第400話 重ねるイメージ
『ラディッシュ団の乱』から5年の月日が流れた。
その後は特に扇動された様な騒乱は起きて居らず、最早これ以上同様の事件は起きないのではないか?と思う。
コーイチローは9歳となりコージローは4歳となった。子爵家の子女となった見目麗しいマリーは19歳となってそろそろ結婚の文字が見え隠れしているが俺と一緒に今もダンジョンアタックをして居る。
本人曰く、自由な冒険者でいたいと言う話だった。
パパンもママンも大らかなので本人の望むままに・・・と言っているので本人に一任されている状態である。
社交界シーズンになると貴族の子女の勤めとしてマリーも舞踏会に出かけるのであるが、そこでもママンに似て美人さんのマリーは大人気である。
なので、本人さえその気になれば結婚の2つや3つは軽く出来るのにな・・・。
俺も一緒にその舞踏会に出席する事があるのだが、俺の友人であるゲルバトス公爵家の次男坊のハイマンがマリーの事を気に入ってて、俺を通して是非に!と熱いラブコールを送って居る。
マリー本人もハイマンの事は顔見知りで何度も一緒に踊ったりしている仲なのと俺のプッシュもあって意外と満更では無い感じなのだ。だからもしかするともしかするかも知れない。
そして、極めつけに良い条件の一つが、ゲルバトス公爵家の領地にはお誂え向きにダンジョンが存在する事である。
これはマリーが『結婚後』もダンジョンに通う事になったとして、非常に有利な条件の一つとなるだろう。
後はもう一息ハイマンがプッシュしたらイケるんではないかと思いつつも兄として非常に複雑な気分なので2人の状態を敢えて見ない様にしているのであった。
そして、ハイマンが王都の我が家に遊びに来て、マリーがダンジョンから帰って来るのを待っている間に、助け船として、
「なぁハイマン、マリーだが、知ってるかは知らんがダンジョンに行くのが大好きなんだよ。ただ、ダンワースダンジョンばっかりだから、違うダンジョンにも入り耐かも知れないなぁ~。多分程度問題は在るけど結婚してもダンジョンに入って良いとか言われたらクラッとくるんじゃないかな?」と呟いてみたら、
「なる程、トージ、それ位何でもないぞ!!ワハハ」と嬉し気に笑っていたのであった。
結果として言うとおれの助言の通りのこと場を添えたプロポーズが見事に実ってマリーが承諾し、後はゲルバトス公爵家とコザワ家との当主同士の話し合いの場に俺も公爵家として呼び出されて終始和やかな結婚についての話し合いのあれやこれやを終えたのであった。
初めてお話ししたハイマンのパパン事ゲルバトス公爵はガッチリ体系の気さくな方で御自身も若かりし頃は自領のダンジョンに潜っていたのだとか・・・。
なのでパパンとも普通に話が合って一先ず第二関門を通過したのであった。
そんな訳でトントン拍子に結婚話が進んで行ってしまい、アッという間に結婚当日となったのであった。
この世界では結婚前夜に三つ指を付いて云々と言う風習はない物の小さい頃より手取り足取り魔法を教えて来た俺にはキチンとお礼を言われて堪えた物の胸にグッと来る物があったのだった。
今の内からこんな事では当日の結婚の儀では危ない危ないと気を引き締め涙を飲み込む俺であった。
結婚の儀は両家の出やすい王都で行われる事となって、マリーを乗せた立派な白い馬車が俺の所の王都邸を出発したのであった。
幼い頃より面倒を見てきたマリーと自分の娘のサチちゃんとを心の中で重ねて接して来た事もあって、我が子の結婚の様な気持ちとなって高ぶってしまって、パパンやママンよりも号泣してしまう情けない俺であった。
尤も俺だけでなく、弟のタージやコーイチローもマリーに懐いて居たので泣いていたけど、良い歳の大人で号泣して居るのは俺くらいであった。
素敵なドレスに身を包んだマリーが俺達の手元から離れて行く・・・・前世において来た家族への思いと重ねるな!って言う方が無理と言う物であった。
こうして感動的?いや感傷的?な結婚の儀は無事終わって結婚の儀の後のパーティーも終わりマリーは来た時とは別々に、ハイマン一家と一緒に嬉し気に俺達の前から去って言ったのだった・・・。
何か一番賑やかな家族が一人減っただけで、火が消えた様に感じてしまうのは仕方が無いだろう?
マリーが居無くなった翌朝、朝から元気なコーイチローとコージローの2人に思いっきり身体の上にダイブされて文字通り叩き起こされてしまうのだった。
「お父さん、魔法行こうよ!」と言う2人の息子。
まあ流石にコージローは魔法を理解するには長な過ぎるのだが、本人のやる気が大事なのである。
朝食を取った後、2人を連れて、魔法訓練場に行って2人の魔法を見てやるのであった。
お陰でウジウジせずに明るい朝を迎える事が出来た事に感謝する俺だった。
もしかすると幼い2人に気を遣わせてしまったのかもしれない。
なーに・・・マリーとは今生の別れと言う訳では無いのだ!
単に別の家族になっただけ。お互い生きて居れば合う事もできるのだ。なく必要は無い。
只彼方での幸せな生活を祈って居れば良いだけである。
こうしてまたソロに戻った俺は、子供らに魔法や剣術を教えつつ、徐々にまたソロでのダンジョンアタックの再開に向けて計画を練るのであった。
と言うのも最近色々と領主の書類仕事が溜まっていて、家臣達からの追求が厳しいのである。
まあこれも領主の勤め領民の為である。溜まった書類の山にウンザリしつつも真剣に1枚1枚書類を精査するのであった。
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