第363話 婚約発表パーティー

さあいよいよ嬉し恥ずかしい婚約発表パーティーの当日である。


そりゃあ型式張った事が面倒って気持ちも無くは無いが、単純に美少女に想われるって事が嬉しくもある。まあただ相手の立場が面倒なだけである。


後あるとしたら、こんな内面オッサンで本当に良いのか?と申し訳ない気にもなってしまう。


しかも精神的に初婚ですら無いし。


そして、元の世界に残したアリーシアに申し訳ないって気持ちも含まれていて、色々複雑な心境なのだ。


マーガレット殿下の事を好きか嫌いかで言うと好ましいと思って居る。


ただ実際の精神年齢的な歳の差が有り過ぎて現実味が無いのが本音である。



とは言え断れる様な縁談ではないので、サクサク独りでに物事が進んで行って現状となっている。


これで、マーガレット殿下が最低最悪の性格ならもっとやり様があるのだがそんな事も無く有る意味地位の割には可愛らしい気遣いも出来る良い子だったりする。




そんな訳で、流れのままにパーティー当日を迎えたのだった。


きっと、一緒に過ごす月日が色々解決してくれると信じたい。



着替えも全て終了し、1人自室で待機していると、馬車の用意が出来たのと知らせを受けて、パパンとママンに挨拶をして出発したのであった。


本来ならパパンとママンにも出席して欲しかったのだが、庶民と言う事もあって2人から断られてしまったのだ。マリーだけ参加は危険なので結局俺1人での参加となってしまったのだった。


まあ、ママンはタージの面倒を見ると言う名目があるのでしょうがないとしても、パパンぐらいは来て欲しかったな・・・。


そうか、侯爵で爵位の任命権のある騎士爵とかに任命すれば全部解決するのかな? でもきっとパパンが居やがる気がするんだよな。そこら辺は要相談だな。と考えながら馬車に揺られる俺だった。



今回のパーティーでは俺はホスト側となる為、ゲストの出迎えをせねばならないのだが、相手が王族と言う事で当面は1人で熟さないといけないので大忙しとなる。


王宮のホールに到着して暫くすると、ポツリポツリとゲストの貴族がやって来て俺に気持ちの籠もって無いお祝いの言葉を貰う。


ホール内にドンドンと招待された貴族が入りほぼ全員が揃った所で、俺はやっと、控え室で椅子に座ってホッと一息付くのであった。



開宴の時間になると、マーガレット殿下をエスコートして、ホールに入る俺、すると、盛大な拍手沸き起こり、ちょっと緊張する俺だった。


そして国王陛下が壇上に出て来て、開宴の挨拶をする。


「皆の者、今宵は良く我が娘マーガレットと、オオサワ卿との婚約披露パーティーに出席してくれた。礼を言うぞ。オオサワ侯爵と我が王家が縁を結べた事を余は心より嬉しく思う。

アムール王国に栄光と繁栄を!乾杯!」と言って手に持ったグラスを掲げたのだった。




直ぐに音楽が流れ出し、俺はマーガレット殿下と共に3曲程連続で久々にダンスする。


今回のパーティー前に慌ててモリーンに頼んでダンスの復習を行ったのが功を奏したのか、目立ったミスも無く無事にダンスの口火を切れたのであった。



疲れたであろうマーガレット殿下を椅子に座らせて、飲み物を取りに行くと、ハイマンやSクラスのクラスメイトを発見して、次々に挨拶をする。


和やかにクラスメートと話して居ると、またもや、あの鬱陶しいゴルツが絡んで来やがった。


「また無礼な話し方をしおって、ハイマン様は侯爵家だぞ!」と声を荒らげるゴルツ某・・・。

「そう言う無礼なお前は何様何だ? 俺は侯爵家の『当主』だが?」と反撃すると、漸く自分と相手の立場の差を思い出して口籠もったゴルツ某が顔を真っ赤にして逃げ出して行ったのだった・・・。



実に下らない。結局、彼奴は何時も何が したかったんだろうな・・・。と心の中で呟くおれだった。


ゲストと言う事で美味しそうな料理には俺もマーガレット殿下も余り手を付けられず、4時間程のパーティーが終わった後は、お腹も減ってグッタリしている俺達2人だった。


「お腹減りましたね、帰って何か食べようかと思うけど、マーガレット殿下はどうしますか? 着替えてから来ますか?」とお窺いを立てると、


「勿論行くのじゃ。」と言って、


ゲスト達を送り出してクラスメートとも別れを告げた後、早々に自宅に戻って普段の平服に着替えて、スタッフに頼んで2人分の食事を用意して貰うのであった。


俺が着替えを済ませ暫くすると、頃合いを見計らった様にマーガレット殿下がゲートでやって来て、


「やっとリラックス出来るのじゃぁ~。」と抱きついて来るのであった。



食べる物を食べて漸くひと一心地付いた2人はお茶を飲んで1時間程今日のパーティーの話をしたりするのであった。






■■■



パーティーが終わってから早1ヵ月が過ぎ、学校の無い日はマリーやマーガレット殿下を連れて魔宮の森へとレベルアップに出かける様になった。


それと言うのも、最近ガガの東の森程度では歯応えが無いと2人がボヤくので、いっそ一気に討伐対象の魔物のランクを上げてみようと言う事になったのだ。


ここ魔宮の森では同じ魔物でも他より1ランクも2ランクも上の個体が多く出る。それだけ魔素が濃いと言う事である。

最近思ったのだが、魔素が濃いくて魔物が強くなるのなら、人間もその対象に入るのでは無いかって思ったのだ。


ここに住み着けば、もしかするともっと強くなれるかも知れない・・・。


前に国王陛下聞いた様にもし領地を貰えるなら、魔素の濃い所の方が領地として美味しいのかも知れないな。

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