第386話 オオサワ商会の2大柱

モリーンからの圧力に屈し久々に本格的な魔動具製造を弟子達と共に始める事になった訳だが、新製品を作れとのお達しなので、ここは商品化して居なかった物のんかから、換気扇や保管庫などの台所用品を充実させる事にしたのであった。


弟子と言えど10歳~15歳までの子供達で、既に一通りの事は教えて居るので独自の魔方陣を組んでオリジナルの魔動具を作ったり出来る筈なのだが、誰一人独立を申し出る者も居らず現在の工房部隊となっているのである。



どうやら、魔動カメラにしろ今回の保管庫にしろそう言う発想が無いので独自で開発までで機内様である。 まあ次世代の事を考えると、それはそれで問題なのだが、徐々に独自の発想でものを作って行って欲しいものである。


モリーンはこの工房部隊がフル稼働していないと勿体無く感じる様であるが、人間の集中力は其処まで長時間続く物じゃないので俺がソコソコ程度になる様に調節しているのである。


まあ今回はちょっとダンジョンに籠もり過ぎたのは認めるとして徐々に忙しくして行こうかと思う。



工房部隊の全員の前でこれから作るユニットの概要と魔方陣、そして各部の説明を済ませて保管庫の筐体にユニットをセットすると完成である。


工房部隊のリダーを務める最年長の15歳のケイン君に再度確認しつつ細かく教えると、優秀なケイン君は直ぐに理解して他のみんなを指導し出す。


実に優秀な出来る男なのである。


彼は俺が貴族になった頃、一番最初に王都の孤児院から拾い上げて優秀なのを見抜いて一から教え込んだ逸材だったりするのだ。



なので、今オオサワ商会は、大番のモリーンと言う少々怖い才女と、工房部隊のリダーである逸材ケイン君の2大柱によっって支えられていると言っても過言では無いのである。



そんな訳で、ケイン君に完全に理解して貰った後は彼が良きに計らってくれるので任せて置いても大丈夫である。


そうすると、俺が楽をし過ぎじゃないかって思うだろ? それがそれ程楽じゃ無いんだよ!?


ゲイツさんに各領地の税等の収支報告書を貰って状況の確認や各地の問題点や陳情の有無の確認等の庶務が俺を待ってるんだよ・・・。



この領地を治める様になって早めに手を撃ったお陰もあって、2年目にしては好調な結果となっていて、領民が飢える事もない状況である。


収益的に黒字で領民も飢えない、十分な食料が行き渡っている。これは非常に重要な事である。


この前の冬1人の餓死者も出さなかったのはゲイツさん曰く誇って良い事だと褒めてくれたのだった。

そんな誰も亡くならない冬を越した後の春になると領民にもやる気が漲っていて農作業にも人一倍力が入って居る様である。


今度の領主様はこれまでとは一味違うと領民の皆にも判って貰えたらしいのだった。


そもそも我が領は税率が安いのも要因ではあるがな。

これは俺がオオサワ商会で稼ぎすぎて居るので還元の意味もあって、国に納める最低限度の税率まで落としている所為である。


小麦にしろ農作物にしろ余剰作物があれば自然と商人が寄って来る。時期農作物の足り無い地域は非常に多いのだ。


そんな訳で自然と領都に活気が溢れて来て良い流れが出来て来る。



まあだからと言う訳でも無いが、モリーンにケツを叩かれると弱いのであった。


尤もケツを叩くのはゲイツ三も然りで、冬に痛んだ道路や橋等の領民の生活に欠かせないインフラの整備の陳情書の束を貰って


春の間に必要な道の整備や橋等の修復を早めに済ませる為に領地内を日々飛び回る事になる俺であった。



これも一部は民間に金を出して委託はするが、完成が遅くなると拙い所は俺が問答無用で駆り出されて馬車馬の様に作業をさせられて居るのである。



まあ、面倒ではあるが、部屋の中でズーッと数字の書かれた紙と睨めっこして居るよりは土木作業の方が良いので文句も言わずに領主自ら飛び回って居る訳である。



通り掛かる通行人に時々聞かれて「領主だ。」と告げてもほぼ信じて貰えないが・・・。


まあ通行人も道路工事して居る魔法を使う作業員がまさか領主とは思わないよな。



そんな働く領主の噂話は徐々に領内に広がって行って都市伝説の様になっているらしい。



話は戻って台所用の新製品の方が徐々に仕上がって行って100個単位でストックが出来る頃になるとモリーンの機嫌がよくなって当たりが柔らかくなる。


今の内自主的に刈り入れ機や脱穀用等の農機具シリーズに着手して置いた方が良いかも知れないな。


まあ前世で苦労して物にした研究結果があるから、この世界の鍛冶屋と相談の上形にしないといけないのだが、元の世界で出来た事である。こっちの鍛冶屋でも出来ない訳は無いであろう。



こっちの鍛冶屋と打ち合わせた結果俺の見せた元の世界の鍛冶屋の作った刈り入用の回転刃を見事再現してくてた。これでかなり農機具シリーズに現実味が帯びて来たのだった。



必要なパーツを各所に振って作らせて最後に工房で組み上げる。


こうしてシリーズの試作1号機が完成するのであった。


これで秋が来るのが待ち遠しいな。まずは我が領の農家で試して見てからの発売となるので早くても発売は来期かも知れない・・・。

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