第332話 見つかった・・・
ゲートセンターの着工は12月以降と決まりそれまでにゲートセンターの場所の選定と整地を終了させる事となっている。
尚、肝心の何箇所に設置するのかは11月30日の謁見の儀の際に発表して希望を募って以降となるので現状はオーダー数は不明となっている。
謁見の儀でデモンストレーションも行うらしく、簡易的な固定ゲートを謁見の間に暫定で設置する様に言われて居るので木製の簡易的なゲートをワンペア作って宰相閣下に預けたのだが、宰相閣下の話では国王陛下が喜んで使って遊んでいるらしい。
しかも、出口側のゲートを家来に運ばせて厩に行ったり、騎士団の訓練場に行ったりと家来の人が振り回さされていると溢していた。こう言う時こそのマジックバッグと思ったのだが余計な事は言わずに黙っておいた。
子供の玩具じゃないのだからと思うけど、そんなに遠くに行きたいのなら、ガガとかゲルドだったら配置しに行けるんだけどね。
一応、宰相閣下にそう言ったら余計に大変になるので言っちゃ駄目って慌てて止められた。
何となくこの国の国王陛下の人柄と言うか雰囲気が判ったので逆にちょっと安心してしまった。但し俺に無茶を言わない間に限るがな・・・。
一見国王陛下は悪い人ではなさそうだし、そうそう威圧的に物事に無茶は言わなさそうだけど、多分宰相閣下を含め普段から結構振り回されて居るんだろうな。
さしてやる事の無かった俺は来たる工事に備えてゲートユニットの魔方陣付与に精を出す事にした。コッソリと道具を取りに自宅に戻った序でにもう少し王都の用事が長引く件をパパンとママンに伝えて了承を得たのだが、マリーが激しくグズってしまい、それを振り切って王宮に戻るのが10分程長引いてしまったのだが運の悪い事に、部屋に戻ると見知らぬ年の頃12~13歳位の金髪の美少女が部屋に来ていた。
ゲートから出て来た俺を見て、「キャ!」と一瞬軽い悲鳴を上げたその美少女は扇子で口を掻くしつつ、何事も無かったかの様な顔をして俺に
「その方が今噂のトージと申す者か? 今のがゲートと言う何処にでも行ける物か?」とワクワクを隠しきれぬ様に口早聞いて来た。
「えっと、私がトージで間違い無いですが、失礼ですが何方様でしょうか? 先の魔法は『ゲート』です。何処にでもではなく、一度行った事のある場所に限定されますが、瞬時に移動出来ますね。」と答えると、
「妾は、第一王女のマーガレット・フォン・アムールじゃ。宜しく頼むのじゃぞ。お主面白い事が色々できそうじゃの?妾も何処かに行きたいぞよ。連れて参れ!」といきなり言い出した。
「えっと、それは大問題になりそうなので先に国王陛下のお許しを得てからでないと、私の死亡フラグが・・・いえ、死罪一直線だと思うのでご遠慮したいのですが?」と返答するが、
「父上に聞くと父上も付いて来たがるから駄目じゃ。コッソリ行くから面白いのじゃぞ? お主だって先程何処ぞにコッソリ行っておったのじゃろう? 妾も行きたいのじゃお主だけはズルイのじゃ!」と駄々を捏ねるマーガレット殿下。
「マーガレット殿下、せめて国王陛下の許可を得て頂かないと私も困りますって・・・。」と必死で説得を試みるも頑として受け付けないマーガレット殿下。
結局、一瞬だけでもと言うマーガレット殿下の妥協案に仕方無く乗って、再度自宅の裏庭にゲートを繋いだのだった。
「よし、参ろうぞ!」と俺を先頭にゲートを潜るマーガレット殿下がゲートを越えたガガの街の気温に驚きつつ、
「温かいぞ、ここは何処じゃ?」聞いて来た。
「ここはガガの街の私の自宅の裏庭です。先程漸く家族と別れを告げて来たばかりなので、敢えて裏庭に致しました。さあ、もう良いですね、戻りましょう。」と急かすと、
「本当にここがガガなのか確かめねばならぬじゃろう?折角故、そなたの家族とも挨拶しとこうかの?」とやと先程マリーを振り切ったばかりなのにだだを捏ねて騒ぐ者だから、裏庭に続くドアが番と開けられて、
「トージ兄ちゃんだぁ~!! お母さん!トージ兄ちゃんが綺麗なお姉ちゃんと戻って来たよぉ~!」と大声で呼んでしまって両親揃って裏庭にゾロゾロ出て来てしまった。
「あ、コレ!!マリー!こちらは第一王女殿下だ、失礼の無い様にしろよ!!」と俺が慌てて言うと、
「綺麗なお姉ちゃんはお姫様なの?凄い!!」と大喜び。そんなマリーに反してパパンとママンの顔色は逆に青くなる始末。
「マーガレット殿下、ご無礼をお許しください、この子が妹のマリーと申しまして、此方は私の両親のラージと、メリーです。さあ、もう良いですよね?王宮に戻らないと大騒ぎになりますので。ね?」と冷や汗を掻きつつお願いすると、
「しょうがないのぉ~、トージよ、おお主案外ビビリじゃのぉ~。その代わりまた明日も何処かに連れて行くのじゃぞ?」と言って何とか戻る事を了承してくれたのであった。この15分程の問答で、2kg文保護の冷や汗を掻いたのは言うまでも無い。
運の良い事に王城の自室に戻ると誰にもマーガレット殿下の疾走は気付かれて居らず、ホッと胸を撫で下ろしたのであった。
だがこの未発覚に味を占めたマーガレット殿下がこれ以降毎日俺の部屋に立ち寄る様になってしまい、気の休まらない日々が続く事になるのだった。
「トージよ、妾と其方は謂わば共犯者じゃ。1人よりも愉しいではないか!?」と言い張るマーガレット殿下だが、この場合発覚して罰せられるのは俺だけだろうからな・・・。
日々要求がエスカレートして行くマーガレット殿下・・・最終的にバルコニーから王都上空に繋いでフォース・フィールドの足場を作って王都と見下ろさせてやったら怖がるどころか大喜び。
マーガレット殿下は所謂絶叫系ウェルカムなお方だった様で俺としてはビビらせて終わりにしようとしたのに、何度もアンコールを受ける事になってしまったのだった。
こんなんでこの国の王族は大丈夫なんだろうか?と何とも言えない気持ちになるのであった。
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