第439話 思いっきり巻き込まれる

アルク君に「ジイジしゅごい!」と言われる為に旨味の無い階層を黙々と頑張って進んで行く。



第82階層を過ぎて83階層でダーク・エンジェルの次に出て来たのは又普通の白い天使に戻り剣を持ったエンジェル・ナイトであった。

このエンジェル・ナイトは剣術がヤバくて俺の剣戟を躱したり、いなして流れる様に反撃をして来る。



しかも持って居る剣も素晴らしく、俺の黄金丸の一撃を受けても折れずに受け止めて居る。



これは討伐後に剣を回収すべきであろう。 良い値が付くのは間違い無い。


1匹1匹が素晴らしい剣術を操る剣士であるのは間違い無いエンジェル・ナイトであるが、当初こそ押され気味であったのも30匹も討伐する頃にはそのパターンになれて来て、スムーズに倒せる様になったのだった。


どうやら、人間の剣士と違って自由な発想で戦闘してこないので、言っていのパターンを作り出すと何奴も同じ反応パターンしかしてこなくなり、その後に生まれる隙も同じ様に出来ると言う嵌め技に弱い事が判ったのだった。


このエンジェル・ナイトが持ってる両手剣はどうやらオリハルコンとミスリルの合金であるので、非常に良い収入源となったのでモチベーションが上がってウハウハしていた。


売って良し、一手間加え原材料としてオリハルコンとミスリルをそれぞれ抽出してインゴットとするも良しと言う美味しさである。


こうしてウキウキとダンジョンアタックを進めるのであった。



アルク君は俺に懐いてくれてダンジョンの話を聞きたがった。そこで俺は魔物の事やダンジョンの事色々と話して聞かせてやるのであった。


嘘で盛っても虚しくなるから・・・ 見栄を張って盛ったりせずに、ちゃんと本当の真実のみを話しているからね!


でもアルク君に「ジイジ、しゅごい!」って言われると鼻の下が伸びてだらしない顔になってる自覚はある。


そんな俺に張り合う様にマーガレットもダンジョン話をする様になったので、バッティングしない様におれは控える様になったのだった。



本当はそんなダンジョンアタックを好き勝手やっている間に家で子育てをやってくれていたマーガレットが一番凄いのだからね。


そして今再度努力して、魔法を訓練してマリコちゃんとダンジョンアタックに戻って居るわけだし、本当に凄いのはマーガレットだろう。




こうして見ると、我が家は順風満帆と言ったところで、なんのトラブルも無い様に思えるが、順風満帆過ぎると、他の貴族からのやっかみが激しく、何かと妬まれたりするのである。



根も葉もない噂や、謂われの無い非望中傷等、一々真面目に聞いて居たら胃に穴が開く程度では済まない事は間違い無い。


貴族家は多くあれど、我が家程、清廉潔白な家はそうそう無いと俺は断言出来る。




次期当主のコーイチローにもそこら辺の清廉潔白さを維持する様に硬く言いつけて居り、俺から代が移り変わった後に没落したり、自滅しないように口を酸っぱくして居る。




そんなある日、王家の方から国王陛下が王太子(マーガレットの実兄)に譲位すると言う噂が飛び込んで来た。



マーガレットの実兄は、長男である王太子こと第一王子と、次男の第ニ王子が居て、王太子とは良く会話しているが、第ニ王子とは余り話をした記憶が無い。


順当に行けば王太子が次期国王陛下となるのだけれど、俺は良く知らなかったが、第ニ王子を国王陛下とするべく担ぐ第ニ王子派なる派閥があるらしい。


俺としては特に王太子が継ぐので全く問題無いと思うのだが、第ニ王子派曰く、第ニ王子は優秀な人物なのらしい。


どうするんだよ?これ!?って思って居たが、いつの間にか、全く身に覚えも無いのに、王太子派の旗頭に俺がされていたと言う・・・。


音頭を取った事も何かをしたり画策さえした事が無いのにである。



そんな驚きの現実に呆然として居ると、俺の方にお伺いを立ててくる貴族家がワラワラと湧いて来た。


つまり、俺に旗を振れと言う事なのだろう。



そうは言っても国王陛下が決める事だし、何とも言い様が無い。



国王陛下に電話を掛けて、


『陛下、いつの間にかややこしい事になって居るのですがどう致しますか? 陛下がキッパリと後目を誰に譲るか断言しないと辞退の収集はつかないかと思いますよ。」と苦言を呈しておくのであった。


それから、3日もせずに、辞退は急展開を迎えてしまう。


これまで特に健康であった国王陛下が急死してしまって、王国全体が騒然としてしまう。



しかも間の悪い事に王太子に譲ると言う勅命書を作成する前にである。


訃報を聞いて直ぐに毒殺等を疑ったのだが、遺体は俺が鑑定EXで検証する前に火葬されて骨にされてしまったのであった。



俺とした事が、まさかと油断していたとアルク君を見てデレデレして居た陛下の顔を思い浮かべ思わず涙するのであった。





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