第343話 ハリス辺境伯領万歳
サクっとゲートの建設を終えた後はハリス辺境伯邸でお食事をご招待頂き新鮮なこの世界の魚料理に舌鼓を打った。
「大変美味しかったです。やはり、領地に海が在るって素晴らしいですね。色々と探したい物もありますので、後ほどこの街の市場も廻らせて貰って宜しいでしょうか?」と満腹でちょっと食べ過ぎたなと反省しつつハリス辺境伯に許可を求めた。
ええ、勿論どうぞどうぞ! 失礼ですがどんな物をお探しなのか、お聞きしても宜しいでしょうか? 家の者をお付け致します。その方がスムーズに捜し物が見つかるかも知れませんし。」と提案してくれたので、そのご厚意に甘える事にした。
「実は今回真っ先に此方の領に設置しに参ったのにはとある料理に不可欠な出汁が取れる海藻や、干して紙みたいにすると美味しい海藻があるのでそれらを手に入れたいと思いまして。」と答えておいた。
「ふむ、何か当家でご協力出来る事があれば何なりとお申し付け下さい。」と丁寧な返答をくれたのであった。
どうやら今回のゲートの早期設置を相当感謝してくれているらしい。
実質行った事の無い地の中では一番目に設置したのだし、王都からこれだけの距離が離れて居る事も鑑みると確かにゲートの有難味は絶大だろう。
そんな訳でこんな小僧貴族でも下には置かない様な対応をしてくれるのであろう。
食後のマッタリタイムを経てハリス辺境伯の配下のサリウスさんと言う方の案内でハリスの街の市場へと案内して貰った。
新鮮な魚介類のオンパレードに思わず興奮しながら焦る気持ちのままに大人買いをして行く俺にさしものサリウスさんもドン引きして居た。
まず最初に昆布とワカメを探して居たのだが海藻を食べると言う発想が無かった様で説明すると、昆布もワカメも海苔も存在して居る事が判明し、購入するので揃えて欲しいと海苔の加工の仕方まで細かく指定し、オーダーを入れて前金とマジックバッグを渡しておいた。漸くこれらを手にする手筈が整ったのだった。
更に煮干しの素になる小魚を加工して貰う事も忘れずにオーダーしこれらをオオサワ商会で全て仕入れる事を約束したのであった。
余りの俺のハイテンションっぷりにサリウスさんもポカンとして居たが俺としてはどう見られてどの様に思われようとも俺の料理に欠かせぬ素材の入手が一番大事なので、スルーしておいた。
「後は鰹節があれば最高なんですが知らないでしょうか?」と駄目元でサリウスさんもに尋ねるも
「鰹を燻して水分を飛ばした硬い奴でしょうか?」と意外にも返事が返って来て、取り扱っている工房へ案内してくれたのであった。
勿論それも買える分を最大限に購入しておいた。
そう、この鰹節は作るのに長い期間が掛かるので急激に買い占めると地元民に迷惑が掛かるのだ。
この鰹節の工房に言って今期より増産してくれる様にとお願いし、前金を渡しておいた。
ここまで揃うとは思っても居なかったので思わずテンションが上がり過ぎて「ハリス辺境伯領万歳!」って叫びそうだったよ・・・。
こうして充実したショッピングは終わり、ハリス辺境伯にお礼とまた近々品物の受け取りに来ますと笑顔で言ってお暇したのであった。
この日前金で2億近く払った事を後でサリウスさんから聞いたハリス辺境伯は驚いていたとか・・・。
これで一旦王都の邸宅に戻って久々に我が邸宅の夕食を1人で食べて風呂に入ってユックリ眠りに就いたのだった。
次は王都から東の方に行った場所にある現国王陛下の弟であるモリクール公爵領である。話によると、ここはお米の産地だと言う話であった。
朝からやる気に満ちて上空に上がってウィングスーツで東に向かって滑空を始める俺。
地図上だとそんなに離れては無い感じに書かれてあったが、小高い峠を越える為に馬車等だとそれなりに日数が掛かってしまう。
