第330話プレゼンと王都散策 その2

翌日まずは平民街の市場に行って先日行った市場との品揃えの差と価格の安さに驚く俺。

高級品は取り扱いが無いが生活に必要な物は一応こここでも揃えられる。そこの穀物屋で俺の探していたお米と出会う事が出来たのだった。

「在った!!ゲイツさん、これです。お米見つけました!」と愛しい家族に再会した様に喜ぶ俺に不思議そうな店主。


「坊主、お米欲しいのか?余っているからバンバン買って行ってくれ。安くしとくからな。」と嬉しい事を言って来る店主のオジサン。


「じゃあ、取り敢えず余ってる分全部貰っても良いですかね?」と言って驚く店主のオジサンと交渉してマッシモ・マイマイより安い金額で呆れるゲイツさんを余所に30kg入りの麻袋を5袋購入したのであった。


「ところで、オジサン、醤油って知らない? あと醤油、味噌米で作った酒、みりんとかを探して居るんだけど、しいてたら教えてくれない?」と尋ねてみたら、何軒か隣の店主を紹介してくれて醤油とや味噌との再会を済ませたのであった。


更に数珠繋ぎの様に店主の紹介でみりんや日本酒もゲット出来て子共の買い物っぽくない買いっぷりにゲイツさんにドン引きされながらも欲しかった物が揃った幸福感に浸る俺だった。


ここまでトントン拍子だと嬉しいを通り過ぎてて怖い位である。


これで、最低限の和食を作る材料は揃ったか? あ!!出汁が無いのか?海苔や昆布は?ゲイツさんや買い漁った店の店主に海苔や海藻を扱って居る店の情報を聞いたが特に情報は無く、別のチクの市場に行く事にしたのだった。


後で知ったのだが王都自体が海から離れた場所にある為、海産物の入りが良く無いらしい。と言うか事実上干物でさえ需要が無いのでほぼ入荷してないらしい。


となると、ゲート網が出来た後でまた探して廻る感じか?


実際のところ前世でも鰹節は無理だったんだよね・・・だからせめていりこ出汁ぐらいは何とかしたいところだ。


だが『偶然』?があるかも知れないので希望は有る。先は長いが1個1個美味しさのピースを埋めて行こう・・・。




さて、残る教会と孤児院の訪問だがここで2箇所に教会があり、孤児院の有る方の教会は余り治安の良く無い地域に存在するので余りお薦めしたく無い感じであった。


そんなゲイツさんを余所に俺は迷わず孤児院のある方の教会を選択したのであった。


「余り衛生面や治安面の良く無い地域なのでご注意下さい。」と言うゲイツさんに連れられて来たのはやはり予想通りにスラム街と平民街の端にある教会と孤児院で、相当に建物の傷みが激しくなっており、色魔風が彼方此方~入って来そうなぼろさ加減であった。


俺は一旦、教会の方で何時もの様にナンシー様の像に跪き祈りをする様にして「ナンシー様!来ましたよ!!」と心の中で呟くと、像が一瞬輝きつつ俺の心はあの白い部屋に飛んで居た。


「漸く来たのか? 妾は暇なんじゃからもっと早く話をしに来んか!」と初手からプンスカを文句を言うナンシー様。


「お久し振りで。そうは言っても一応王都に来るまでにも時間は掛かるし、マジックバッグを流通させたり、色々やる事はやってるの見てるんでしょう? どうせ何も進化させずに来たら文句言うんんでしょ?

それはそうと、スラム街の方の教会に来たんですがここの司祭は大丈夫ですかね?教会2箇所王都に在るって言う事でしたが。これから寄付して孤児院の運営や建物の修繕に使って貰おうと思ってるんですが、変な司祭様に渡すのも癪なんで。」と俺がこれからの行動に必要な情報を求めると、

「そうか? ここの司祭のジェフリーなら間違いないぞ。こっちの方の教会に来て正解じゃ。あともう一つの方のゲスラー司祭は私利私欲に塗れて蓄財して居るからのぅ~。近々天罰が落ちる筈じゃ。」と女神らしい事を宣うナンシー様。


「それを聞いて安心しました。ここの教会も相当傷んでますので、多めに寄付して置くので補修して貰いましょうね。」と俺が言うと、

「まあ教会は後回しでも良いから孤児院を先に何とかしてやって欲しいのじゃ。相当に困って居る故にのぉ。」と女神らしい事を言うナンシー様。


「流石は女神様ですね。判り真ました。お陰様でやっとお米や味噌醤油、みりんに日本酒も手に入りました。後は海苔や昆布やいりこ等の出汁の取れる海産物を求めて海の在る方面に赴きたいと思いますが鰹節とか有りますでしょうか?」と聞くと、


「お主の記憶を元に作った世界故に『偶然』に作られておる筈じゃぞ?」と言うナンシー様の返答を予想通りに頂けたのだった。


「そろそろ時間じゃの。孤児院の事頼んだのじゃぁ~」と言う声と共に教会の祭壇の前に戻って来たのであった。


「あ!!今ナンシー様の像が輝きました!!」と言うゲイツさんの声が聞こえたのと同時だった。


「そうでしたか?」と惚けつつ、ゲイツさんにここのジェフリー司祭に会いに行きましょう。こっちの教会で正解だった様で。」と言って

教会を出て孤児院の方へと回り込むのであった。


「さっき、教会の中が光ったけど、お兄ちゃん達、家の孤児院に何か用?」と外で遊ぶ子共達に

「孤児院を助けて欲しいって聞いた気がしたからジェフリー司祭様に会いに来たんだよ。ジェフリー司祭様は居るかな?」と俺が子共達に言うと、

「司祭様ーー!お兄ちゃん達が会いたいんだってーー!」と大きな声で司祭様を呼んでくれたのだった。


「私にご用と言うのは貴方方でしょうか? 私がここの司祭のジェフリーですが?」と苦労したであろう事が風体からも滲む初老の男性の司祭が優しい笑顔で出た来た。


「えっと、私、『オオサワ商会』のトージと申します。今日はこの孤児院に寄付したくてやって来ました。」と単刀直入に内容を話すと、「ご覧の通りの孤児院ですので、それは大変ありがたい事です。」と笑顔を滲ませる司祭様。



そこで俺が用意して置いた白金貨5枚5千万ウニーが入った革袋を渡し、

「まずはこちらで、孤児院の建物の傷みを修繕して、子供らに温かい冬を過ごさせてやってください。あまった分で、美味しい物や教会の方の修繕を。また寄付にきますので、足り無ければ遠慮無く言って下さい。」と俺が言うと

その革袋の中の金額を見て驚くジェフリー司祭様。そして一瞬の後、徐に涙を流しながらナンシー様にお礼の祈りを始まったのであった。


「ゲイツさん、ここの修理の手配ってゲイツさんの方から手ハイ出来たりしますか?次期が次期なので大至急取り掛からないとだし。」と俺が頼むと、

神明な面持ちで「はっ。お任せ下さい。」とゲイツさんが頷く様に頭を下げて引き受けてくれたのであった。


そんな感じで俺の手持ちの食料のオーク肉や小麦粉等を『時空間庫』から取り出して分けてやり、この日は孤児院を後にしたのであった。


帰り道に、孤児院の改修工事の件で商業ギルドに寄って王宮から来たゲイツさんとSランクの俺の強力なプッシュで早々に孤児院の改修工事を俺の方の別払いで始める事になったのだった・・・。



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