第334話 謁見の儀 その1

昨日は来たる謁見の儀に合わせて暫定で王宮の裏庭に近い所に設置した暫定ゲートを謁見の間に置く様に言われてゲートを設置し直してテスト接続までを実行してある。


長かった・・・移動時間よりも待ち時間と言うなの振り回される時間の如何に長い事よ・・・。


そんな訳でやっと本日11月30日となり謁見の儀の当日である。


本日は失礼の無い様にお願いしますと言う侍従長のエルサードさんに名前を呼ばれた際のマナーを今更教えられて驚くと言うか焦る俺。


なして名前を呼ばれるの?と頭の中に?マークが沢山浮かぶが急に覚える事を沢山詰め込めれるので余計な事に頭の思考を裂かれる事が無かったのは不幸中の幸いだったのかも知れない。



イヨイヨ時間になり、俺は呼ばれるまで謁見の間の横の待合室で時が来るのを静かに待つ。


ドヤドヤと謁見の間に人が入って来る音や話し声が聞こえて来る中、ドキドキしつつ待っている。


おお、どうやら国王陛下が入って来て始まった様である。


耳を身体強化して聴力を上げていても微かにしか聞こえないので何とも言えないが

人々がゾロゾロと移動する音が聞こえるのできっとゲートを試しているのだろう・・・。




__/■■■謁見の間の貴族Side■■■\__


本日は国王陛下の命によって可能な限り全ての貴族の『当主』が集まる様にとお達しのあった謁見の儀の当日である。


こう言う時は得てして国にとって重要な発表や当主の決断等が必要になる事が多いので我々貴族の間では暗黙の了解で如何に忙しくとも基本当主がはせ参じる事としている。


儀は何時もの様に国王陛下の登場と共に平常運転で始まった・・・。


いや、何時もと違う妙な物が謁見の間の王座の真ん前に在る。あれは一見すると石作りの門の様に見えるが何故にあんな場所に?と不思議に思っていると、陛下の話が始まった。



「皆の者、年末の忙しい時にこうして集まって貰い大儀であった。こうして呼んだのには予てより問題であった国防に拘わる我が軍の兵站の問題が解決した事を発表する為であったのだが、更にもっと素晴らしい革命的な事がありそれは諸君らの領地にも恩恵を齎す物であったので、こうしてこの場を設けたのじゃ。

まず最初の兵站の問題の解決は最近巷を騒がしておる『マジックバッグ』なる物があるのを諸君らもご存知だろうが、このマジックバッグを特別に300個我が軍に回して貰った。これによって、食料や飲料水の備蓄から武器や医療物資の保存まで全ての問題が居一気に解決したのだ。」と国王陛下が言って一旦息継ぎをして間を置くと、

皆が「おぉ~!素晴らしい!」と溜息や驚きの声を上げたのだった。


「うむ。如何にも素晴らしいのじゃ。しかも素晴らしいのはそれだけでは無いのじゃぞ!?この謁見の間に見慣れぬ石の門があるのを不思議に思ったであろう? これじゃ!!この門が凄いのじゃ。今日は特にこの門を皆に紹介したくて招集したのじゃぞ!」と言って頷いて合図をすると、ゲートを起動し、国王陛下が玉座から降りて壇上から降りると、近衛騎士を先頭に


「さあ、皆の者、我に付いて参るのじゃ!!急がぬと置いて参るぞ?」と言ってゲートの奥に消えて行った。


半信半疑のままそれに続く王侯貴族の面々達。


ゲートを通りぬけyた先には・・・衛兵が守備する見知らぬ広場の横でこれまた同じ様な石作りの門を通り抜けた所であった。


おかしいのは、ただ門を抜けただけなのに、全く気温も違い、やや温かな事である。その先には同じ貴族の子息であるのだろう、片膝を付き頭を垂れる青年が待って居た。


ようこうそガガにお越し下さりました。国王陛下、そして皆様方。」と言うその青年。


ん??ガガ? ガガだと!? この一瞬で南の果てと言われた魔宮の森の要所を収めるガガ辺境伯の地まで来たと言うのか!?と皆が驚きの声を上げると、

「お!バルドーではないか!!まさか、本当に我が領地のガガまで帰って来たと言うのか?片道にあれ程の日数が掛かる距離を?」と我が子の登場で驚くガガ辺境伯。


「ガガ辺境伯殿、本当にここはガガなのですか?」と周囲の貴族達も声高に聞いて来る。


「間違いござらん・・・ここはガガの中央広場の横である。」と肯定するガガ辺境伯。


「皆の者、ちょっと静まろうかの。一旦話をする為に王宮の謁見の間に戻るのじゃ。してバルドーよ、大義であった。暫しこのゲートの警備を頼むの!」と言ってUターンして謁見の間に全員戻るのであった。


「皆戻ったかの?話を続ける。静かに! ええか、これは『ゲート』と言う魔動具となり、この度王都にゲートセンターなる物を建設し、希望する主要都市等と王都を繋ぐゲート網を築く事にしたのじゃ。その効果は先程体験した通りじゃ。」と高らかに宣言する国王陛下。


それに従って今回呼ばれた主旨を理解する各貴族の当主達。このゲートの価値が判らない様な者は流石にこの国の貴族には居なかったのか、おおー!と歓声が上がるのだった。


「して、ここまでは良いかの? これまでの実績を踏まえた上でこれだけの前人未踏の功績を挙げた者、さらに今後の功績も期待させる者を一介の平民に留めておるのは国益に反すると我は思うのじゃ。もし万が一にも国外に出て行かれたら・・・ましてやフランツ王国なんぞに取られでもしたら、それこそ国歌的な大損害になると思うのじゃ。して、早い話、この当事者を嬢爵しようと思っておるのじゃ。そうじゃな・・・男爵では些か爵位が貢献度に足りんな、成人前と言う年齢を鑑みて最低でも子爵位かの?」と国王陛下が家臣たる貴族達に問うように発言するとその場に居た全員が拍手をもって賛同を示すのであった。



__/■■■トージSide■■■\__


ドヤドヤと人々が暫く静かだった謁見の間に戻って来た音がした後、拍手の音が響きゲートのプレゼンが成功したのを感じた。


何時までここで待たせるねん?って思うが不平なんか下手に口に出来ないのでジッと膝の上に置いた両手を握ったり親指を回したりして時間を潰していると、ゲイツさんが部屋にノックして入って来て俺を伴って謁見の間の大扉の前につれて来て、


「トージ殿、良いですか、先にお教えした通りに線のある所まで歩んで片膝を付き頭を垂れて2回陛下が『面を挙げよ』と言われてからゆっくりと、兎に角『ゆっくりと』面を上げて下さい。そして何かを言われたら、『ありがたき幸せ謹んでお受け致します。』と仰って下さい。それさえ守れば大丈夫ですので・・・。」と念を押す様に言ったのだった。


ちょっと状況が飲み込めて無いけど、何かを貰う感じなん?まさかね? 1回目の人生では回避して来たけど、面倒な感じにはならんよな?とここに来てちょっとビビリ始める俺だった・・・。

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