第398話 捻れた男 その2
漸く戦の後処理も終わって王宮の方から戻って普段の生活に戻るのだが、王国全体で見ると各地がゴタついたままで不安定な感じが拭えない状態であった。
ちょっと見ない間にコーイチローは攻撃系の魔法をかなり使える様になったらしく、おれに披露したくて仕方が無い様である。
帰って来たら「お父さんお帰りなさい。」と言うや否や魔法訓練場に俺を引っ張って行って不在の間の成果を嬉し気に俺に披露してくれたのだった・・・。
いつの間にか、ファイヤーアローを撃てる様になっており、魔法訓練場の的の後ろの壁には幾つも当たった黒焦げの跡が残っていたのだった。
威力もとても5歳児とは思えない物で、流石は俺とマーガレットの息子だと誇らしい気持ちになって思わず抱き上げて褒めてやるのだった。
そんな可愛い盛りの息子らとの日々は戦でささくれだった俺の心を穏やかに和ませてくれるのであった。
■■■ロケティシュSide■■■
俺は何とか旅人を装ってマーコスの街へと潜入し、圧政に不満を抱く者の不満を煽ってここマーコスで暴動を起こしてやろうと躍起になって薄暗い裏路地を歩き廻って居た。
そして驚愕してしまった。ここマーコスには通常の街ならある筈のスラム街が存在せず、孤児達も溢れかえって居らずちゃんと孤児院に入って、ちゃんと食事を貰って暮らしているのだ。
しかも、聞くとここの領地は他よりも税が安く治安も良い街だと言う。
みんながここの領主であるオオサワ公爵に感謝しており不満など皆無と言う事であった・・・。
これは拙い!俺のスキルは人々の不満に付け込んでこそ効果を発揮する扇動である。
全く不満の無い奴らに幾ら扇動を無理矢理仕掛けようとしても効果が薄く、逆に反感を買ってしまい衛兵に通報されて危うい所をギリギリでマーコスから逃げ延びたのであった。
あの街は駄目だ・・・俺には扇動出来ない。どうやら、オオサワ公爵と言う人物は俺知る一般の貴族とは一味違うらしい。
思えば同少しはこの国に復讐も出来たしここらでおれの復讐は終わりにしても良いかな?とギリギリで逃げ果せた事にホッとしつつ今後は大人しく真面目に生きようかと考える俺だった。
そしてマーコスから王都経由で元王宮魔法師団長であるトビウス伯爵領へと流れたのであった。
しかし、俺の流れ着いたトビウス伯爵領こそ俺の望んだ混沌と汚職の混在する腐った領地であった。スラム街は存在し、人々の目は密かな怒りでギラついている。
これだ!これ!!こう言う街でこそ俺の扇動が効果を発揮するのだ!
俺はちょっと前まで真面目に大人しく生きようかと改心仕掛けたが、そんなの気の迷いと思ってここトビウス伯爵領の領都で薄暗い路地の闇に住む事にしたのだった。
魅了スキルを使って地元のチンピラを手名付けて、徐々にその組織を拡大して行く。
最初こそ5名くらいの弱小集団だったのにあれよあれよと言う間に反対勢力まで飲み込んでその規模100名以上の立派な組織になってくれたのだった・・・。
■■■トージSide■■■
平穏な日々が続いているが、暫くサボっていた書類仕事の書類の山の中に珍しく、衛兵から、領民の中で不満を煽る様な言動を彼方此方で繰り返してる人物が居るとの通報があったがタッチの差で場外に取り逃がしたしまったとの報告書があったのに気付いたのだった。
聞いた人物の特徴がフローツマン王国を扇動したロケティシュなる人物に似ている気がするが、まさか何百kmも離れた我が国に居る訳がない。きっと思い過ごしだろう。と報告書にサインを済ませてからチェック済みの書類の山の上に置くのであった。
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ここトビウス伯爵領ではロケティシュ率いる新興勢力のラディッシュ団が幅を利かせしかも衛兵に賄賂も握らせて黙らせているので遣りたい放題となっていたが、汚職が蔓延って居るので領主であるトビウス伯爵の耳には入って居無かった。
一大勢力となったラディッシュ団は隣の領にまで勢力範囲を伸ばし徐々にではあるが、その魔の手を王国中に伸ばし始めるのであった。
そして、半年が経つ頃には、5つの都市に根を生やして、次は王都を狙おうかと計画しているのであった。
ヤッ足る事も中身もは結局マーダム教の時と同じであるが、ラディッシュ団はただの団体であるし宗教では無いのでセーフである。
こうして着々と平穏だった王都に魔の手が伸びてくるのであった。
オオサワ商会の情報収集部門から急ぎの報告が上がって来たのはこの頃で、『ラディッシュ団』についての詳細が書かれて居たのであった。
俺は直ぐさま王宮に連絡を入れて、『ラディッシュ団』についての報告を上げたのであった・・・。
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すみません、また更新予約のミスで投稿が遅くなりました。m(__)m
何だろう?時々やっちまいます・・・。
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