も無いと言う状況らしい・・・。


こう言う場合、領主か国から援軍要請等が無いと無闇に動け無いのが貴族のややこしい所である。


もっともあれだけキッパリ拒絶された後で助ける気になるのか?と言う話もあるが、領民に犠牲が出ている状態でなんとか籠城して被害を抑えて居る状態らしいが、何時までそれが保つのかも怪しい状況である。



スタンピードの話を聞いてからスッキリせずに気を揉んで居ると、俺の所に国王陛下から連絡があって、スタンピードの収拾を付けて欲しいとの依頼があったのだった。


既に2日前からこうなる事を予測して居り、人員も物資もスタンバって居たので早速パパンと騎士兵士を連れてエレノートン伯爵領の領都エレノートンへと向かうのであった。


エレノートン伯爵と実際に会って指揮権を国王陛下命令で委譲して貰い、早速自体の収拾に取り掛かる。コージローとコーイチロー、それに今では家の配下となったケネス君らで、魔物の襲撃で破られ掛けてる城壁の修復をお願いしつつ、俺とパパン率いる部隊で城門の外へと攻撃を掛けて打って出た。


予想以上に負傷者が多く、ちょっと手が足りないので嫁いでいったマコちゃんに連絡して、負傷兵の救護にマーガレットやマリコちゃんと共に当たって貰ったのだった。


これで場内の方の混乱は何とか収まりが付いて領民達もホッと一息付いている。




この間に俺達は全員総出で場外で向かって来る魔物の群との攻防を行う。


スタンピードから2週間、俺達が参戦してから8日が過ぎた頃、漸くスタンピードの勢いが弱くなって、殆どゴブリン程度しか居無くなったのを見計らって元々ここを守って居たエレノートン伯爵領兵に討伐隊をバトンタッチして、


なんら問題が無いのを見計らって『収束宣言』をエレノートン伯爵に出して貰い指揮権を戻したのであった。


領民の感謝と換気の声に送り出される様に俺達は自分達の領へと戻ったのであった。


今回の援軍では、国境金の領地増えた事でが兵を増員していたのが見事に功を奏して非常にタイミングが良かったと言わざるを得ない。


また、嫁いだ後だったのに、救援に駆けつけてくれたマコちゃんにも感謝であった。


やはり保つべきは家族なんだなと深く心に思う俺だった。




さて今回のスタンピードだが、俺達が駆けつけてからの死者は0人であるがそれまでに領兵や領民を含んで数百人規模の死者を出している。


咄嗟に籠城したがあの城壁や城門が破られていたら、もっと壊滅的な被害がでていたであろう。


死者の殆どはトロール規模の魔物を討伐できなかった事による物で、もっと早い段階でトロールを討伐出来て居れば被害はもっと軽微だったかも知れない。


その後、エレノートン伯爵~今回の事のお礼と改めてダンジョンの攻略の依頼をされてしまったが、現在モーリーダンジョン攻略中の為今直ぐには難しいが時期が来たらまたさいけんとうすると返事をしたのであった。


エレノートン伯爵がその返答を聞いて口惜しそうにして居たが出来ない物は仕方無いのでしょうがないだろう・・・。




そんな訳で一応全ての収拾が付くまでにスタンピード中の領主の仕事が溜まって居た事もあって、なんだかんだで1ヵ月近くモーリーダンジョンをお休みしたのであった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る