第349話デビュー その2
長いダンスの後、漸く解放された俺は、
「マーガレット殿下、良いタイミングでの助け船ありがとうございました。」とお礼を言うと、
「単にトージと踊りたかっただけじゃ。通常は男から誘う物じゃぞ?」とニッコリと微笑みながら諭されるのであった。
俺とのダンスが終わった後、その隙間にねじ込む様にその他の貴族の子弟共がマーガレット殿下とダンスをしようと集って来だした。
すると、それをスルリと華麗に躱してマーガレット殿下は何処かに行ってしまったのだった。
まあ、ご想像通りにその後の嫉妬の視線の痛い事痛い事・・・。
「流石はトージ、心強い後ろ盾だね!?」と凄く良い笑顔のハイマン君が俺を出迎えてくれたのだった。
話は変わるが、この世界では前世の世界と違って楽器や音楽と言う文化があって、今回のダンスもその楽器による生演奏で行っている。
じゃあ、普段のダンスレッスンは?と思うだろうが、普段は簡素にセリヌ先生の手拍子によるリズムのみで踊っている。
なので本日がこの異世界初の音楽に触れた記念すべき日と言う事である・・・まあ、有象無象に絡まれた日でもあるだけどね。
この後、クラスメイトの女の子にこちらからお願いして数回踊って先程のマーガレット殿下との時より多少マシに踊ってみせた。
そしてこの初舞踏会を無事?に終えてマリーの待つ邸宅へと帰宅たのであった。
「トージ兄ちゃん、お帰りー!」と嬉し気に駆け寄って出迎えてくれるマリー。
「ただいま。やっと帰って来られたよ。はぁ疲れたぁ~。」と吐き捨てる様に溜息交じりに告げる俺を見てゲイツさんが良い笑顔で微笑んでいた。
後で今日の総評を聞いて来てみると、あのマーガレット殿下と初っ端に踊った事がかなりのインパクトのある抑止力になっていて
なる程、マーガレット殿下は其処までちゃんと計算して行動してくれたのであろう・・・今度何かお礼をせねばならんな。とマーガレット殿下に感謝するのであった。
やっと終わったと気を抜いていたが初めての舞踏会以降、シーズンらしく、家の様な木っ端貴族に結構な数の招待状が都度居てしまい、しかもゲイツさん曰く目上の貴族からのお誘いは基本余程の事が無いと『断らない』のがマナーだとか・・・
ハッキリ言って虐めかよ!って思わなくも無い。
それに毎回同じ服だと笑われるらしく気廻すしてもそれ相応の数のセットを仕立てないといけないと言う。
貧乏貴族だと衣装代だけで大変らしい。まあそうやって、お金を世間に廻す意味なのかは知らんけど、衣装代だけでかなりの散財を強いられる俺だった。
自分の衣装よりもマリーの衣装を買ってやった方が満足感が大きいのだが、兄妹とは言え余りパパンとママンの子に贅沢を覚えさせると先々拙いと思って、マリーには気兼ね無く着られる普通の庶民用の洋服を複数購入指摘廻している。
そして俺にとって苦痛でしかないこの舞踏会ラッシュは5月になるまで続いたのであった。
5月になってやっと舞踏会シーズンが終わりを告げた 頃には念願の社交ダンスもセリヌ先生のお墨付きを頂き、『単位免除試験』を受けて見事に単位を得たのであった。
残す貴族常識学2の方は家庭教師に習っているが、結構ややこしく当分無理そうである。
とは言え、余計な授業が減ったのでマリーと過ごす時間も増えたし、多少は魔宮の森に行ってレベル上げをする時間も取れそうである。
そうそう、マリーの魔法の進捗だが魔力量も順調に伸びて来て居る様子だ。努力家のマリーは俺の言いつけ通りに毎晩枯渇させてるので日に1ずつだろうが確実に毎日不得手居る筈である。
つまり計算だと、半年で180魔力が増える事になる。
そうすればやれる事も増えてそうそう簡単に死なない様になるだろう。
最近漸く被属性魔法を教えたのだが、流石は『火炎の魔女』の二つ名を持つママンの娘、火魔法は得意の様で教えた事の吸収が早い。
このまま行けば『火炎の魔娘』と言うところだろうか?
一応、被属性魔法を教え始めた際に魔法の訓練場の防護壁を2重にして置いたので当面破壊される事も無いだろう。
まあ覚えが早いと言っても威力はそれ相応程度だからな。
■■■
マリーの魔法訓練に付き合う合間に俺は魔宮の森でのレベル上げを開始し、その内マリーにもガガの東の森の近辺でスライムやホーンラビット等の雑魚魔物の討伐でもさせてみようかと思っていたりする。
まあ、俺がお膳立てしてパワーレベリングしても良いのだが、それだと意味がない見せかけだけのレベルになって余計に危ないので普通に魔弾かストーン・ブリッドで倒させる予定だ。
俺は久々の魔宮の森でヒュージ・ボアを狩ったり、ヒュージ・フロッグの在庫を増やしたりしつつ、よりレベルの上がりそうなマッド・リザードマン等を狩ってガガの冒険者ギルドに卸している。
マリーの魔弾はソコソコの発動速度だが、如何せん若干硬度が足り無いのと弾速がもうちょっと欲しい所である。
今の所、魔力量の事もあるので1日の発射回数に制限があるのだがあともうちょっとしたら東の森に連れて行こうかな・・・。
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