第376話 マリーの学園ライフ その1
今日から私は王立学園の1学年生となった。
入試ではおっかなびっくりしながら手加減して魔法を発動したり間違って試験官をバッサリ斬らない様に注意してたけど、アレで良かったらしく、無事に合格出来た。
新入生代表でスピーチしなきゃいけなかったのはちょっと焦ったけど、お兄ちゃんのアドバイスの通りにしてなんとか入学式を乗り切ったの。
入学式の後にはSクラスの教室に行ってホームルームを行ったんだけど、10人のお友達と知り合ったの。
金髪がとても綺麗な侯爵令嬢のジェシカ、赤毛の伯爵令嬢モニカ、金髪で物腰の柔らかい伯爵家の嫡男のアルベルト、ブルーネットの髪の毛の子爵の令息ブルース、そして
金髪で華やかな笑顔の可愛い私と同じ男爵家令嬢のケリー。他にケント、キース、エスファン、オーキス、エスティス等総勢10名である。
何かよく知らないけど、教室に入ったらアルベルトから、「マリーさんのお兄様って、あ王立学園始まって以来の天才と噂になってた伝説のオオサワ公爵様なんでしょ?」と聞いて来たの。
お兄ちゃんが凄いのは知ってたけど、そんな噂になる程とは思わなかったのでビックリしたの。
「確かに、おに・・・兄はトージ公爵です。そんな伝説になったりしてたんですか?」と知らなかったので聞き返したら、何かお兄ちゃんのファンなのか、熱っぽく色々と伝説の一部を話してくれて、それを他の9名とみんなで相槌を打ちながら黙って聞いていたのだった。
伝説になっているのが殆ど魔法関係で、何故か剣術は含まれてなかった。
「あれ、兄は剣術も私より凄いのに授業を選択しなかったのかな?」と呟くと、アルベルトに更なる熱が入って、「オオサワ公爵様は剣術までお強かったのですか・・・流石です!」と溜息にも似た吐息を一つついたのだった。
それから話は趣味と言うか好きな事についてに移行して、私は「暇な時は兄達とダンジョンに行ったり、『魔宮の森』で魔物狩りしてレベル上げかな。暫くは学校とお義姉さんのおめでたで行けなくなったけど・・・。」床たっるとかなり衝撃だった様で、ダンジョンの内部の様子等を色々聞かれるのであった。
尤もそんな事をして居る『令嬢』は他に居らず、女の子からは若干退かれちゃったかも知れない・・・。
でもそんな中同じ男爵家令嬢のケリーは目を輝かせていたのでお友達になって貰った。
何でもケリーの家の領地にも、ダンジョンがあるらしくて前々からダンジョンに興味があったらしい。
今度家(王都邸)に遊びに来る様に約束を取り付けると、其処へトージお兄ちゃんに会いたいと言ってアルベルトも便乗して来たのであった。
そんな訳で、トージの知らぬ所で偶然にも友達作りに貢献し、マリーの学園生活は無難にスタートしたのであった。
マリーの実技の選択教科は剣術と魔法の両方を選択し、算数を含め先に単位の取れそうな教科については、トージお兄ちゃんと同様に早めに『単位免除試験』を受けて行く予定にしたのであった。
問題は貴族一般教養学でこれはトージ兄ちゃん同様に家庭教師を付けて貰って足り無い知識を早めに詰め込む予定である。
まあ1学年は良いのだが2学年になるとトージ兄ちゃん曰く難関の社交ダンスが始まるとの事なので要注意である。
社交ダンスはモリーンお姉ちゃんにも習えるし、身体を動かすのは嫌いじゃないので早めの時期から教えて貰った方が良いかも知れないな・・・。
ダンスはダンスでも剣舞とかなら今の状態でもソコソコイケると思うのになぁ~。
だけど、ダンスの本番では男の子と踊らないといけないらしいので、何かちょっと恥ずかしい。
そう考えると、前にトージ兄ちゃんがよく言っていた貴族って色々面倒臭いってのが徐々に判ってき来た様な気がする。
■■■トージside■■■
コミュ力のあるマリーは初日のホームルームからお友達が出来た様子だった。
流石は我が妹である。
余程友達ができたのが嬉ししかったのか入学式から帰って来たらテンション高くケリーと言うお友達が出来たと告げて来た。
夕食時の話によると俺の存在が何か伝説云々と絶賛されてたらしい。
在学中特に何もして無いんだけどなぁ~。
戦争の事だろうか?
今度王都邸にマリーのお友達がやって来るらしいので、スィーツでも作っておいてもてなしてやろう。と心に決める俺だった。
そうして此方の世界に来てから初めて本格的にスィーツ作成に取り掛かるのであった。
久々にカスタードプリンを作ったり、シュークリームを作ったり、日本が誇る菓子パンを余興で作ってみたりしたのであった。
こちらの世界でもバニラの代用品が手に入ったのは幸いであった。
尤もスパイスとしてでは無く、意屋の範疇だったのには驚いたが、教え手くれたナンシー様にもちゃんと献上して大層喜んでくれた様である。
因みに蘭系の花の種を煮た物を天日干しした物だったとは今夏初めて薬屋で知ったのだった・・・。
こうやって作ったスィーツの数々は悪阻で食欲の落ちたマーガレットが美味しそうに味見していたのだった。
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