第350話 デビュー その3
マリーを森に連れて行って討伐デビューさせようと計画していて、重要な事に気付いてしまった。
余りにも吸収が早いので攻撃魔法に偏って居たが、基本中の基本である『身体強化』と『魔装』を教えて居なかった事に・・・。
そんな訳で慌てて身体強化と魔装の特訓を行い、魔力を使わずに狙った的に当て易くなる訓練として俺も昔やった投擲の訓練も導入したのだった。
身体強化と魔装が出来れば有る意味投擲だけでも魔物は狩れるので最悪の場合でも其処らの石が強い武器になる。
流石のマリーも身体強化は良いのだが、魔装との併用に苦労をして居てまだもう少し訓練に時間が掛かりそうである。
結局、この併用がネックとなって、使い熟せる様になるまでに2ヵ月程の時間が掛かってしまったのだった・・・。
しかし、その間音を上げずにマリーは良く頑張ったと思う。
漸く両方を併用出来る様になって、そのままストーン・ブリッドを放てる様にまでなったのだった。
これでマリーを森に連れて行っても大丈夫そうだ。
王都の武具店につれて行って皮鎧を一式購入してやりローブをは居らせたら小さな冒険者の出来上がりである。
今は魔法だけだがその内剣術も仕込んで俺と同じ魔法剣士を目指すのも良いな。
そうすればパパンも喜びそうだし。と妄想を膨らませつつ王都の邸宅に戻った。
すると新しい装備が嬉しくてしょうがないマリーに「トージ兄ちゃん、何時行く?ねぇ?何時行こうっか?」とワクワクされながら聞かれてしまった。
「もう一応一通り教え込んだので何時でも大丈夫だと思う。焦らずちゃんと冷静に出来るなら明日でも行ってみるか?」と返すと大はしゃぎするマリー。
結局明日行く事をハイテンションなマリーに約束させられてこの日は早めに就寝させる事にしたのであった。
尤もマリーは興奮し過ぎて魔力を枯渇させるまで眠られなかったみたいだけど。
俺が11時頃に部屋に見に行った時にはベッドで寝息を立てていたので、明日寝不足と言う事はなさそうである。
■■■
翌朝元気に起きて来たマリーと朝食を取って身支度を調えガガの東の森へとゲートで出ると、騒がず、息を潜めているマリー。
ちゃんと判っている様で安心した。
俺が気配を探ると、小さい反応が近所に幾つか見られる。
「多分ホーンラビットだと思うから、フォース・フィールドの足場で上に上がって探して狙ってご覧。」と言うと、頷いて2m位のフォース・フィールドの足場に上がって、一端のハンターの顔になって魔物の気配を探っている。
どうやら見つけた様で慎重に狙ってホーンラビットの1匹を魔弾で頭を撃ち抜いて仕留めて居た。
まさか1匹目から成功するとは思ってもみなかったが、我が妹はなかなか優秀な様である。
「トージ兄ちゃん、当たった!!」と降りて来てはしゃぐマリー。
マリーの獲物の血抜きをして俺の『時空間庫』に入れて回収してやった。
「トージ兄ちゃん、マリーもその『時空間庫』を使える様になりたい!」と言うので、
「そうだな、今度ゲートと一緒に教えてやろう。」と言うと喜んでいた。
この日マリーhjは5匹のホーンラビットを仕留めたが、魔物を殺す事に対する忌避感は無い様で、血を見ても戻す事も無く至って平常運転であった。
マリーに取ってはホーンラビットも其処らの木の実等と同じ食物と言う括りなのかも知れない。
こうして無事にマリーの魔物狩りのでデビュー戦はおわりを告げた。
この日マリーが狩ったホーンラビットは後日シチューとなって食卓に彩りを添えたのだった。
折角なので、屋敷で作ったシチューを持ってガガの自宅にお裾分けに行くと両親が驚きつつも喜んで居たのだった。
折角マリーが意欲を見せて『時空間庫』を使える様になりたいと言うので時空属性が生える様にと特訓を開始するのであった。
さしもの天才マリーも俺の説明で使う単語が難し過ぎるのか、なかなかイメージが湧かない様で悪戦苦闘していた。
そんな折に『先触れ』と共にマーガレット殿下。が不意に俺の邸宅へと屋って来たのであった。
普通は『先触れ』を出して予定を伺う物なのだが、共に屋って来てしまっては全く意味が無い。
「暇なので来てしまったのじゃ。」と言われても、来てしまった者を返す訳にもいかず、迎え入れてしまうのであった。
「トージよ、暇なのじゃ。お主は何をしておったのじゃ?」と問われ、素直に妹マリーに魔法を教えて居たと答えると目の色を変えて喜ぶマーガレット殿下。
「それじゃ!!」と小さく叫びマリー1人に教えて居た筈なのに、いつの間にか対象が2人に増えてしまったのだった・・・。
再度2人にゲートの基本的なイメージや理屈を説いて実際にやってみせる。
そうすると、競う相手が出来た事で更にやる気スイッチに火が点いたのかマリーが初めて『時空間庫』に成功したのであった。
そうすると、面白い物で、マーガレット殿下も負けてられないと奮起して1時間位トライして結局この日はタイムアップで王宮へと唸りながら帰って行ったのだった。
マーガレット殿下が帰ってホッとしていると、
「お兄ちゃん、あのお姉ちゃん、お兄ちゃんの事好きなの?」とマリーが聞いて来て、ビックリするのであった。
「いや退屈凌ぎの相手だろ。それより、あの方はこの国のお姫様なんだから、めったな事を言っては駄目だよ。」と注意をするのであった。
肝心のマリーは「フーン」」と判ったのか判ってないのか判らない雰囲気でヒヤヒヤする俺だった。
まあ、たまたま今日来ただけだから大丈夫だよな?と心を落ち着けるのだった。
そう、あの日だけと思っていたのに・・・翌日もその翌日も、『先触れ』と共にやって来るのは如何な物か?
「師匠、今日も来たのじゃ、早う昨日の続きをするぞ!」と言って悪びれもしないマーガレット殿下。
「あ、マーガレットお姉ちゃんいらっしゃい!!」とキャッキャと喜んで迎えるマリー。
「」おお、マリー、今日も来たのじゃ。と女の子同士で愉しそうにやっている。
そして俺は今日も今日とて、2人に魔法を教えるのである。
マリーと色々話していたと思ったら、漸く、始めってから7日目にしてマーガレット殿下が『時空間庫』に成功したのだった。
「出来たのじゃ!!!後はゲートじゃ!!」と喜ぶマーガレット殿下。
ゲートは『時空間庫』が出来る様になったら意外に早い。空間と空間を繋ぐだけである。こうして、2人の弟子は揃って『時空間庫』とゲートを物にしたのであった。
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