第340話 合格発表と入学式

1週間が過ぎていよいよ合格発表当日となった。こうしてドキドキして合格発表に行くのは大学入試以来なので何十年振りだろうか?等と感慨にふけりつつ、王立学園へ合格発表を見に行く俺とゲイツさん。


「これ、もし不合格ってなると何か問題あったりするの?」と今更ながらにゲイツさんに尋ねてみると、全ての王侯貴族は王立学園を卒業していないといけないらしく、非常に拙いのでその場合は来年受け直す必要があるらしい・・・。


「トージ様は大丈夫ですよね?」と念を押す様に聞いて来るゲイツさんの放つプレッシャーが凄い。


「お、恐らく大丈夫な筈と思う。」とやや不安に思いつつ答える俺。


ゲイツさん曰く、合格ラインの点数は非常に厳しいとの事。それで毎年何名かは不合格になって次期当主の座から脱落したりする話もあるらしい。

基本一発合格しか許されないとの事だった。



そんな胃の痛くなる様な話を馬車の中で聞きながらやっと王立学園に到着し、合格発表の掲示板にかじりつく様に見ている他の貴族の子弟に混じって俺達も番号を探すと呆気なくゲイツさんが俺の番号を探し当てて笑顔で報告して来た。


「トージ様、さすがです。主席で合格されるとは我々一同鼻が高いです。」と満足そうにお祝いを言って来たのだった。


入学手続きの受付に行って手続きを終わらせていると、遅れてハイマンが現れて、

「トージここに居るって事は合格だよな?おめでとう! これで同級生だな。」とお祝いを言って来た。


「ああ、そっちも合格おめでとう。入学してからも宜しく頼むな。」と言って笑顔で別れたのであった。


3月の入学式までに制服一式が出来上がって来るのだが、一斉に合格者全員分の制服を仕立てるとは流石は王都と言う事だろうか。


家も量産体制が整えられればこんなに苦労しないのにな・・・。と思いつつ3月の入学式の日まで頑張って『携帯魔動電話』作りに励むのであった。


頑張った結果、残り600機を入学式までに作りあげ、更にストック分も300機程保持する事が出来たのだった。



さていよいよ入学式の当日である。本来であればガガからパパンとママンをご招待したい所ではあるが妊娠中のママンに無理をさせてはいけないので声を掛けないでおいた。


決して平民の両親が恥ずかしいとかじゃないので誤解はしないで欲しい。貴族だらけの保護者席に居るのは精神的に宜しくないだろうと言う配慮である。特に妊婦には底冷えのする講堂での式典は答えるだろうからな。



そんな訳で我が家からの参加者は0となる。だからって精神年齢良い歳なんだし寂しくなんてないからな!




パリッとした真新しい制服に身を包み、馬車に揺られてやって来た王立学園の門の付近は大変混んでおり、若干手前で降りて歩いて門から入って受付を済ませる。


途中でハイマンを発見したので駆け寄って、「ハイマンお早う!」と声を掛けて一緒に講堂へと歩いて行く。

講堂まで歩いて行く途中で、不意に「あ、トージだ!!」と言う声がして振り返るとマーガレット殿下であった。


「お早うごさいますマーガレット殿下。」と俺が挨拶すると、「硬いなぁ~。学園内は身分の隔ては無いのだから、もっと気さくに呼んで良いのに・・・。」と口を尖らせるマーガレット殿下。


「いやいや、流石にそう言う訳にはいきませんから。あ、此方、友人のハイマンです。」とハイマンを紹介すると「あ、ハイマン・フォン・ゲルバトスです。」と慌てて自己紹介をしていた。

「トージお前、凄いな!!」と小声でハイマンが囁いていたが、「ゲートの一件諸々で王宮に泊まった際に色々とあってな・・・」と説明の言葉を濁す俺であった。




俺は良く知らなかったがどうやら、幸いな事にマーガレット殿下とは学年が違うらしく、俺達の1つ上の学年らしい。


講堂までの道程でその事を散々マーガレット殿下が愚痴っていたのだった。


因みに本日判明した事だが俺とハイマンはSクラスらしい。マーガレット殿下。は2学年のSクラス、学年が違うのでセーフである。


クラス別の椅子に座って開催を待つ事20分漸く全員が揃った様で入学式が始まった。


まずは学園長のつまらなく長い話を聞いて来賓の国王陛下が壇上に上がりとシーンと静まり返り、スピーチが始まる。


「新入生の諸君、合格それに入学おめでとう。ここでの学園生活を是非ともより有意義な物にしてくれ。今年は特に面白い生徒が入学して居るから、一緒に学べる諸君らは実に降伏である。以上だ!」と締め括って拍手喝采を受けていた。


更に続いて、「新入生代表、主席の挨拶」と聞いて無かったサプライズがあって、イキナリ壇上に呼ばれる俺。


ここでしどろもどろになると格好悪いので必死で頭を巡らせ一瞬で作文する俺。「春の良き日にこの歴史ある王立学園に皆さんと共に入学出来た事を幸せに思います。ここでの月日、お互いに切磋琢磨して王国の反映の為に頑張りましょう! 尚、私の事はトージとお気軽にお呼び下さい。」と締め括りお辞儀したのであった。


嬉しい事にそこそこの拍手を貰って自分の席へと戻った。


これで、入学式はお終いである。


Sクラスの人数は10名で俺とハイマン意外に8名が居た。


クラス別のホームルームがあるとかで、10名で固まってゾロゾロと指定の教室まで移動して行く。


軽く教室に入った所で自己紹介したところ、Sクラスのメンバーは

トージ、ハイマン、リーゼ、クランツ、ペギー、モリー、ステファン、シャロン、ジュリアン、エルドである。


ちなみに、男はトージ、ハイマン、クランツ、ステファン、エルドで、


リーゼ、ペギー、モリー、シャロン、ジュリアンが女生徒である。


丁度5にんずつ男女に別れた感じである。

流石にSクラス?なのか全員が全員貴族の子弟で平民は1人も居らず平民上がりなのも俺だけであった。


どうでも良い事ではあるが、流行って居るのか女生徒の髪型は皆マーガレット殿下の髪型に似ててちょっと面白かった。

アイドルの髪型をみんな一斉に真似するあの現象だろうか? と黙って考察したのであった。


暫くすると担任の先生が入って来たのだった・・・。


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