第387話 3度目の体験
モリーンから農機具シリーズの拡充に追われるものの、切羽詰まった物では無いので基本マッタリと弟子達と製造していく内にいつの間にか領地の収穫も終わり各魔動具のテストは良好な結果を残していた。
実際に使った農民達の評価は控え目に言っても最高で、来期も是非使いたいとの事であった。
来期は土を耕す魔動具も追加するので更に高評価を得るだろう。
収穫や脱穀に魔動具を使う様になって、大幅な労力と時間の短縮となっている。
それに加え来期は農地の耕しまで楽を出来る様になるのだから、辛く苦しい作業の多い農民達の士気も上がるって物だ。
そんな訳で、来期の発売に向けて現在自主的にマッタリとストック分の作り溜めをしているのである。
仕事の方はそんな感じに順調だが、プライベートの方はいよいよマーガレットが出産時期となって大きなお腹で日々苦しそうに動いている。
これは安産の為にも多少は身体を動かした方が良いと言う事で日々屋敷の安全な廊下を素足で歩いている。
大きなお腹を抱えペンギンの様にペタペタと歩く様が愛おしい。
ここのところ何度か教会に行ってナンシー様に安産と母子共に無事をお願いしているのだが、余りにも頻繁にお願いに行くのでナンシー様に少々呆れられているのであった。
そしていよいよ陣痛が始まってスタッフが慌ただしく動き始める。
俺?俺は邪魔にしかならないので自室で大人しく両手を合わせてナンシー様に祈るだけである。
既に前世から数えて3度目の出産体験ではあるが、本当に何度体験してもこのフワフワした様な落ち着かない感覚は慣れない。
出産は午後2時から始まって、結局元気な産声を聞けたのは、午後7時を回った頃であった。
オギャーと言う可愛い声を聞いた俺は直ぐに自室を飛び出しマーガレットの居る分娩室に走ったのだった。
暫くすると、スタッフが出て来て、
「おめでとうございます。元気な男の子です。」と俺に報告して来たのであった。
俺は、「そうか、マーガレットは無事か?」と尋ねると、「母子共に元気ですよ。」と教え手くれたのであった。
おれは浮かれる心を隠せずに我が子を抱く為に中分娩室に入れる様になるのを廊下でウズウズしながら待つのであった。
15分位またされた後、分娩室に通されてまずはクリーンを自分自身と部屋に掛けてその後に、マーガレットに回復魔法を掛けてあげた。
「マーガレット、良く長い間頑張ったね。ありがとう。」と言ってマーガレットに抱かれている小さな我が子を覗き込むのであった。
俺が抱きたい事を察したマーガレットが、小さい我が子を大事そうに俺の方へと差し出すので、絶対に落とさない様に、シッカリと受け止めて腕の中にスッポリと抱き抱えるのであった。
可愛いマーガレットに似て金髪で端正な顔立ちである。
「マーガレットにてイケメンになりそうだな。早めに名前を付けないといけないな。マーガレットも一緒に考えよう!」と言ったら、この名前刃父親が授けるのが仕来りだと言う。
そこで俺は
「コーイチロー良かったですね。お父さんが良い名前を付けてくれましたよ~。」と我が子に声を掛けるマーガレット。
勿論これはこの先弟が生まれる事も想定済みの名付けである。
そうやって考えると、今生では早死にしない様に気を付けないと行けないな。と改めて気を引き締める俺だった。
コーイチローはよく泣きよく飲みと言った感じで初日から元気いっぱいであった。
因みに王家や貴族の場合乳母を雇うのが常らしいのだが、それはちょっと色々と切ないので何とかマーガレットの母乳でしだてて貰う事にしたのであった。
コーイチローが生まれてからと言うものの、俺の生活は一転してコーイチロー中心の生活となって行った。
と言っても俺自体出来る事はは殆ど無く侍女やマーガレット任せになっているのであるが・・・。
とは言ってもママンもパパンも初孫フィーバーで面倒見る機満々ではあるんだがな。
一応、新米ママであるマーガレットに配慮して余り手を出さない様に我慢してくれて居る様であった。
そしてマリーは学校から帰って来ると真っ先にコーイチローの所へ挨拶をしに来る様になった。
俺への挨拶は何方かと言うと二の次である。
やはり幼くともマリーも女性と言う事だろうか? 両親以上にコーイチローにメロメロである。
そんな訳で俺の担当は主に夜中のオムツ替えくらいなのだが殆ど出番も無くて役立たず状態である。
「何か子育ての役に立って無い様で申し訳無いとマーガレットに謝罪するもふふふ、大丈夫ですわ。」と優しく微笑むのであった。
これ以上夜泣きとか激しくなったら、やはり乳母を雇うしかないのだろうか?
乳母が切ないのは乳母の子から母親を遠ざける事になるので結構切ないのである。
マーガレットに無理が溜まらない様に早めに決断すべきなのかも知れないと考える俺だった。
結局、無理が祟る前にと言う事で乳母を募集したのであった。
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