第351話マーガレット殿下
どうやら俺は戦略をミスったらしいい。
自由気ままなマーガレット殿下に羽を与えてしまった様だと気付くのに3日も掛からなかった。
「マーガレットお姉ちゃん、いらっしゃい!」と笑顔で出迎えるマリーを嬉しそうにハグするマーガレット殿下。
今までは嘘でも先触れが来て居たのだが、今では玄関に直通である。
まあ、王家の人間として万が一の際の逃げ手が増えたのは良い事だろうけど、こうもポンポン彼方此方に飛ばれるとお付きの者の心労たるや計り知れない。
「マーガレット殿下、お越し頂けるのは構いませんが、お付きの方にはちゃんと一言言われてから来てますよね? じゃないと、お付きの方が可哀想なので・・・。」と俺が苦言を呈すると、
「なんじゃ、トージも爺と同じ事を言うのじゃな? 安心せい。ここに来る事は言ってあるのじゃ。」とどうだと言わんばかりに胸を反らすマーガレット殿下。
「そうですか、それを聞いて少し安心しました。」と心にも無い言葉を告げる俺。
「さあ、今日も新しい魔法を習得しようぞ!」とヤル気に満ちているマーガレット殿下。
戸は言え王室の一員として一番重要な防御と言えば魔装だろう。生存確率を上げるには身体強化と魔装のセットは欠かせない。
「では、マーガレット殿下には『魔装』と『身体強化』を覚えて貰いましょう。これがあれば、何かの際でも生き残る確率が上がりますので。」と言っててほんを俺とマリーで見せつつ説明したが初っ端で躓いた。
そう。マーガレット殿下は無賊魔法の硬化ができなかったのだ。
なので最初にフォース・フィールドの足場を作る事から始める事にしたのであった。
フォース・フィールドの足場と言うか無属性魔法を使うにはそれ相応に魔力操作のランクが高く無いと出来ないので、マリーに教えたのと同じ様に操作の仕方を教え、尚且つ魔力量を上げる為に、毎晩魔力を枯渇させて魔力の総量を上げる努力を刷る様に厳命したのだった。
「判ったのじゃ。師匠の言う通りに頑張るのじゃ。」と素直に返事をするマーガレット殿下。
こうして、新たな目標を掲げてマーガレット殿下の来訪は日常化するのであった・・・。
俺としては一国の姫君がこんな調子で良いのか心配であったが、特に国王陛下からの呼び出しもお咎めも無いままに時が過ぎて行くのであった。
1ヵ月位経つと、マーガレット殿下の魔力操作も板に付いてきて、身体の内外で自由に、魔力を操作出来る様になって来た。
これに従って、今まで使えて居た普通の魔法も威力が上がったらしい。
いよいよ、機は熟したと言う事で無属性の魔力の硬化を試みフォース・フィールドの足場を作ってみて貰った。
結果、ちゃんと硬化したフォース・フィールドの足場を作る事に成功し、その上に登って大喜びするマーガレット殿下。これで漸くスタートラインである。
次に、身体強化を教えたが、ちゃんと魔力操作のランクが上がっているので魔力を体内で自在に廻す事も問題無く行えている様子。
聞いてみると、元々マーガレット殿下に魔法を教えたのはこの国の王宮魔法師団長だった事が判明したが、『魔装』や『身体強化』等聞いた事が無いとの事であった。
「身体強化をした状態で、軽くその場でジャンプしてみて下さい。『軽く』ですよ!!」と言うと、
「判ったのじゃ。」といって軽くジャンプしたマーガレット殿下は1m位飛び上がってしまったのだった。
「なんじゃ、これは身体が妙に軽いのじゃ!!」とはしゃぐマーガレット殿下。
「マーガレット殿下、スカートに気を付けて下さいね。」と一応注意を促し、はしゃぐマーガレット殿下を微笑んでみていたのであった。
「これ、我が国の騎士団にも教えて良いじゃろうか?」と神妙な顔で聞いて来るマーガレット殿下に
「まあ国防に就く者なら知っていて然るべきでしょうね。構わないですよ。」と答えると喜んで居た。
「さて、次は本題である『魔装』です。」と言って説明してやると、最初こそ苦労して居たが、どうやら、マーガレット殿下はこう言う並列した発動に才があった様で、意外にも
2日位で物にしてしまった。
勿論これも、他に教えて良い課を問われて許可したら、翌日より暫く我が家に顔を見せなくなったのだった。
これまで連日の様に顔を見せてた人物が急にこなくなると、なんとなく寂しい気持ちになるのは仕方が無い。
マリーなんか、特に慕って居ただけに寂しそうにして居たのであった・・・。
とは言え、そんな静けさも本の1週間程で終わりを告げる。
ある日、マリーと2人で魔法の訓練をして居ると、ゲイツさんが訓練場に現れて、王宮よりの手紙が届いたとの事で執務室へと呼び戻されたのであった。
もしかして、お叱りの手紙?と一瞬ビビったが、既にお叱りの原因となりそうな人物は我が家に現れて無いので関係無さそうと思い直して、王家の紋章で蝋付けされた封書を開けてみると、高級への召喚状であった。
急いで身支度を済ませて馬車に乗って王宮へと駆けつける俺。
頭の中で良く無い想像が展開されるが、大丈夫な筈と最悪のケースでは国を逃げる必要が出るかもと思ってまだ自由な内に国外に一度出ておくべきだったかと後悔したりしていたのだった。
両親を迎えに行ったとしても安全な行き先が無いのでは意味が無い・・・。
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