第338話 叙爵祝いパーティー
いよいよ『宜しくね!』パーティーこと叙爵の祝いパーティーの当日となった。
この日に備え、新人のメイド見習いを含め我が家一丸となって勤しむ中おれだけ当主だからと言う事で殆ど蚊帳の外となっており殆どを工房の方で過ごし『携帯魔動電話』作りに励んでいた。
「みんな、準備色々とありがとう。これを乗り切ったら順に休暇取って良いので今日一日宜しくお願いね。」と言って皆の前で一番小さな俺が挨拶する。
なんとも小学校のお遊戯会の司会の様に見えそうだが中身こそはアラフィフなので無問題(もーまんたい)かな?
そうそう、今回のパーティーの準備で何気に大変だったのはお土産に持たせる品で結局ガガ辺境伯に頼ってアドバイスと手ハイを手伝って貰う事となった。
何が面倒って、子爵位相当の範疇とか判る訳が無いじゃん。結局ガガ辺境伯ご推薦のお酒になったんだけど、もしかすると、ご自分が酒好きで酒を推した説もあるくらいであるが、だとしても、この酒にしとけば間違い無いって銘柄の酒らしいので、俺も大きくなったら飲んでみようと『時空間庫』に保管してあったりする。
あともう1つ面倒なのは今回はソコソコだけど、成人して正式な貴族の当主となった際にはもっと盛大にやらないと駄目なんだってよ!? よくラノベ等で浪費癖のある貴族の話が出て来るけどさ、こう言うのが原因なんじゃ?って思うよね。
ただ、お金を民間にバラ撒くと言う意味では経済の活性化に繋がっているんだと思うけどさ。今回のこの一連の動きでおれもかなり纏まった散財したからね。そう言う効果を狙ってるのかも知れないな・・・。
減った分はまた稼げば良いしね・・・。
時間になるとゾロゾロと当家のロータリー前に馬車がやって来てtザ・貴族って感じのデップリした人やダンディな老紳士等様々な人が集まった。今回招待状を出したのは主に伯爵家以上の方々で同じ子爵位とそれ以下には入り切れないと言う事で招待状を出して無い。
そして、不思議な事に何故か通常は血縁関係のある親類の家のパーティーぐらいにしか出ない筈の国王陛下から直々に『招待状』を強請られた。
司会進行のゲイツさんが大忙しで細々と動き客を誘導し、おれもゲイツさんの仰せの通りに振る舞って客の相手をして居ると、国王陛下とマーガレット殿下がお越しになって会場内が「おーー」と歓声で沸いた。
最初に壇上で俺の挨拶となり、
「初めまして、この度子爵位を賜る事になったトージ・フォン・オオサワと申します。見ての通りの若輩者故、皆様のご指導ご鞭撻のほどお願い致します。」と締め括ると拍手が一斉に鳴り響いた。
続いて予定すら無かった国王陛下が頑丈に上がって来て勝手に喋り始める。
「皆の者、今日はこの新しい仲間の為に集まってくれた事を売れ悪しく思う。ここに居る殆どの者の領地にこのトージ子爵自らが出向きゲートを建設する事になると思うがそうすれば、王都は一瞬で行き来出来る様になるのじゃ。なんとも素晴らしい事では無いか!? そう言う事じゃ、皆よろしく頼むな!乾杯!!」と俺の為に乾杯の音頭を取ってくれたのだった。をしてくれたのであった。
一斉に「乾杯」の掛け声と拍手が鳴り響いた。うむ・・・これはこれで悪い気はしないな。ありがたく気持ちを頂いて置こう。
立食パティーであるが出したメニューは何れも食べた事の無い料理として好評でハンバーグも飛ぶ様に売れていた。
「トージ、パティー退屈になったのじゃ。面白い事は無いのかのぉ?」といきなり無茶振りをするマーガレット殿下。
「そんな、無茶振りを・・・まあ有る事はありますが・・・」と言って壇上に2人で上がって、『携帯魔動電話』を2つ取り出してグラスをならして注目を集め、切り出した。
「皆様ご歓談中申し訳ありません。ちょっとこの場をお借りしてご紹介したい物がありまして、宜しいでしょうか?此方、『携帯魔動電話』と言いまして、離れた場所に居る者とまるでその場に居るかの様に会話が出来る魔動具となります。所謂通信機と言う物です。」と言って、マーガレット殿下に渡した『携帯魔動電話』にでんわを掛けると電話が鳴ってマーガレット殿下が言われた通話ボタンを押して繋がると、「もしもし、マーガレット殿下、聞こえますか?」と言うと、驚いた様子で「聞こえるわ!!」と皆に聞こえる声で知らせる。
そしたら一角で座って居た国王陛下に俺が呼ばれ、『携帯魔動電話』を渡すと「マーガレットよ、本当に聞こえるのか?」と語り掛けた。固唾を呑んで見守る貴族の皆さん。
向こうで返事したマーガレット殿下の声が聞こえたのだろう、国王陛下が「トージよ!これを直ぐに沢山用意して欲しいのじゃ。」と無茶を言い出す国王陛下。
「申し訳ありません、現在用意出来て居るのは50機程でして、王立学園に行かなくて良いなら前倒しして1月で100機くらいは製産できますけど、全て手作りの為そうそう沢山納品する事は不可能です。」と返答したのであった。
「いや、学園は貴族として行くべきである。当面はその50機として、出来れば500機程後々欲しい、心に留め置いてくれ。」と言われたのであった。
このシーンを見た貴族の皆さんも我も我もと名乗りでたが、国に収めた後で順にご案内と言う事で予約ノートにサインして台数を書いて貰ったのだった・・・。
お陰で良いプロモーションにはなったけど、残念ながら学園行きは免除して貰えなかったのだった。
こうして無事にそつなくパーティーも終わり、お土産お渡しして皆さんにご帰宅頂いたが、マーガレット殿下は遊び足り無かったようでちょっとだけふまんそうであった。
この日の夜、ノートに書かれた予約台数の合計計算して余りの台数に愕然としたのだった・・・。
オオサワ家はその後2日間ほど、低電力モードの様にスタッフの大半に順に休みを取らせて静かになっていた。
尤も俺だけは只管『携帯魔動電話』を作り続け、ちゃっかり持って帰られてしまったマーガレット殿下からの電話の相手を時々させられていたのだった。
これは拙い相手に渡したのかもしれない。
だって、この世界ではそうそう話す話題やニュースも番組もなく話す共通の話題なんて限られているのだ。
早めに他の話し相手を見つけて貰わんとこのままでは作業効率が落ちてしまいそうだ。
その為にも早く国王陛下からのご注文分500機を揃えないと。
1ヵ月で100機と言ったがマジでやれば1ヵ月で500機は軽く作れるだろう。前世の俺はもっとイケたし。こっちでもイケる筈だ。
ただそのペースでヤルとおれの精神状態がボロボロになるんだけどな。こっちには俺の子供と言う癒やしが無いからヤバイかも知れん。
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