第433話 マーガレットの訓練 その1
結局翌日から久々にマーガレットの魔法訓練に付き合う事になったのだった。
あれだけ才能にあふれていたマーガレットだったのだが、長年使用してなかった魔法が錆び付いてすまっていて、まずはその錆剥がしから始めるのであった。
「思ってた以上に魔法が上手く発動しないわ。」と少し悲しそうな表情のマーガレットに掛ける言葉を探して、
「一度は上手く使えてた物だから暫く使って居る内に身体が思い出すよ。」と言うのがやっとだった。
まずは基本の事から始めて徐々に高度な物にして行くとして、日々マーガレットと魔法訓練場に通い詰めていると、昔取った杵柄か日々少しずつ元のパフォーマンスを取り戻しつつある様であった。
そして訓練から3週間も過ぎた頃には漸く以前のマーガレットに戻ったのであった。
尤も戻ったと言っても出来る事が以前と同等程度になっただけで、以前の様にスムーズな発動が出来る訳では無い。もっと鍛錬がひつようなのはやっている自分が一番良く理解している様で、終始下唇を噛み締める様な顔をしおて悔しがって居た。
「まずは復帰の一歩だな。元々センスがあったんだから、続ければもっとスムーズに発動する様になるよ。」と本人に取っては気休めにもならない言葉を掛けるのが精一杯の俺だった・・・。
マーガレットの訓練再開から半年が過ぎた。マーガレットの長所の一つである直向きな努力の甲斐あっていまでは発動もスムーズになってやる気が倍増して居る様子。
そして、最近では、以前に教えるタイミングを逃して居たゲートや『時空間庫』等を教えてやってマリコちゃんと共に『魔境の森』に通う様になったのだった。
マリコちゃんも1人はつまらなかったのかお母さんと一緒と言う事でご機嫌である。
いきなりダンジョン復帰は色々敷居が高いものの『魔境の森』ならば逃げ様も加減も出来るので丁度良いと本人も納得しているらしい。
『魔境の森』に行く様になってからと言うもののマーガレットもご機嫌で俺としてもありがたい。
時にはお弁当を持って俺とマーガレットとマリコちゃんの3人でピクニックがてらに『魔境の森』へ出かけている。
「今度家族全員でピクニックも良いな。」俺が言うと空かさず同意するご機嫌な2人。
思えばマーガレットはここ数年外に出かける事もほぼなくて、可哀想な事をしたかも知れないと深く反省する俺だった。
「マーガレット、その・・・余りどこにも連れて行ってやれなくてゴメンな・・・。」と俺がマーガレットにだけ聞こえる声で言うと。
「確かに子育てに忙しくてどこにも行けなかったけど、楽しい日々でしたよ。貴方気にしないで。十分に幸せだったわよ。」と笑顔で言ってくれたのであった。
それから暫く経った休日に家族全員で王都の近隣の景色の良い場所に全員でピクニックに行って、BBQをして家族で集合写真を撮るのであった。
この世界ではこの様な観光やピクニックと言うのは余り馴染みが無く、態々『馬車』で移動すると言う大変な思いまでして外でご飯を食べると言う『娯楽』は娯楽として認められて無かったのだが、そこは『ゲート』が使える我が家のメンツである。誰か1人さえその場所に行って来れば全員で手軽に移動出来るのである。
こうして、第2回、第3回に備え密かに景勝地をスタッフにリストアップして貰う俺だった。
そして、リストアップされた地に向かって一足先に向かって何時でも家族を招待出来る様にマークして置くのであった。
1年が過ぎて、努力に努力を重ねたマーガレットはマリコちゃんと同等の魔法を使える様になった。
流石はマーガレット、これで親の面目躍如である。
そして成長したマリコちゃんとマーガレットの2人でダンジョンにアタックすると言うので俺も最初だけはと言って付き添ったのであった・・・。
マーガレットも第10階層のボスは討伐済みなのだが、久々のブランク空けと言う事で念の為に2人で、『綺麗』に倒すと言ってボス部屋へと入って行ったのだった。
5分も掛からずに部屋から出て来た2人は凄く良い笑顔で(素材的に)綺麗に倒せたと喜んで居たのだった。
そして、油断無く進むと約束をして2人で第11階層へと消えていったのだった。
それから2人は連日アタックを続け、1週間掛かりで第13階層まで進んだと嬉し気に報告して来た。
こうしてマーガレットもマリコちゃんも希望していたダンジョンアタックが出来る様になってご満悦なのであった。
やや日数が掛かっているのは焦る必要も無いし、無茶をしない様に安全策を取っている為で特に駄目だとかそう言う訳では無い。
因みにマーガレットもダンジョン内で見せるマリコちゃんの魔法の才能には驚いて居て、流石は俺の子だと俺に言ってくれたのだった。
まあ俺にして見れば俺とマーガレットの子だからと言いたい所である。
マーガレットだけで無く、どの子も魔法の才能に恵まれて居て俺は非常に嬉しく思って居るのだ・・・。
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