第367話 オオサワ公爵

アッと言う間に1年が経って無事?に国を上げての結婚の儀も終わり、新居に宿舎等の工事を済ませた後に漸く引っ越しを済ませた。

尤も一番面倒な段取りその他は宰相閣下や、義父である国王陛下が全てやってくれたのだけど、それなりに大変だったと言っておこう。


そう、俺は最年少の公爵となり、謀らずしも今や我が国にでは知らぬ者無しと言われる人物となってしまった・・・。


我妻マーガレットもスッカリ新妻らしくなって愛おしい存在になっている。


とは言え、特にやる事も無いので朝から魔宮の森に狩りに出かけたりして居るのだが・・・。


さて、俺の統治する領地だが漸く決まったのは良いが非常に辺鄙な元伯爵領と元男爵領で、上手く領地運営を出来なかった罰としてお取り潰しとなった隣り合った領地2つを合併して、我が公爵領とした物となる。


辺鄙な土地で何の変哲も無いかと思いきや、何とこの旧男爵領にはダンジョンがあり、真面目に領地運営を行えば赤字にはならない優良な領地であった。

尤も冒険者が多いので治安が余り欲無かったり、スラムが在ったり、孤児が多かったりするのだ。


この元男爵領の当面の問題は、治安の向上と、スラムの浄化だろうか?



そして、元伯爵領の方だがメインは殆どが農地となっており、治安はソコソコ。ただ元官僚の腐敗が進んでおり、それが元で圧政が続いていた。本来在るべき役職がマトモに昨日して無いが故に調査が国からの入ってお取り潰しとなったのだ。


元領主は全く自分の領地の運営には興味も無く入った税で豪遊をして浪費して居たらしい。



ちなみに旧男爵領をダンワース、旧伯爵領の領都をマーコスと言う。



■■■



俺は一足先に自分の領地となった所を隅々まで廻って視察する事にしたのであった。

オオサワ公爵領の領都はマーコスをそのまま使うとして、農村を中心に隅々を廻って行く事にした。


一応、マーコスの領主館には領地全体の地図も在り、王宮から派遣されて居るマーコス代官であるセルゲイさんに地図を出して貰って各地に点在する村をメモに書き写して出発するのであった。



圧政による重税が続いた所為で、各農村は疲弊しており、住民らの目に力が無く、死んだ様な目をして痩せ細って居た。



そこで、『新領主』として自己紹介の後、先の戦争で鹵獲した敵の食料を支援物資としてバラ撒きつつ、各地を廻ったのだった。



2週間掛かって旧伯爵領を廻り切った俺は、次に旧男爵領へと移動した。ここは、王宮から派遣されている代官ボーナムさんが取り敢えずの現状を取り仕切って居る。


まず最初に腐敗している衛兵を粛正すべくパパンとその配下の騎士団員達に変装して貰って潜入して貰った。



結果衛兵隊長を含め殆ど全ての衛兵が腐って居た為に死罪を含め相応の刑に服して貰う事となった。


更に王都より、募集した100人規模の衛兵や官僚を移住させる宿舎を急遽各領地に建てた。


スラム街では、炊き出しをして、教会と孤児院の修復と援助を正常化して孤児達が犯罪に手を染めなくても暮らして行ける様に早急に動くのであった。



スラム街は、負傷して稼げ無くなった元冒険者が大半で、俺の回復魔法ヒールによって、大半の部位欠損を治療してやり、その代わり、宿舎等の建築に従事させた。


こだけの事を最初の半年で行ってダンワース旧男爵領側は一応の正常化したのであった。



マーコス側も官僚の入れ替えと精査と粛正を厳密に行って大半の官僚が新しく王都で雇った人物に入れ拘わって3ヵ月位して漸く清浄に機能し始めたのであった。


ここまでの大鉈を振るった事で今まで腐った両領内の状況に諦めて居た領民達も希望を取り戻したのな力強い目を持つ様になったのであった。


領民からの俺への評価は取り敢えず上々で、最初こそ、年若い頼り無い領主に見られて居た様だが一転して、尊敬された様である。


願わくばこのまま領地内の各システムが腐らない事を切に祈る俺だった。



尤も、当初、旧官僚や衛兵を死罪を含む厳罰化した事がある程度の抑止力と信頼に繋がったと言っても過言ではない。



ダンワースダンジョンのあるダンワースだが、ダンジョンの真横に在ると言うのに城壁が存在して居無かった。


この世界ではどうなのか不明だが念には念をでいち早く城壁を作る事にしたのであった。



俺は、直径に余裕を待たせて1km程の円の城壁を領主館を中心に築き始めた。


前世では嫌と言う程に城壁を築いた俺だが、この世界では初めてである。


一応、後学の為に、マリーとマーガレットの両人を連れて来て、城壁の建て方のレクチャーをしながらホバー移動をしつつ城壁を築いて行くのであった。



城壁だけで無く、彼女ら2人は教えて無かったホバー移動に食い付いて、何度か重力制御についてを説明してやり、併用する風魔法のジェット噴射を教えたのであった。


2人には『重力』に対する概念が無くて当初悪戦苦闘して居たが、俺が城壁を半周分建築する間には重力制御を物にしていたのだった。



試しに2人に城壁を建てさせてみたが強度がッや不足しており、硬化の仕方を教えたりしながら半周を建築して廻ったのであった。


こうして、東西南北に4つの城門を持つ立派な城壁が出来上がったのは、城壁を作り始めてから約2ヵ月と言う短期間であった。


結果通常の街や都市と同様にこのダンワースでも住民用の身分証を発給し、戸籍台帳を作る事にしたのであった。





2人が重力制御を物にしたので、ウィングスーツによる滑空を次に教える事にして、布地でウィングスーツ自体をまずは2人分仕立ててから、練習をさせる事にしたのだった。


2人とも重力制御で地上から少し浮くだけと思って居た様だが俺のウィングスーツによる滑空を見せると、上空のフォース・フィールドの足場の上で大はしゃぎしていたのだった。


尤も早々簡単にウィングスーツによる滑空が物に出来る訳で無いが少なくとも着地に関しては墜落する事はなく、ちゃんと重力制御で正道を掛けてフワリと降りていたので安心したのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る