第404話 再びソロアタック その4

1日置いて再びダンジョンに戻って俺は第54階層に降り立った。


久々の洞窟ステージである。

このところ空からズルをする癖が付いているのでこう言う歩き基本のエリアはちょっとゲンナリしてしまう。


まあしかし、魔力の流れを読んで下層への階段の方向を察知出来るだけでもかなりズルと言えばズルなのだがな。


そんな訳でテクテクと徒歩で歩き始める俺だった。


この階層の最初の魔物はウォー・ウルフであった。


グワオーーンと吠えながら狼男が俺の方へと突っ込んで来る。


流石にこの階層の魔物と言う事だろうか、ウォー・ウルフの動きはなかなかに俊敏で、俺もウカウカしては居られない。


咄嗟に魔弾で迎撃するも、簡単に避けられてしまって黄金丸での対応に切り替えたのだった。

奴の爪の攻撃を黄金丸で受け流してやると、ガキンと言う音がして、火花が散った。


奴の爪は金属並に硬いのだろう。


攻撃をいなしたその姿勢から返す刀で奴の胴体を逆袈裟斬りに切り裂く。


グオーと断末魔の悲鳴を上げてウォー・ウルフが倒れて事尽きたのだった。


この階層の魔物は少々骨がありそうである。


ウォー・ウルフを回収して先へと進むのであった。


次に現れたのは、リザードマンである。


これもウォー・ウルフ同様に動きが早く、気を抜いて相手して良い物ではなかった。


更に進んで出て来たのは、オーガ・ウォーリアと言うオーガのの上位種で、これも非常に素早く尚且つこれまでの階層のオーガに比べ強い個体であった。


どうやらこの階層は人型の魔物が出て来る階層の様である。しかもそのどれもがこれまでの階層で出て来た物よりも強く素早い。


まあこれはこれで面白いかも知れないがこの階層には罠もあるのでウカウカしていると、怪我の元である。


罠と魔物の両方を相手にしながら進む事3時間、いつも以上に疲れが蓄積している。


今の所罠にも掛からず無傷を維持している。



魔物との接敵頻度が多いのでソロだと休む間が無い。



水筒から水を飲んで立ったままサンドイッチを頬張る。



キシャー!と俺に休む間を与えまいとするリザードマンが俺に向かって駆け寄って来て大剣を振り翳す。


俺は、瞬時に黄金丸で受けて斬り伏せる。


もうこんなのがズーと続いており、些か疲れてしまっているのである。



しかしこんんな目印も何も無い所ではゲートで再開出来ないので、もう少し特徴のある所に言ってから上がるなり、休憩に入るなりしないと今までの苦労が無駄になってしまう。



砂漠フィールドでは剣を挿して目印にした事があったが生憎ここは岩肌の洞窟である。


剣を挿したくとも挿しようが無い。



こうして苦難の時を続ける事更に4時間・・・・漸くみつけたモンスターハウスで滅多斬りに魔物を切り尽くしてその後に高周波ブレードで、岩に斬り込みをいれて、中古のボロ剣を差し込んで目印としたのであった。




目印を付けた事でホッと一息着いた俺は、今日はここで上がる事にしたのであった。




中1日を置いてまたこの前のモンスターハウスにゲートを繋ぐと、間違い無くあのモンスターハウスに出る事が出来た俺はホッとして、ダンジョンアタックを再開するのであった。




罠と、魔物のダブルアタックにも大分なれて来た俺は徐々にペースを上げて調子に乗っていく。


この洞窟は高さが余りないので、先日の様な厄介なトロールは出て来ないのが救いかも知れない。



この日も苦難の探索がガッツリ6時間程続き、這々の体で自宅に戻ったのであった。



結局この第54階層を抜け出すまでに、実質13日間を要したのであった。



願わくばこの手の階層はご遠慮願いたい。



あまりにもこの54階層に手子摺った事もあって、多めに休息日を取ってその分、子供らとの時間を長めにして、色々とダンジョンの話や魔法の話をしてやるのであった。




最近では言葉もしっかりして来た事もあってそれに伴いコージローもかなり魔法を覚えて来ている。具体的には攻撃魔法や土属性魔法での造形物作りなんかも出来る様になっており、


兄のコーイチローと共に一緒に色々な魔法を試して遊んで居る。


粘土遊びの代わりに土属性魔法での造形物作りをやっている感じでもある。


その成果は魔力操作に現れるのでこれは将来的に楽しみかも知れない。



こうしてゆったりとした休みを挟み、第55階層に足を踏み入れたのであった。



第55階層は、熱い溶岩が流れて居る火山フィールドであった。


これはアカンフィールドである。


サクっとパスするに限る。


と判断した俺は気密シールドを展開し、内部にエアコンを効かせながら、それでも溶岩の放射熱にジリジリしつつ、魔力の流れを読んで方角を定め、ウィングスーツによる滑空を始めるのであった。


上空に上がったものの、乱気流に煽られて揉みくちゃになったり水平飛行も難しい状況に陥ってしまう俺。


溶岩による上昇気流と、それに伴った下降気流とで滅茶苦茶飛び難いのである。


結局、一旦穏便に地上に降りて様子を窺いつつ、暫く徒歩でこの灼熱地獄の中を進むのであった。



暫く行くとこの階層の最初の魔物が登場である。レッド・リザードマンが炎を吹き掛けて来て慌てて、魔装を強化して事無きを得る。


これだけ熱い中で更に火を吹いて来るとか意味不明な攻撃仕掛けやがって・・・。雑にサクっと黄金丸で斬り伏せてそのまま回収せずに棄てて置いたのだった。


もうこの階層の魔物の回収は諦める方向で行く予定である。


気密シールドを展開して中で風魔法のエアコンを掛けているにも拘わらず、異常に熱い肌が少し放射熱で赤く焼けている気がしている。


どうした物だろう?基本俺の耐火装備は魔法頼みで特殊な耐火の皮ローブ等を持って居無いのである。こう言うステージ用に一揃えした方が良いのだろうか? そうなると、さっき棄ててきたレッド・リザードマンが勿体無く感じてしまう。

次のレッド・リザードマンは綺麗に倒してそれで耐火のローブを作って貰おうと考える俺だった。


それから、20分位進む間に2匹のレッド・リザードマンが現れたので今度は丁寧に倒して、血抜きを終えてから、回収したのであった。



この階層に罠は無いみたいなのだが、罠以外に時々飛んで来る火山弾がかなり厄介で、魔装がなければちょっと危ない感じのが何発か附近を通過したのであった。



どうせ、1日では終わらなそうなので、倒したレッド・リザードマンを使った耐火のローブとグローブのセットを特注する為に早上がりをする事にしたのであった。


55階層に比べると、冒険者ギルドのなんと涼しい事か・・・。一人で大汗掻いていてちょっと恥ずかしかったが大至急で、皮を剥いで貰ってそれを持って、武具屋に特注をしたのであった。



自宅に帰る前にクリーンを2回掛けて置いたので多分臭くは無かった筈である・・・。

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