第339話 携帯魔動電話作りと入学試験
それからと言うもの俺は毎日入試試験の日まで『携帯魔動電話』を作り続けた。
徐々にこの身体での作業も板に付いてきて前世の様なペースで作成出来るまでに進化し、自分自身の能力を取り戻せたと確信出来るくらいにはなった。
そのペースで1月を過ぎる頃には国王陛下からのオーダー分の500機の製産が終わって納品までを済ませたのであった。
価格に関しては通常価格5億ウニーのところを国に収める分と言う事で値引きして1機当たり3億ウニーにさせて貰った。3億ウニー×500機で1500億ウニー!実にボロい商売である。
しかも値引きした事で国王陛下からも感謝されると言うオマケ付き。
2月には他の貴族達からのバックオーダー分1200機に取り掛かり、2月中に約600機が完成し、残り600機を残すのみとなったのだった。
しかし残念ながらここでタイムアップ。王立学園の入試の日程となってしまったのだった。
最近夜型になっていたのに早朝に起きて身支度を済ませひっき用具等をウエストポーチ型のマジックバッグに仕舞って家門の入った馬車に乗って王立学園までドナドナされて行く。
今更ながらに面倒と言う言葉が頭の中を埋め尽くしバックレたいと言う衝動が俺を襲う。
まあバックレたらバックレたで面倒な事に発展するのでやらないのだけどね。
と言うか何か不穏な物を感じたのか有能なゲイツさんが馬車の中の向かいの席に陣取ってお出でで逃げるに逃げられないのだよな。ここで下手に逃げると折角雇った孤児院の子供達も宙ぶらりんになるので逃げちゃ駄目だな・・・。
俺の心の中の葛藤を余所に馬車は何事も無かった様に数台の馬車の停まっている王立学園の正門前に到着したのであった。
「では、トージ様、シッカリと頑張って下さいませ。」とちゃっかりゲイツさんにプレッシャーを掛けられて送り出され正門の直ぐ先にある受付に受験カードの提示を行って受付を済ませる。
周囲にはこれぞ貴族の子女と言った雰囲気の小生意気そうなガキ共が多数居て鬱陶しい。
俺は一足先に筆記試験の教室へと赴き番号で決められた席に着いて目を閉じて瞑想していた。ここのところ夜型の生活が身に付いて居りぶっちゃけるとやや眠い。
そうこうして居ると、この教室で受験する奴らが騒々しく入って来て半分入っていた夢の国から現実(受験)の世界へと呼び戻されるのであった。
暫くして入って来た試験官によって配られて試験内容は一般常識はあのマーガレット殿下からもらった本の通りで全然難しくも無く。計算部分は小学校1年生レベルの算数で兆楽勝であった。
一応時間が余ったので2回見直して間違い無い事を確認した。
これで不合格になる事は無いだろう。
鐘の音と共に解答用紙が集められ次は体育館で実技の試験となる。
場所を移動しに立ち上がると、「おい、黒髪!」と俺を指していると呼ばれる声がした。
振り返ると、金髪の同じ歳格好の少年が俺の方を見ている。
「俺か?」と聞いてみると、「おお、そうだぞ、お前もしかして先日子爵位を賜った、平民上がりか?」と聞いて来たので、
「そうだぞ。」とぶっきらぼうに答えると、
「ああ、すまないちょっと聞き方が悪かったな。俺はハイマン・フォン・ゲルバトスって言う公爵家の次男坊だ。よろしく頼む。」とイキナリ握手を求めて来た。
イキナリ乱闘イベントかと思ったら、なかなか真面そうな奴っっぽいのでホッとしつつ、握手を交わし、
「こちらこそ、宜しく。トージ・フォン・オオサワ一応成人後に子爵の予定で良いのかな。トージと呼んでくれ。」と自己紹介をしたのであった。
何でも先日のパーティーにゲルバトス公爵も参加していたらしく、飯が美味しかったと帰って来て五月蠅かったらしい。
2人で体育館に移動しながら話をすると、このハイマン君結構人見知りが激しいらしく、初対面の人には緊張でつっけんどんな喋り口調になるらしい。
お互いにトージ、ハイマンと呼び捨ての仲になって慣れてくれば良い感じなのに、ちょっと残念な性分だな。と心の中で思う俺だった。
さて実技の試験は剣と魔法に分かれており、選択制になっている。ハイマンは剣を選択し、俺は簡単な魔法を選択。
体育館の中でハイマンと別れ俺は魔法部門の試験の列に並んだ。
さて同年代の諸君の実力をジックリ拝見させてもらってこの世界の常識のレベルを学習させて貰うとしよう。
試験官が、「これよりあの的に向かって一番強い魔法を撃って下さい。」と宣伝した。
最初の少女が名前を告げて的の前に立ち「我願う、灼熱の炎の矢をもって敵を穿てファイヤーアロー!」と恍惚の表情で詠唱をした後弱い炎の矢は的に当たって炎の矢は消滅していた・・・勿論的はそのまま健在である。
続く少年も似たようなキメ台詞の様に詠唱してウォーターボールを的にビシャって当てていた。
なんじゃこりゃ?って魔法のオンパレードである。試験に向けて自宅で練習して来なかったのかよ?と疑いたくなる様なこの世界の魔法の常識レベル。
当初は魔弾を撃とうと考えて居たが、彼らの魔法を見て魔弾は無属性なので弾が見えずに採点され難いかも知れないと思い直してストーン・ブリッドを放つ事にしたのだった。
先頭でこの試験を受けなくて非常に良かった・・・。
漸く俺の番になって「トージ・フォン・オオサワです。行きます!!」と言って指ピストルの形にして、狙いをすませてストーン・ブリッドをスパンと無詠唱で発射するとその直後にバリンと的が撃ち抜かれて割れたのだった。
一瞬シーンとする魔法試験の会場だったが、その後、「うおぉーー!」と歓声が上がるのであった。
よくあるラノベの定番の様に的の後ろの防護壁まで貫通して~って事の無い程度に威力を抑えたのだが十分に驚かせるだけの効果があった様だ。
試験官も暫しフリーズして居たが、再起動した後的を取り替えて無事に試験が再開したのであった。
これ本日の試験は終了である。ハイマンの実技試験を見学した後合格してのn再開を誓ってそれぞれ迎えの馬車に乗って帰ったのであった。
ハイマンの剣術はソコソコ強く、試験官には勝てなかったものの、十分に合格ラインを越えていたと思う。まあ合格ラインの基準を知らないので、適当な俺の感想だけどな。
俺?俺だったらあの試験官に勝てたと思う。だってパパンよりもかなり弱い隙だらけの試験官だったし。もしかすると試験用に隙を態と見せていたのかも知れないけどね。
剣は兎も角、魔法に関して俺はこの学園で習う事がなさそうな気がする。適当にサボっても大丈夫なら時間を有意義に使いたい物だ・・・。
1週間後の合格発表まで俺は只管に『携帯魔動電話』を作り続けたのだった。
新しいスタッフ達も慣れて落ち着き、特に何か俺が指示したり機を遣う事無く何のミスもなく日々順調に廻っている。
かなり長い事放置になって居たのでマリーとの約束もあるので1日だけガガの自宅に帰ってホッと一息付いて息抜きをするのであった。
帰った序でにジョージさんの所に寄って、マジックバッグのⅢ型を出すかの話をするのであった。ジョージさん曰く、既にお客からのバックオーダーが入って居るので100個くらい作りたいと言って居た。
ヒュージ・フロッグ次第となるので時期が来ればまた狩りに行く事を約束して王都に帰還したのであった。
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