第383話 ダンワース・ダンジョン その9

その後も順調に第23階層を廻って徐々に増えて行くミノタウロスを『綺麗』に討伐して行く俺。


やはり美味しい肉には自然とテンションが上がってしまうが雑に倒しては折角の肉が台無しになるので黄金丸で首を刎ねて血抜きをして・・・と丁寧な仕事を心懸けているのである。


そうそう、黄金丸の斬れ味であるが、この階層で初めて実戦に投入してみたのだがなかなかに素晴らしく、特に魔力を纏わせた際の斬れ味は振るったこっちがゾクリとする程である。


正に黒竜丸と比べても遜色の無い斬れ味となっている。



そんな斬れ味を存分に活かしてミノタウロスを倒す事約2時間。


この階層は第10階層のボス部屋を周回するより、経験値の面でもお時間当たりの出現率の面でも効率が良く非常に重宝して居る。


ボス部屋に出て来たボスよりもレベルの高いミノタウロスがホイホイと出て来るので非常に良い。


しかも相手は剣を持って居たり棍棒を持って居たりとバラエティーに富んでいる。


午前中の間に既に40~50匹のミノタウロスを屠って回収して居る。


今のところマッシモ東のダンジョンの時の様に異常に硬い上位種は出て来ないので徐々に飽きが出て来てしまう。



しかし、2時間でこれだけ狩れるなら、ミノ亭の方でも特別メニューで本格的に特上のミノタウロスの肉シリーズを提供し始めても良いかも知れないな。



尤もこれだけ大量に狩ってもちゃんと解体してくれるギルドなりに交渉して置かねばならない。


解体係のボルトさんは良いのだが、ダンワースの冒険者ギルドはその辺のところが非常に微妙なんだよな・・・。


いっそ、王都の冒険者ギルドの方にでも持ち込んで交渉して直接ミノ亭の方に納品して貰うか? とミノタウロスを機械的に屠りつつ考える俺だった。



結局一旦ボルトさんに交渉してみて駄目ならダンワースの冒険者ギルドは諦めガガのガラコさんか、新たに王都の冒険者ギルドで交渉して解体して貰う事にしたのであった。



結果から言うと、ダンワースの冒険者ギルドでは規模の面でそれ程の受け入れの余裕が無くて断られて断念。



王都の冒険者ギルドに初めて行って冒険カードを出すと綺麗どころの受付嬢から熱い視線を感じつつ

「冒険者ギルドへようこそ。私受付のジェニファーが承ります。本日はどう言ったご用件で?」と問われ、



「どうも、狩った魔物の解体依頼をしたいのですが可能でしょうか?今後も断続的に出す予定です。具体的には今回はミノタウロスを70匹ばかりにオークは30匹ぐらいでしょうか・・・。」と説明してみた。


「解体依頼と言う事は買い取りでは無いと言う事でしょうか?」と聞いて来る受付嬢。


「はい、肉は此方で使いますのでそれ以外は買い取りでOKなんですが。」と言うと、


「上の者に聞いて参りますので少々お待ちください。」と言って受付カウンターから奥の方へと飛んで行ってしまったのだった。


基本的に魔宮の森もダンジョンも近隣担い王都の冒険者ギルドの解体係は暇な様で余力が在りまくっていて、解体ウェルカムらしい。


結局、どの様な状態の物の解体かによって値段が変わるとの事で地下の解体場に見本を見せる事になって、持参したマジックバッグを持って降りて解体係のオッチャンに完璧に血抜きを終えたミノタウロスの亡骸を見せると感心してくれて皮やミノタウロスの角等は買い取ってくれる事となってマジックバッグごとの受け渡しで鮮度が保たれる事もあってかに意外に安い金額で解体依頼を受けてくれたのであった。



後は、解体後の肉をミノ亭の方に届けて貰えば万事完了である。



届け先を『ミノ亭』と受付嬢に告げたところ、目を輝かせていた。



どうやら、一度だけ食べに来てくれたらしい。


そこで俺が来店のお礼を言うと、俺がオーナーとは思わなかったらしく驚いていたのだった。



そんな訳で王都の冒険者ギルドとの交渉も上手く行ってホクホク顔で自宅に戻るのであった。


第23階層に入って早1ヵ月が過ぎた既に下層への階段は発見済みではあるものの、この階層の尽き無い肉に惹かれて未だにかそうへ降りずにミノタウロスを狩りまくっているのである。


そうそう、余りにも俺がミノタウロスを狩りまくった所為か知らないが100匹単位ぐらいに1匹の頻度で上位種のミノタウロス・キングが出て来る事が判った。


ミノタウロス・キングは身体も一回り以上大きく俊敏でそれなりに強いのだが俺の黄金丸の斬れ味の前では奴の持つ大剣など重いだけbの木剣も同然で、その気になればサクっと折斬ってしまえる。


その上位種が出て来るタイミングが判る様になるまで400匹以上狩った。


一々数えて無かったが、冒険者ギルドに解体依頼を出す際にマジックバッグに移し替える際に数えて何となく100の倍数毎に上位種が混じって居る事に気付いた次第である。


で、そのミノタウロス・キングの肉であるが、通常種のミノタウロスの肉よりも当然の様に旨味が凄い。この世界でも強ければ強い程魔力を帯びた肉を持っていて美味いと言うのは変わらないようである。



我が家の夕食でミノタウロス・キングのステーキを出した際、家族全員に大絶賛絶賛される程に美味かった。


尤もマリーは第23階層の話を聞いて自分が学校で行けない事を鑑みて少し残念そうにしていたのであった。


メイドや我が家のスタッフも勿論全員が食べたのだが、スタッフの中には美味さで感激して涙を流す者まで居た程であった。


普通の貴族の屋敷の場合、基本賄いで食べるスタッフ用の食事はそれなりの物にランクを堕としており、それでさえ、まあ一般庶民の食事より美味しいとされているのだが・・・我が家の様に全員同じ物を食する事はほぼ無い。


よって、その点だけを取っても、ゲイツさん曰く我が家のスタッフ達は恵まれて居るのだと力説していた。


そしてその結果、スタッフたちはやる気と誇りを持って我が家の仕事に従事してくれるのだから、有る意味win-winである。


------------------------------------------------------------------------------------------------何時もお読み頂きありがとうございます!

気が付けば今週末よりGWですね。

基本GW中も更新の予定でおりますが、少々外出致しますので場合によって更新をお休みさせて頂く能性があります。

御了承下さいm(__)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る