第375話 マリーの合格発表
聞いた限りマリーはどうやら俺以上に上手く入試を熟したらしい。
パパン仕込みの閃光流と俺仕込みの身体強化で試験官をも下したらしいのだ。
流石は我が妹である。
筆記試験も本人曰くソコソコだと言うので恐らく合格は間違い無いだろう。
ちょっと気が早いが入試のお疲れ会も予てやや豪勢な夕食にしたのだが、悪阻なのかマーガレットは余り食べられなかった。
それじゃあ可哀想なので、胃に優しい雑炊を作って部屋に持って行ったら、喜んでくれて少し手を付けてくれたのだった。
入学に備えて王都でマリーの貴族らしい服装を幾つも揃えてやりに行ってドレスも仕立ててやる事にしたのであった。
普段冒険者の様な身軽な服装が多いので着飾った所を見る事が少ないがキチンとした身なりにすると、其処らの同年代の貴族の子弟にも引けを取らない程に見違える。
「マリー、そう言う格好も似合うじゃ無いか。可愛いぞ!」と褒めてやるととても恥ずかしそうに照れて居たのだった。
制服は合格発表後の発注が普通であるが、マリーの場合不合格はあり得ないので、先に一緒に制服も発注してしまったのだった。
「トージお兄ちゃん、合格発表待ってからじゃないの?」と心配するマリーに、
「大丈夫だよ。実技だけで合格してるから。」と言うと少し安心した面持ちになって居た。
どうやら何気に不合格になる事を心配しているらしい。
魔法も剣術も聞いた限りでは派手にやっった様だし、不合格は無いだろうとおもうのだが・・・。
■■■
早い物でもう合格発表の当日である。
貴遺族の子弟風の余所行きの服装に着替えて俺とパパンと一緒に馬車に揺られて久々の王立学園にやって来た。
パパンにしてみれば俺の時には来て無かったので今回初の王立学園である。
俺とパパンに挟まれてニコニコ顔のマリーが時折不安気な様子を見せる。
採点の配分等は判らないが例え、筆記試験で数問間違っていても、それを覆せるだけの実技満点が有るんじゃないかとマリーに行ってもソワソワしていて心ここにあらずであった。
校門の所に到着して、試験結果の掲示板の所に赴きマリーの番号を探したら、一番最初の主席の所にキチンとマリーの番号があったのだった。
「マリーおめでとう。主席だよ。」と声を掛けたが主席の意味が判って無かった様で1番の成績だった人の事を主席と言うんだと教え手やったのだった。
小躍りするマリーとパパンを連れて合格者の受付まで案内して受付を済ませて漸く一段落が終了したのであった。
今年は俺の時と違って不合格になって泣いている子が居なかったので素直に喜べて良かったと思ったのであった。
やはり、流石に落ちて泣いてる子の横で小躍り出来ないからね。
そんな訳で、我が家以外にも・・・、パパンのオザワ家にも、春早々に慶事が到来したのであった。
王都邸に帰ってマーガレットにマリーの主席合格を伝えると、一緒になって喜んでくれたのだった。
こうして今夜の夕食も豪勢なメニューとなったのだが、一応、マーガレット用のサッパリとした特別メニューも用意したのであった。
主席合格したマリーには入学式でのスピーチと言う難関がある。
この事を告げると、青い顔をして、
「どうしよう?トージお兄ちゃん!」と俺を頼ってきたのであった。
「そうだな、適当にこれからの抱負を述べれば良いと思うのだけど、俺の時は何て言ったか、正直緊張してて余り覚えて無いんだよな。」と言うと絶望的な顔をするマリー。
なので、「俺も一緒に考えてやるから安心しろよ!」と慰めるのであった。
2日程2人で話し合ったスピーチをマーガレットの前で披露して、マーガレットから拍手を貰って一応の一区切りを付けたマリーはちょっと安心した風で、何度もスピーチを書いた紙を読んで暗記するのであった。
いよいよ待ちに待ったマリーの入学式当日となった。
パパンとママンにタージも連れて入学式の為に王立学園へとやって来たのだった。
マリーの暮らすは俺の時と同じSクラスで、受付を済ませると講堂に入ってマリーは前方のSクラスのエリアに座って見えなくなった。
俺達父兄は後ろの父兄席に座って待って居ると入学式が始まり俺の時と同様に学園長の長い話の後、マリーのスピーチの番となったのだった。
「温かい春のこの日に誉れ高い王立学園に入学出来た事を誇らしくもあり、大変嬉しく思います。皆さんと一緒に多くの事を学べるのが楽しみです。皆さん是非仲良くして下さい。新入生代表、マリー・フォン・オザワ。」
と言う右と俺もパパパンもママンも盛大に拍手しておいたのだった。
家族の欲目でなくてもなかなか良いスピーチだった。と俺は思うし、ちゃんと噛まずにスラスラハキハキ言えて俺のスピーチより素晴らしかったと思う。
その証拠に俺達以外の父兄も拍手していたしね。
そんな感じで無事に入学式を終えてマリーは晴れて王立学園に入学したのであった。
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