それに!!峠と聞くと判ると思うがスピードの出せない見通しの悪い区間なので、ご想像通りに治安が宜しく無い。
前に調べた範囲では峠辺りを縄張りにする盗賊が居ると言う事だった。盗賊は良い稼ぎを齎す俺に取っては良いお客さんである。
何の変化の無い退屈な空の旅を続ける事丸2日、幾つかのチェックポイントを通過して、旅の商団にとっては難関である峠に差し掛かった頃、1台の馬車が峠道を通過して居た。
登り道で速度も落ちており襲うには丁度良いカモである。
上空でそれを眺めつつ旋回して監視していると、崖の方から、ゴソゴソと出て来る10人組の盗賊集団。
護衛の冒険者4人が相手をしようとして居るが人数的に分が悪い。
戦いはまだ始まって無いけど、負傷者が出るまで待つ必要も無いので、地上に降り立って、冒険者側に後ろから声を掛けた「通り縋りのAランク冒険者だが、助太刀必要か?」と問うと、「ああ是非とも頼むぜ!」と嬉し気に言って俺を見てガキだと知ると絶望した様な目になっていた。
失礼な・・・確かに12歳だがAランクは本当やぞ!!と言う思いを込めて「ほら、武器を棄てて金目の物を全てさしだせよ!」とほざく盗賊の眉間に魔弾を1発ブチ込んだ。
眉間を撃ち抜かれ脳漿が飛び散ったのを皮切りに、残る9人の盗賊の足と肩を魔弾で撃ち抜いて機動力と反撃力を全て奪って、廻り2分と掛からずに制圧が完了したのだった。
呆気に取られて居る冒険者に「これで終わったな。」と俺が呻く盗賊の頭を踏みつけつつアジトの場所を尋問していると、何故か味方の筈の冒険者や御者隻の商人から「なんだろう?何故か盗賊共が哀れに思えて来る」とドン引きされたのであった。
痛みを追加する拷問のお陰で口が軽くなった盗賊共にアジトの位置を聞いた後、奴らを始末して、穴の中で死体を燃やして埋めてしまった。
「お礼が遅くなって申し訳ありません、ナーランド商会のナーランドと申します。この度は危ない所をお助け頂き誠にありがとうございます!」と言うナーランドさん。
「俺達はBランクパーティーの夜明けのハイエナだ。俺はガッシュ、今回は本当に助かったぜ。」と言うガッシュと言う冒険者。
「俺はAランクの冒険者でトージだ。偶々通り掛かっただけでラッキーだったな。」と言うと、ガッシュが「その歳でAランクかよ、スゲーな。」と呟いていた。
「うむ、丁度良い時にワイバーンに絡まれてな。お陰で推薦状2枚をゲット出来たんだよ。まあ運が良かっただけだ。じゃあ俺は先を急ぐので気を付けてな!」と言って早々にその場を去ったのだった。
何故って? 盗賊のアジトに行かねばならないからな!
盗賊って本当に崖の洞窟探すのが上手いのか知らんけど、本当にアジトが洞窟ばかりだうよな。
今回の盗賊のアジトには見張りが2人立って居たので、サクっと魔弾で仕留め、また穴を掘って中で燃やして埋めておいた。
洞窟の中はジメッとしていて実に臭く、風魔法で空気の入れ換えをしながら中を探索すると、結構色々と溜め込んでやがって思わずほくそ笑んでしまったのだった。
しかし、これではどっちが悪党だか判らないな・・・と思わず自分に突っ込む俺だった。
ただちょっと胸が痛んだのは、嘗てここに女性が居たで在ろう衣服の残骸を発見してしまって思わず胸が締め付けられたのであった。
その衣服の残骸の女性が無事で居る事を思わず祈らずには居れなかった。
残された金やお宝をゴッソリ頂いてちょっと、昔のアリーシアの事を思い出してしまい持って行き場の無い怒りで頭がどうにかなりそうであった。
最後に洞窟を崩して埋めて魔物や盗賊が住み着かない様にしてその場を立ち去ったのだった。
ああ・・・アリーシアと子供達に会いたい。一目でも良いから・・・と空を飛びながら、涙を風で乾かす俺だった。
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