第389話 難民対策のあれやこや

一先ず難民受け入れ様の簡易宿舎に押し込めたガリーニ男爵領からの大人の難民だが、根本的な解決策も無いままに時間のみが過ぎて行く。


再度我が領で開拓させたくても時期が悪い。これから寒い冬がやって来るので当面はこちらで食料の補助等をして凌ぐしかない。


今の内に新しく作る開拓村の位置の選定を行って可能な限り早めに仮設の住宅を作ってやって、来春から移転して本格始動して貰う様に言い含めて置かねばならないな。


仮に同意が得られなくとも元々我が領民でも無く我が領民の血税で養うのは筋が違うからな・・・。


かと言って放り出して野盗や盗賊になられても困るし。


一番腹立たしいのは領民が逃げ出す様になるまで無策に放ったらかしていたガリーニ男爵である。


もし苦しい台所事情があるなら、領民の為に俺の所へ一言頭を下げに来れば良いのである。


それをしなかった時点でどう言う人物なのか察してしまうが、恐らく当たらずとも遠からずであろう。


そう言えば、ガリーニ男爵って俺が個々一帯に赴任した際に挨拶に来なかったな。近隣の領主で下位の貴族は殆ど挨拶に来たけど、ガリーニ男爵は記憶に無いし。




結局ゲイツさんと話し合って10箇所に新規の開拓村を来春に向けて建築する事にして難民達にお達しを出してこれから先の事について因果を含める事となった。


仮設宿舎前の広場にて大声を張り上げる我が家の官僚の一人であるロベルトさん。


「いいか、諸君らにこのままぬるま湯の様な生活を続けさせる程の余裕は我が領にはない。今諸君らに配布して居る日々の食料もこの宿舎も全て我が領民達の努力の賜である血税から一時的に出て居る。

我が領で一番優先すべきは元からの領民である。しかし人道的な観点から支援の手を差し伸べたに過ぎない。

これに甘えて奮起しないような者は我が領から排除する! しかし、我らが領主様は鬼ではない。非常にお優しいのだ諸君らは非常にツイている!

来春から諸君らに新しい開拓村を任せて翌年にはちゃんと自活出来る程の収穫を出来る様にと援助の計画を立てておいでである。魔動具の農機具から仮設の住居までを用意した上で5つの開拓村をそれぞれに割り振ってお任せになる。


しかも、初年度~2年までの税については免除してくださるそうである。喜べ、そして奮起せよ!我が領ではやる気のある者、努力する者が損をしない様な領を目指している。」


とダラけた感じの難民達の前で宣言したのであった。


俺は隠密セットを使って姿を消してフォース・フィールドの足場の上から見て居たのだが、まあ反応はやる気を多少だしてそうな者が3割程度、残り7割は嫌そうな顔をしていた。


そんな

奴らの前に、


農地を耕す農機具の魔動具や刈り入れ用の魔動具に脱穀用の魔動具などを見せてやって、自分達に支給されるの業の助けとなる道具を見せると、目に見えてやる気を見せる者の割合が増えたのであった。


鉄は熱い内に打て問い言う諺もあるので早速、翌日から10箇所に新規の開拓村を作る事にしたのであった。


え?誰がって? そりゃあ、俺だよ・・・。


農業に適してそうな我が領内の空いた土地10箇所に日当たりを考えて5m程の城壁を築いて囲んでやって井戸を掘ってやって、農地を開墾して仮設の住居を20軒程土魔法で作ってやる。


これを1箇所1週間掛からないくらいのハイペースで建設して行く。


しして仕上げに固定ゲートを全10箇所の開拓村に作って設置してやって、領都の城壁の外に作ったゲートセンターと繋いでやったのだった。


これ今回新規で作った開拓村だけ固定式ゲートを結んだのでは既存の村からクレームが来るのでこの機会に既存の村々も領都とゲート網で結ぶ事にしたのであった。


先に10箇所の開拓村への割り振りを行って、自分達の住居を決めさせて自分らで住居の内装を仕上げる様に仕向けてやると不思議な物で、競う様に自分らの家を決めセッセと開拓村に通って


自分達の住居を仕上げるのであった。とは言っても、柱等の一部は木材を使って壁のみを俺の魔法で組み上げて居るので、やる事は、寝床の作成や内装の板張りくらいで済む様にしている。


村長用の家意外は全戸同じ形同じサイズである。しかも畑は既に粗方俺の魔法によって開墾済み。木の伐採も根の掘り起こしも大岩の取り除きも官僚して居り、一応、一介は土を裏返してあるのだ。


実際にガリーニ男爵領の時と比べるべくもない好待遇に絶望しきっていた彼らもやる気を漲らせて徐々に力強い光を目に灯らせていたのだった。



そんな訳で俺の20歳の誕生日を迎えるまでには場内に建設していた仮設住宅から、率先して開拓村の新居の方に転居して行ったのだった。


一応、冬を越せるだけの食料等は各村に配布済みである。

後は冬用の薪を歩近隣の林から集めて置けば凍死する事もないだろう。

まあそれを見越して一応、この10箇所の開拓そのの周囲には林や森がある場所を選んで置いたのである。


あとは、本来なら領都までの街道を結ぶ必要はあるが、固定ゲートのゲート網で結んでいるので必須ではない。


俺は現在既存の村と領都を結ぶゲート網の構築でてんてこ舞いである。


こんな事なら、先に既存の村々に固定ゲートを設置して置けば良かったと今更ながらに後悔して居たりするのだった。

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