第399話 ラディッシュ団排斥
王宮で話合った結果、現在王国にはに騒乱罪に相当する法律が存在しないらしい。
今まで場当たり的にお触れ等を出して居たが、この様な騒乱罪や国家反逆的な行為に関しては個別に国王陛下が裁いて居たらしい。
まあ言い換えるとそれだけ平和であったし、内乱を起こす様な者や外部から扇動的な工作を考慮して居無かったらしい・・・。
そこで、俺も日本時代の刑法とかに詳しくはないものの、秩序を乱す集団を罪に問う騒乱罪やついでに国家反逆罪を急遽作る事を進言しておいたのだった。
しかし、アムール王国版騒乱罪が出来て交付された頃には既に王都にも『ラディッシュ団』が入り込んだ後であった。
そしてある日一斉に『ラディッシュ団』がその本性を現し、5つ以上の都市を含む王国全土で暴動を開始したのであった。
ある者は奪われ、ある者は虐殺され、女性は穢されもう、滅茶苦茶である。
領軍や衛兵で抑えようにも膨れ上がった暴徒の鎮圧は容易ではなく、唯々領民の損耗が増えるばかりであった。
王都でも暴動が起きたが、『ラディッシュ団』は潜入してからの期間が短かった為50名ちょっとと少人数だった事幸いした為、直ぐに出動した近衛騎士団と衛兵とで鎮圧排除されたのだった。
王都の被害は他の主要都市のそれと比べ非常に小規模であったと言えよう。
問題は主要都市に起こった同時多発テロの様な暴動である。
各主要都市の領主達から王宮にも救援の要請があって、結局王宮経由で俺とパパンにも出動要請が入ったのであった。
「お父さん、王宮からの支援要請だけど、嘘でも王国民を制圧排除しなきゃならないってのは気が乗らないね。」とおれが溜息交じりにパパンに愚痴ると、
「そうは言っても相手は暴動起こして殺戮したり残虐行為してる奴らだし、仕方ねぇ~だろう?」と溜息交じりに返すパパンであった。
俺達は前回の戦争時と同じ70名体制で王都経由で暴動の起きている主要都市に乗り込むのであった。
暴徒とは言え自国民を物理的に排除すると言う行為に陰鬱な気持ち成りながら1都市2日位のペースで暴徒の鎮圧を行い王国全土の『ラディッシュ団』の暴徒を排除するのに約13日間の期間が掛かったのであった。
一応暴徒と化していた『ラディッシュ団』の排斥は完了したものの、心は全く晴れない。そもそもだが、各領主はちゃんと領主業を行って居たのか?と小一時間程問い詰めたい。
家の情報収集部門の報告では各領地の衛兵や官僚との癒着が原因で野放しになったと言う事であったので、この責は厳密に問うべきだと思うのであった。
しかし、『ラディッシュ団』の首謀者と言う者は結局最後の最後まで判らず、隊長クラスの者は今回全て始末出来たが、どうもそれらの上に指導者が居た様であった。
トカゲの尻尾切りではないが、本命の首謀者が誰なのか既に始末出来ているのかさえ判らず仕舞いで今回の全国的な暴動の終結となったのは非常に悔しいところである。
恐らくではあるが、用意周到なこの『ラディッシュ団』の首謀者は一足先に逃げ果せている気がしたならないのであった。
「国王陛下、報告致します。漸く各主要都市での暴徒を排除致しましてございます。但し、首謀者と思しき者が判明せずに既に逃げ延びてしまったものと思われます。
よって、場合によっては第ニ第三の『ラディッシュ団』の様な集団が各地に密かに根付くかないとは言い切れません。更に付け加えると、今回『ラディッシュ団』がのさばる切っ掛けとなったのは衛兵や官僚との賄賂に寄る癒着が原因。それらを厳しく取り締まらないといつ何時同じ様な聞きが起こるかは判りません。」とパパンと共に国王陛下や宰相閣下の前で片膝を付いて報告をするのであった。
こうして王宮の報告を終えた後、お褒めのお言葉を頂き漸くお役御免となって自宅に帰ったのであった・・・。
その後、王宮より今回暴動が起きた各主要都市・・・つまり賄賂と癒着で『ラディッシュ団』をのさばらせて仕舞った都市の領主には王宮より厳しい叱責と救援に駆けつけた我が家とパパンのコザワ家に報奨金を渡す様に命じられたのであった。
まあ余談だが、只でさやっかみの対象となって居る、我が家とパパン家に対する嫉妬と言うより良く思わない貴族連中の
コレばかりは、俺がなんとかヘイトコントロール出来る物ではないので余り吐出した事をしない様に暫く大人しくしていようと思う俺であった。
王宮ではコレを切っ掛けに刑法を正式に制定する事と決めたらしく、その後もちょいちょい王宮にアドバイザーとして招集を受けるのであった。
とは言っても、元々詳しく日本刑法を学んだ事も警察に捕まってしまった経験もないので、結構ザルな法律の創案となったかも知れない。
刑法の場合、その罪状と見合った罰則の加減が非常に難しく、罰則に関しては俺はタッチしなかった・・・。
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