第381話 ダンワース・ダンジョン その7

更に進むともりから出てしまい村の廃墟となり、その更に奥の方にはおどろおどろしい雰囲気のある領主の館っぽい物が立って居た。


道に面した廃屋から、突然黒い服の男が牙を剥きだして飛び出して来た。そうバンパイアである。


勝手に飛び掛かって来て俺の浄化シールドに触れてギャー!と叫び声を上げて爛れて最終的に灰となって消えて行った・・・。


一応魔石を拾ってさらに進んで行くと廃屋に潜んでいるバンパイアが次から次へと襲い掛かって来るが全部最初の奴と同じで勝手に灰になって消えて行く。


或いはおれの浄化魔弾の餌食となっ灰になるかのどちらかである。


このせかいのバンパイアがどうかは知らないが、ニンニクなどは全く効かなさそうである。


日光に関してはダンジョン内なので全く判らないが、ダンジョン外でもバンパイアが居れば試してみたい物である。



そうして、廃屋の村を過ぎて、洋風ホラーな領主の館と到着すると、俺は躊躇無く中に入っていった。


ここは大体ボス格の魔物と宝箱が出て来るのがセオリーである。

内部は薄暗かったが俺が入った途端に歓迎するかの様に灯りが灯り館の全容が見えて来た。



各部屋を漁ってみたが大した物は無く、割るべき壺すら見当たらなかった。

そして階段を上がって謁見の間の様な大部屋には棺が一つ置いて在って俺が部屋に入った途端にギイと音がして扉が閉じられてその目の前の棺の蓋が開き中から非常に醜く嗄れたバンパイア・ロードが出て来たのだった。


思わず吹き出しそうになりながら、それを堪えてバンパイア・ロードを浄化魔弾で迎え撃つ俺。


その浄化魔弾を躱しつつ俺の方へヒラリと移動して飛び掛かったバンパイア・ロードはギャーー!と叫んで乾涸らびた皮膚を更に爛れさせて再度に俺の浄化魔弾を受けて灰となって消えたのであった。


残った灰の中からはこれまでの物より大きめの魔石と身に付けていた宝飾品が出て来たのであった。


残念ながら期待していた宝箱は無くバンパイア・ロードの身に付けて居た、魔法攻撃無力化の指輪等の宝飾品がエクストラなご褒美アイテムらしかった。


こうして廃墟村と領主の館を攻略した俺は、館を出て先へと進むのであった。


暫く進むとまた墓場エリアになって、振り出しに戻ったかの様にゾンビが出て来る。


更にスケルトンにブラッド・バットの群れも出て来る。


全てを浄化シールドで排除しつつ進むと、霊廟の中へと導かれまた薄暗くカビ臭い洞窟フィールドに入ったかの様な状況となった。



群がって来る魔物の群を浄化シールドだけでゴリ押しして行き、結果休む事無く歩き続けて漸く下層への階段に辿り着いたのであった。



この階層は本当に鬱陶しい階層であった。これって、聖属性を使えない時点で詰みな階層だな。

普通、聖属性を使えない冒険者の場合、聖水を使ったりするが、それ程大量に持ち運べる物じゃないので、聖属性を必要とする魔物に集られる前に早期撤退するのがセオリーである。


ここは色んな意味で一般の冒険者にはお勧め出来ないエリアであったと思うのであった。



そんな感想を頭の中で思いつつ階段を下るのであった。


そして階段を降りた第22階層は一面の青い海。


どうやら島のフィールドらしい。これはダンジョンでなければ最高に良いリゾートである。


波打ち際まで近寄らなくとも海独特の潮の香りと波が砂を洗う音が聞こえる。


魔力の流れを読んでみたら、沖の方へと向かっているので、恐らく海を渡る必要があるのだろう。


こんなん、尚更一般冒険者はむりじゃねぇか!と突っ込む俺。


尤も第15階層の沼フィールドで攻め倦ねて居る時点でどっちみち無理なのであるがな。


そんなわけで、青い海の上の青い空に昇ってウィングスーツによる滑空を早速始めるのであった。



空には魔物の気配も無く特に脅威もなさそうであった。



と気を抜いて飛んで居たが、いきなり海面の方からのウォーター・アローの攻撃を受けてヒラリと躱す俺。


海面を見ると魚の魔物の群が一声に口から鉄砲魚の様にウォーター・アローを一声発射しているでは無いか・・・。


こう言う魚の魔物も居るのかと驚きつつ、その高射砲の様なしたからの攻撃の届かない高さまで上がってその鉄砲魚の攻撃を回避したのであった。



30分くらい飛び続けていると、前方の方に島が見えて来たので一旦休憩も兼ねて寄る事にした。


着地すると、島の何処からか甘い美味しそうな匂いが漂って来る。思えば少しお腹が減っている。ちょ食後直ぐにしては変だなと思いつつ、匂いの元を探してみる俺。


ちょっと探索してみると、『マン・イーター』と言う食虫植物ならぬ食人植物の魔物が赤い大きな花びらから甘い菓子パンを焼いた時の様な匂いを出して俺を誘って居た。


良く考えられた罠である。ここで冒険者を一旦休憩させておおいて空腹を抱えた冒険者をパックリと行く算段なのだろう。

おれは魔弾で、花びらの萼の部分を撃ち抜いて『マン・イーター』を始末したのであった。


『マン・イーター』を始末すると、先程の甘ったるい匂いも空腹も感も食べたいと言う欲求もさっぱりと消えた。どうやら、匂いの成分による食欲増進効果があった様である。


広い海を放浪した後の空腹感に訴える巧妙な罠非常に恐ろしい物がある。


そんな事考えつつ早めの昼食を取ってから、空の旅に戻るのであった。

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