第358話 成人となる

あれから5ヵ月が過ぎて15歳成人になった。その間にタージは片言の言葉を喋る様になって可愛さ爆発である。マリーなんか、「ねぇねらっこ」とか言われるとデレデレになって抱っこしたりしている。


つまり、成人したので正式な伯爵当主となった訳だ。


これに従って面倒なパーティーを開いたけれど、何とか無事にクリアした。





そして俺は王立学園最後の学年に突入して、特に問題無く過ごして居る。


まあそっちは問題無いのだが、問題は社交界。


こればっかりはどうしても慣れないし、実に無駄に思えてしょうがない。


さて、アグーラマ王国の方だが、未だに見窄らしいボロボロの城壁を修復仕切れずに他国への侵攻処では無く、高い税に日々募る国民の不満で爆発しそうになっている模様。


このまま内紛に発展してくれれば外野としては見物なのだが、その結果難民としてそんな不満分子が我が国に流入してきたら、治安悪化で堪った物じゃない。


持って生まれたその国の風土と言うか常識が我が国を害する物ならうけいれられないのも仕方の無い事だろう。


と言う事で、俺はちょくちょく監視しには行ってるが、これ以上の悪さはせずに静観している状態である。


パパンは騎士団長が板に付いて来てて、其処らの貴族家の騎士よりも強い騎士団にすると張り切ってくれている。



俺も地道なレベル上げを行った結果、1つレベルがあがった。

現在のステータスは、


名前:トージ

称号:(御使い)/(大賢者)

AGE:15

LEVEL:15

HP:31/31

MP:1233/1233

力:38

知能:37

器用:40

俊敏:34

スキル:剣術C/格闘C/投擲C/身体強化/魔装/鑑定EX(アーカイブコンタクト型)/隠密C/(隠匿)/(日本の英知)/魔力感知C/魔力操作C/錬金C(A)/並列処理C

魔法:無S/土A(S)/火A(S)/水A(S)/風A(S)/光A(S)/聖D(S)/時空B(S)/生活/雷C(S)

※()内は魂に刻まれた才能値を表す一般には見えない


ステータスの数値もかなり上がったが、スキルや魔法のランクが上がったのが何気に嬉しい。



錬金も並列処理も上がったお陰でカメラの方も作り溜めのペースも上がった。そろそろ発売開始しても良い頃合いだろうとモリーンが俺に語り掛けて来るが、これは有る意味もっと作れと言って居る訳だ。


本当なら半年前には発売を!と言っていたのだが、件のアグーラマ王国の一件でそれ処ではないと延期したのだ。


このカメラだが、俺が、成果を披露する為に、アグーラマ王国のボロボロになった城壁の写真を撮って国王陛下に提出した結果、既に王宮からのバックオーダーを抱えていて、


先のアグーラマ王国の一件での働きを込みで良い値で購入してくれる事になっている。



そもそも10億ウニーのカメラとガラスディスプレイのセットがそれ程沢山売れる筈も無いと思って居るのだが、王宮からは100セットの注文があったのは驚きである。


漸く売り出したところ、王宮のバックオーダー分とは別に王侯貴族が挙って購入してくれたお陰で在庫分がほぼ完売と言う俺の苦労が報われた結果となったのだった。




しかし人使いの荒いモリーンは売る物をもっと作れとせっつくので、弟子達と一緒に普通のお風呂様のお湯や水が出る魔動具のセットを作って渡している。


前に我が家にも在った様にこの世界の魔動具は効率が悪く直ぐに魔石の魔力が尽きて使い物にならないので我が家の物は俺の作った物に交換して魔改造してあるのと同じ高効率の物を作った。

台所用のコンロの魔動具も同様に効率の良い物を作って渡して居るのでモリーンがきっと上手く売ってくれるだろう。




最近の俺の悩みは、成人した事によって、その気も無いのに縁談話が舞い込んで来る事である。


大抵の貴族の子弟は10代の内に決めてしまう事が多いらしいが、俺はもう少し先でも良いと思うし、未だにアリーシアの事を忘れ切れて居らず、そんな状態で他の人ととは考えたくは無いのである。


女々しいかも知れないがこれが偽りの無い俺の本心である。まあ、仮に戻れたとしても歳も違うし姿形も違う別人なので無理なんだけどね。


だから幾ら綺麗な10代の女の子子供を持って来られてもロリコンじゃないので心が動く事は無いのである。


まあ、親にしてみれば随分と涸れた15歳に見えるだろうな。



また社交界シーズンがやって来たが、当主である俺は拒否権が無く、ゲイツさんに勧められるがままに、舞踏会に乗り込むのであった。


ハイマン達と話していると、また何時ぞやのゴルツと言う奴が絡んで来た。


どうやら奴は俺が辞めさせる切っ掛けを作った『前』王宮魔法師団長トビウス伯爵の息子らしい。


なのでハイマン曰く恨んでいるのかも知れないとの事であった・・・。


実に面倒な奴である。



幾つかの舞踏会でマーガレット殿下やクラスメイトと踊ったりして無難に舞踏会を乗り切ったのであった。



舞踏会で他に変わった事と言えば、俺とクラスメートが話している最中に俺への紹介をクラスメートに頼んで来る奴(主に女の子)が多くなった様な気がする事だろうか?


目配せした俺によってクラスメートからヤンワリ断られて退散していたが、何が目的か判らないのでちょっと怖い。



早く社交界シーズンが終わってくれる事を切に願う俺だった・・・。

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