第382話 ダンワース・ダンジョン その8

空の旅を再開して30分程飛んで居たら急激に入道雲が空を覆いゴロゴロと地響きの様な音と稲光が雲の中で光りだした。



これはヤバイ奴である。


ダンジョンアタックを中止して自宅に戻るべきだと判断した瞬間だった。ガラガラバッシーーンと言う音と共に何があったのか判らない内に錐揉み状態で海面へと落下して行くのであった。


海面に叩き付けられる直前に状況を理解して、回復魔法と重力制御を同時に発動し、この困難な状況を乗り越えたのであった。

海面ギリギリで踏ん張って即座にゲートを発動させて自宅へと戻ったのであった。


これで今日のダンジョンアタックは終了である。


どうらら落雷に遭ったものの、風魔法のシールドのお陰で多少緩和されたのでないだろうか。


何はともあれ、丈夫な身体に感謝だな。と心の中でナンシー様にお礼をするのであった。




一晩明けて、先日の落雷の場所が判らなかったので、『マン・イーター』の島から再出発をする事にして、晴天の空へと飛び上がって昨日同様に魔力の流れの示す下層への階段の方向へとウィングスーツによる滑空を始めたのであった。


1時間程結構な速度で飛んでいたら前方にまた島を発見したので一旦着地すると、今回は甘ったるい匂いもせずに、普通の島で泉と普通の果物のなる木が生息していた。


一応ここで英気を養えって言うダンジョンの石なのだろうと解釈して、木になったバナナや果物を収穫して存分に味見させて貰った。



何れも美味しくて食べ頃である。丁度良いお土産が出来たとほくそ笑んで今晩の夕食後のデザートに出して貰う事にしたのであった。



一休みの後、また飛行を再開したのだが、大体1時間置きに島を発見する事が判明した。恐らくこの階層の仕様なのだろう・・・。



島によっては食料や水も在るので上手く当たりを引けばサバイバル出来るのかも知れない。


そんな訳で島伝いに先へと進んで居るのであった。


空からの魔物の攻撃も無く完全に油断して飛んでいた俺はいつの間にか高度が落ちて居たのに気付かずにいた様だ。



そして不意に巨大な魔力を感知して一瞬で戦闘態勢を整えたと同時に海面からの巨大な足に巻き取られて海中に引き釣り込まれたのであった。


そう・・・海にお決まりの怪物クラーケンである。海中でも気密シールドを展開しているので呼吸の心配は無いし魔装のお陰で怪我はおろかかすり傷1つ負ってない。


水中では思った様に攻撃出来ないのだが、何とか高周波ブレードを使って俺を拘束しているクラーケンの足を斬り自由を得る事に成功したのであった。


クラーケンはご自慢のイカ足を傷付けられたのを怒った様子で、墨を吐いて視界を遮って更に他の足を使って俺を拘束して引き釣りこもうと必死で藻掻いているが、

巻き付けようとする度にその足を切断してやると、ギュオーーーと海中に響く声を上げて鳴いていた。完全に戦意を喪失した様子のクラーケンを余所におれはやっと、ジェット水流の噴射を使って海面まで急浮上するのであった。



海面から上がった俺は新鮮な空気を深呼吸してホッとするのであった。



そのまま海中のクラーケンを放置して上空に飛び上がって滑空を再開するのであった。



その後海面ギリギリを飛ぶフライング・フィッシュと言う飛び魚の様な魔物を見かけたが、また高度を落とすと面倒に巻き込まれそうなので、美味そうでざんねんではあるが見逃す事にしたのだった。


午後3時頃に見つけた島に着地して、今日はここまでとして、自宅に戻る事にした。


夕食の後に冷やしたフルーツを出して貰ったが非常に好評であった。


この世界にも様々な地球と同じ様な果物が存在しているが、やはりゲートが出来る前は産地との距離の問題で流通して居無かった。


その点ダンジョン産ならば、問題が無いがその階層に行ける冒険者の人数が少ない所為で非常に高価であったりする。


なので我が領地では、普通に一般市民が買える値段の果物を増やそうと今は果物栽培も推奨している。


これは生産者側にもメリットがあるので、多くのの農民は空いた余暇で果物栽培を手手掛ける様になっている。


尤もその成果が出るのは少なくとも数年先の事なので、今暫くは我慢の時なのである。



マリーの各園生活は順調な様だが、俺のダンジョン話を聞く度にちょっと悔しそうにしているので余り話さない方が勉強の妨げにならないのかも知れない。


今度夏休みになったら、ダンジョンにつれて行ってやらないと不満が爆発するかも・・・。


尤もマーガレットはまだ当分妊娠中なので可哀想だがお留守番となる。





海上の空の旅は更に3日続いて漸く下層への階段のある最後の島に到着して階段を降りて第23階層に降りたのだった。




降り立った23階層は赤茶色の乾燥した大地が特徴的なまるで火星に来たかのような風景であった。


尤も一応微かに植物は生えて居たので火星とは大違いではあるが乾いているのは間違い無い。


少し進むと第10階層のボス部屋以来のミノタウロスが2匹ペアで出て来た。

どうやらこの階層はミノタウロスの当たり階層らしい。


一気にテンションが上がるのを感じ。


サクっと倒して『美味しくなぁ~れ!』とお呪いをかけつつ丁寧に血抜きをして回収したのだった。



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