第402話 再びソロアタック その2
翌日は連チャンでダンジョンに潜る事なく、午前中は領主のお仕事をして午後からは子供達の訓練の相手をする。
こうして1日置きに潜る事で一部に皺寄せが来ない様にと心懸けているのである。
それに第3子目を妊娠中のマーガレットの事もあるので、幼い息子らの面倒を見ると言う親ならではの役目もあるからね。
そんな訳で1日置きにダンジョンに潜る事にしていたのであった。
そして家庭サービスの1日が明けてダンジョンアタックの日となり、朝から、第53階層にゲートで移動して第1歩目を踏み出したのであった。
一昨日の第52階層とはガラッと変わった多少ウネリはあるものの概ね見晴らしの良い平原フィールドである。
魔力の流れを読んで下層への階段の方向を察知して歩みを進める。
さてこの階層の魔物は何が出て来るのか?とワクワクしつつ歩いて行くが早速向こうの方からモコモコと地面を畝って突然俺の目の前にガバッと姿を現す3匹のキラー・ワームによる連携プレイ。
咄嗟にバックステップで斜め左後方へと躱して黄金丸を横薙ぎに一振りして1匹を仕留め沈めた。
それに対してキシャー!と怒りの鳴き声を上げる残された2匹が仲間を呼び新たにモコモコと畝って5匹が参戦して来た。
合計で7匹のキラー・ワームによる連携である。
俺の周りを取り囲もうと必死でクネクネと身体を捩っているが、残念な事にやつらの卯木機は非常に遅いので全てを難なく躱して1匹また1匹と黄金丸の餌食とねって行く。
最後の1匹を仕留め終えた後、この8匹の残骸をどうするか一通り考えた結果、汚れそうなので放置する事に俺の中で満場一致で決定しサッサとその場を放置して立ち去るのであった。
さてこの階層にはザッと見た所、ポーションを作るのに最適な高品位な薬草が沢山其処ら中に生えて居て、思わず錬金術師としての血が騒ぎ、駆け出しの冒険者に戻ったかの様に2時間程一心不乱に薬草採取をするのであった。
2時間程で普通ではあり得ない量の薬草を採取してホクホクしていたが、このまま薬草採取だけで1日を終わらせる訳にも行かないので、重い腰を持ち上げて背伸びをして薬草摘みの間に俺に突進して来たヒュージ・ホーンラビットを回収して廻って、先へと進むのであった。
俺はこの階層で初めてヒュージ・ホーンラビットなる物と接敵したのだが、鑑定EXさんの情報によると、通常種のホーンラビットよりもジューシーで美味いらしい。1匹1匹が大きいので食い応えがありそうである。
そして暫く進んで行くと今度は倒木の影から、ケーシャーと鳴いて俺を威嚇しつつデス・センチピードが姿を現して口の牙から毒液をし垂らせて来た。
俺は即座にサイドステップで最初の攻撃を躱して雷魔法のサンダー・アローを奴にお見舞いしてやるも、多少ジタバタしたものの耐え凌ぎやがった。
今度は、黄金丸で胴体と頭を切断して胴体が激しく痙攣した後、胴体が丸くなって絶命したのであった。
これも持ち帰るか検討した結果、結局放置処分としたのであった。
更に進んで行くワォーーンとウルフ系の遠吠えが聞こえて、その姿を現した、今までのウルフ系には見られなかった立派な角が眉間の上に1本生えている、ホーン・ウルフである。鑑定EXさんによると、魔法攻撃もするとか・・・。
20匹余りが一斉に俺を取り囲む様に周囲に散らばって俺の逃げ道を塞いで来る。
俺は取り敢えず、ストーン・ブリッドを連射したが、流石にこの程度の攻撃は奴らに効かず、そのしなやかな毛皮でいなされてしまって、大したダメージを当たるには至らなかった。
すると今度は俺らのターンとばかりに、ボス格の1匹がワンと吠え、一斉にその眉間の角から俺に向かって雷系のサンダー・アローが発射されたのだった。
これには流石の魔装も威力を他所弱める効果程度しか発揮してくれず、痺れて動けなくなる前にショート・テレポーテーションで、ボス格の背後へと瞬間移動して、黄金丸で奴の背後から、首に一太刀入れてボス格を倒したのであった。
その後、統制が取れなくなったオロオロするばかりのホーン・ウルフの残党を始末するのは容易であったと言って置こう・・・。
まあ実際には個々に強い個体は居たので多少はそれなりに時間を掛けた事は事実である。
そして、奴らの立派な毛皮は良い値が付きそうなので、全て血抜きをしてから回収したのであった。
一旦ここで昼飯のサンドイッチを食べて更に進むと、重厚な足音が聞こえて来て棍棒を担いだトロールが現れた。
俺を見ると嬉し気にその4m程の巨体の上についた顔を綻ばせてギュモーーと鳴き声をあげて口角を上げていた。
さて、こんな大きなトロールに出会った事は無いのだが、トロールは傷を追わせて自動回復スキルを持っていて厄介な相手であると聞いているし、鑑定EXさんもそう言っている。
まずは足のアキレス腱を切って跪かせようと瞬時に黄金丸でアキレス腱に斬り込みを入れたのだが、傷を負わせた傍から治癒が始まり、倒れる前に数秒で、元通りとなってしまう。
これは実にタフで厄介な相手である。
チェッと舌打ちをして、今度は、黄金丸ではなく、高周波ブレードを使って、思いっきり足首を切断するつもりで太刀を浴びせる。
これにはさしもの硬いトロールにも効いた様でギュガーーー!と鳴き声を上げながら、足首を切断されて斜め後ろに転倒したのであった。
俺はそのチャンスを逃さず、転倒して居ても尚棍棒を振り回そうとする、トロールの左手首を高周波ブレードで切断して、鳴き声を上げながらジタバタと暴れるトロールを尻目に、奴の首筋に長く伸ばした高周波ブレードの飛び上がった後の落下スピードを利用した一太刀をお見舞いしたのであった。
それで、とトールは絶命し、俺の勝利で終えたのであった。
折角の大物だし、トロールの硬い川は皮鎧の良い素材になる事から、これも血抜きを終えてから回収したのであった。
こうして、いい時間となったので本日のダンジョンアタックは終了し、自宅へと戻るのであった。
自宅にも度つと、まず先に工房の方に廻って、採取した高品質の薬草の下処理を弟子達にお願いしておいたのであった。
勿論翌日はポーション作りの為に半日を費やしたのは言うまでも無い。
ちなみに、この世界のポーションであるが、俺以外の錬金術士が作るものは初級ポーションが精々で、中級ポーションや上級ポーションを作れる者は少ない。と言うか無に等しいとモリーンから聞いて居る。
そして、今回の様に上質の薬草があれば、俺なら100%の確率で上級ポーションが作れるのである。
折角なので、弟子達にもビシバシ指導をして、良いポーションが作れる様になって貰おうと思う。
こうして上質な薬草が手に入った為にちょっとイレギュラーな日程となったが、弟子達は上質な薬草を存分に試せる事を喜んで居たので結果オーライであろう。
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