第344話 心強いパートナー
さあ2つ目の訪問地であるモリクール公爵領だが、領全体が広い広い。途中関所が在ってちゃんと地上に降りて関所を通過して領都を目指す訳だが飛んでる時間が非常に長くて御道路手しまった。
このモリクール公爵領の領主であるモリクール公爵は、『携帯魔動電話』を200機以上を一気に購入するだけの事はある。広い領地内の情報交換用に購入したのだろう。
今回、ゲートを建設するのも目的だけど、王都で納品出来なかった方へは宅配していたりするのだ。
元々あのパーティーに来て居たのが殆どこの国の重要な貴族のみで全員の領地にゲートを建設する事になっていたのである。
唯一あのパーティーでの想定外な要素と言うとデモンストレーションの際にマーガレット殿下に『携帯魔動電話』をそのまま取られて以来今もなお頻繁に電話が掛かって来る事ぐらいだろうか。
関所を通過した翌日、長閑な水田の上を飛んで思わず日本の米処上空を飛ぶドローンの映像を見ている様な錯覚に陥る。そして漸く領都に到着した俺はモリクール公爵にお目通りをお願いして大歓迎を受けるのであった。
この世界の米料理は炊くでは無く煮る感じで全体にべちゃっとした調理法となる。だから米をメインにすると良くて雑炊とかになってしまうのだ。何とも実に勿体無い。
だからこそ、不人気で余り主食として食べられて居らず知名度も低かったのである。
だからこそだけど、羽釜による炊くと言う事を今回序でに教えて普及して貰おうと考えていたりするのだ。そうすれば、居れにとってもモリクール公爵にとっても利益になるのでwin-winの筈だから。
領主の邸でモリクール公爵に面会した後、話もそこそこに直ぐゲートを建設地へと案内して貰って、ちょっと話を振ってみた。
「モリクール公爵閣下これだけ領地が広ければ需要によっては領地内のミニゲートセンターを作った方が楽なんではないでしょうか? 尤も直接行かれる事は少ないかもですが、年に何度も行き来されると大変ですよね?」と尋ねて見るとそれ程自ら出向く事は少ないとの事だった。
やっぱり慣れない営業活動はは駄目だな。一応余分にゲートユニットを作って持って居るだけに残念であった・・・。
「まあ、また必要になったら声を掛けさせて貰うのでその際は宜しくお頼み申す。」とモリクール公爵に言われたのであった。
アッという間に手慣れたゲート設置も終わって王都へのテスト接続も終えると大変感謝をしてくれて、領主邸で一泊をと言う事になってここは羽釜で炊くと言う事を普及する為に素直にありがたく受けておいた。
ゲートからモリクール公爵邸に戻った後お恐れながらとお米の新しい調理方法を提案して見る事にしてみた。まあ俺にとってはこれこそが標準なんだがな。
「実は私は大の付く程の『お米』好きでして、色々と調理方法からお米に合う料理や農機具に関してまで色々と研究して居りまして、今回こちらの領にくるのを楽しみにしていたのですよ。一度閣下にもお試し頂ければと・・・。」と俺が言うと自分の領の特産物の事だけにみを乗り出して聞いてくれるモリクール公爵。
そこで、俺は海苔を巻いたおにぎりや出汁巻き卵焼き等を出してテーブルに並べた。
「これは当方の料理人に作らせた物ですが、これを王国全土に流行らせたいと思っておりまして。どうぞ、お一つお召し上がり下さい。普通と違う調理法で料理したお米です。」と言って俺の作った料理を勧めると、
初めて見る炊いたお米に興味津々と言った様子で、おにぎりにフォークで刺そうとしたので慌てて「閣下、それは手で取って食べて見て下さい。おにぎりと言います。」とし死して直に手に取って食べて見せたのだった。
俺と同じ様に手に取ってパクリと一口食べて何度か咀嚼してゴクリと飲み込み「美味いな。」と満足そうに言うモリクール公爵。
「閣下、最初にこの卵焼きを1切れ口に入れて、おにぎりと一緒に食べてみて下さい。もっと美味しいですよ!」と言うと素直に従うモリクール公爵。
ここまで来ればこっちの物である。他にもこんな料理(おかずが)ありまして、これがお米に合うのですよ。」と言って肉じゃがの小皿を出してスプーンを出してやると、今度はこちらが言わずとも先程と同じ様に肉じゃがを口に入れた後に追いおにぎりをして「おーー!」と満足気に唸っていた。
「どうです?宣伝次第で飛躍的にお米の需要が高まりそうではないでしょうか?」と俺もニヤリと笑ってモリクール公爵に「一緒に世間に広めませんか?」と誘いを掛ける俺。
後は非常に簡単だった、一度味を占めてしまえば、もう後戻りは出来ないし、しかも自領の利益に繋がる誘いである断る訳も無く俺の手を取って握手をして来たのであった。
俺はモリクール公爵邸の調理人に羽釜を渡して、炊き方を教えた。
ノって来たモリクール公爵にここぞとばかりに脱穀機等の農機具の魔動具を良い値で売りつける俺。
結果として、一晩でかなり大きな商談を纏めてしまったのだった。
諸々の結果、たった一晩でかなりモリクール公爵に気に入られてしまって、「何かの際には力になるので是非頼ってくれ!」とまで言われたのであった。
翌日、ここより先の伯爵領に向かう為にモリクール公爵に別れを告げてゲートで上空へと上がって更に東へと進むのであった。
トージが去った後、「なかなかに頼もしく多芸な少年じゃったな・・・下の娘と丁度良い年頃じゃろうか?」と呟くモリクール公爵が居たのだった。
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