第357話 焦臭い匂い その3

敵の出兵部隊とすれ違った位置までゲートで移動して東へと進路を向けて侵攻先まで追い付こうと空を飛ぶ。


こうして間抜けにも、無駄に戻って居る訳だがそれも3つ先の都市を通り過ぎるまでだった。


やっと追い付いた出兵部隊は当初の5000人から膨れ上がっていて、どう見ても7000から8000人やはり最終的には1万人規模になりそうな気配である。


追い付いた出兵部隊の最後尾には長い補給部隊も追従しており、盗み甲斐のありそうな量を運んでいる。


まあ1人であの量全部を盗むのは結構事なんだが仮に半分に減らしたとしてもあの人数である。影響は大きいだろう。


俺は一旦王都邸に帰ってみんな揃った夕食を取って一休みした後、時差を考慮して夜を見計らってあの出兵部隊の補給部隊を急襲すべく隠密セットを展開してゲートで移動したのであった。


ちょうど良い時間帯に到着した様で出兵部隊の大半が夜の睡眠に入っており、俺は1人ほくそ笑んで荷馬車の積んだままの食料を荷馬車ごと遮音シールドの中でフォース・フィールドの触覚を使って1台また1台と『時空間庫』に回収したのであった。


音も聞こえない中で密かにとは言え、停車して馬と切り離した30台以上の荷馬車が次々に消えたら流石に異変に気付く者も出る訳で、1時間ももした頃には大騒ぎになってしまったのだった。


本当は武器等を運搬して居た馬車も頂いて起きたかったのだが今夜は一先ず諦めるとした。残った食料の荷馬車はまだあるので明日以降またチャンスを窺ってみるとしよう。


取り敢えず第一弾が大成功した事に大喜びをして、王都邸に帰るのであった。



それから、3日間賭けて、武装品の荷馬車や士気に影響しそうな酒が積んで荷馬車等を回収して廻ったが、残った食料の荷馬車40台にには厳重な寝ずの番が付いており、工夫がされていて無住む事が出来なかったのだった。


恐らく相当の騒ぎとなった事が予想される。出来ればその現場も目撃してみたかったけどね。取り敢えず潜り込んでイライラとして怒鳴っている司令官らしき人物のテントを窺う事で満足としたのだった。


怒鳴っている内容から推測すると伝令を飛ばして補給を願い出たらしいが、この時期に急激に大量の補給を要請してスンナリ送られて来るとは思えないのでこの部隊は事実上戦闘も進行も不可能だろう・・・。


まあチョイチョイ様子を見に来るとして当面は彼方の王城での妨害活動に専念して良さそうである。


とは言え、彼方も城壁はほぼ無効かしたも同然で補修するのにも相当の年月が掛かるだろうし、当面何も慌ててやる事は無いだろう・・・と言う事で主な目的は監視となるだろう。



そんな訳で敵の王城を確認しに行く事にしたのだった。





アグーラマ王国の王城に行くと既に俺の行った城壁ボロボロ作戦が功を奏しており、ボロボロの歯抜け状態の城壁の所為で王宮は上を下への大騒ぎになっていた。


件の国王は、執務室で怒鳴り散らしており、混乱に余計な拍車を掛けていた。


まあ隠れてそれをコッソリ見ている分には実に良い見物であるがな。





こうして、俺の妨害工作は開始から1ヵ月位の内に殆どが終了してしまったのであった。



俺は宰相閣下に報告の電話を入れて暫しの間王都邸でマッタリと過ごす事にしたのだった。


ここのところ働き詰めだったので少し暗い羽を伸ばしても罰は当たらないだろう。



■■■


あれから1ヵ月が過ぎたが結局敵の攻撃部隊はまだあの地に滞在したままで王都からの命令を待ってる模様であるが、明確に和学人を侵略する意思を持って出陣した時点でアウトであるのでナアナアで済ませる訳にはいかないと言う結論に至って居る。



ヤルなら一気に徹底的にガベスとであるが、今回は未遂に終わった事もあって再度開かれた軍議の場で属国化するかで紛糾してしまった。



本当なら面倒なので拘わりたく無いのが全員の一致した意見であり、こうして出鼻を挫く事に成功したので溜飲が収まったと言う事も大きい。


1000人規模の部隊で敵の王城を急襲するのは状況を見て延期とする事になってしまったのだった・・・。


平和的と言えば聞こえは良いが、


何とも実に締まらないエンディングである。



とは言え、特に命じられてはいないが当分の間はチョイチョイ敵の出兵部隊の動向を見守る必要もあるだろう・・・。



そんな訳で一旦表向きには俺の特命は完了した感じになったのだった。





さて、その後の出兵部隊であるが、結局回れ右をして補給も受けずに足り無い物資の中で不自由な思いをしながら王都方面に戻って行ったのだった。


ここまで追い込んだので残りの少ない食料には手を出さずにおいてやった。


状況を考えれば我ながら優しい処分だったと思う。


徴兵された一般兵の大部分は庶民であって職業軍人ではないのでこれ以上追い込むのは可哀想と言う物だ。



まあ彼らが無傷で帰れた事はきっと良かったのだろうが、王宮側が無傷と言うのが俺的にやや納得いかないのであった。


まあ宝物庫等を空にしてやった事で良しとするしか無いのだろうか・・・。



しかし、城壁を修復するにもその財源となる宝物庫の金品が全部無い状態で一体どうやって修復するのか楽しみである。




今回の事でレベル上げの重要性を再確認した俺は残った授業の無い日は魔宮の森に出かけて、レベル上げに勤しむのであった。



その合間にはマリーとガガの東の森に行ってマリーのレベル上げをするのであった。



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